中国遠征日記

飯村健一(吉祥寺支部)

今回、吉祥寺支部から二人出場のためコーチ兼セコンドという事で同行したわけですが、到着して公安警察の出迎えと、ホテルまでパトカーが先導してくれた事には驚かされました。ホテル到着後、食事会になり本場の中華料理を期待しましたが塩分と油が濃すぎるためお茶ばかり飲む羽目になり、選手も計量を翌日に控え食事を調節しなければならないのに、水分を多量に摂らなくては食べられない料理ばかりで苦労していたようです。

試合前日、この日は記者会見と計量が予定されていました。選手は計量があるので朝食は抜き。我々だけでホテルのレストランに行ったのですが、何故か中国選手は計量前にもかかわらず普通に食事をしていました。その時は(余裕があるな〜)ぐらいにしか思いませんでしたが、記者会見の後の計量でびっくり! なんと5キロオーバーが一人、3キロオーバーが一人いて、しかもまったく悪びれる様子も無く記者団にむかってガッポーズをしていたのです!抗議をしても誤魔化しているようでしたが、結局、再計量で落ちなかったらグローブハンデということになりました。割り切れない思いと、中国側の陰謀めいたものを感じながら、試合を明日に控えその日を終えました。

試合当日、再計量があるはずの散打チームは朝食を摂っています。朝食後、ますます不信感を募らせながらリハーサルのため大会会場に向かい現場での打ち合わせが始まりましたが、段取りも悪く、どうでもいい事に時間を割いていました。ホテルに戻り昼食、休憩、会場入りは1時間半前という事でしたが、選手全員のバンテージを巻かなければならないため、ホテルで2人巻いて、後は会場でという事になりました。会場に入り早速、バンテージを一人巻き、二人目を巻いている時に事件は起こったのです。中国側のプロデューサーのような女性が出てきて、そのバンテージは認められないと言うのです。ルールブックにその様な事は記載されてないし、そのバンテージはボクシングやキックで使われる物と同じで、巻き方も同じだと言っても、全く聞く耳をもたずヒステリックに文句を言い続け、しまいには中国側の用意したバンテージを巻けと、試合直前にそのバンテージを目の前に置かれました。流石に温厚な自分もキレそうになりましたが、東先生が冷静に、中国側が選手のウェイトの事や、ルールについての非を認めるならば、こちらのバンテージの厚みを取り除き、巻いてない選手にはそちらの用意したバンテージを巻かせる、という事で解決しました。

試合はKO・TKO負けが三人、判定負けが三人の全敗で終わりましたが吉祥寺の二人は打撃でダメージを与えての負けだったので、自分的には納得のいく内容でした。準備期間も短く、緑帯、茶帯の選手が、グローブでの経験もほとんど無いまま、ルールも違う競技で、しかもアウェーでの試合は厳しかったはずですが次に繋がる良い経験をしたと思います。

自分なりの散打の感想ですが、中国人が他の打撃系格闘技に勝てるように創った、とても不条理なポイントシステムのルール(ムエタイチャンピオンが勝てないぐらいの)だと思うし、技術的にも興味がありません。次に、オファーがきたら受けたくないな〜、というのが正直なところです。

翌日のスケジュールは観光で、天安門と武術学校に行ったのですが、天安門には特に感じるものはなく、武術学校も期待はしていませんでした。
それが、学校に着いた瞬間から獅子舞での熱烈歓迎、ステージでの雑技団のような素晴らしい演舞を観させてもらい、非常に感動しました。
普通の観光では絶対にありえないし、唯一、不快な思いばかりした中国での楽しい時間でした。

最終日、朝8時半のフライトだったので2時間前に空港へ。疲れた身体をひきずって土産を買い、飛行機に乗った時には誰も喋れないぐらい、ぐったりしていました。
ハードスケジュールでしたが、選手にはこの経験を肥やしに、本業の空手で頑張ってもらいたいです。最後に、東先生、木元先生、加藤先輩、通訳で大変だった総本部塾生のジャッキー植田、ありがとうございました。押忍

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