朝岡秀樹(総本部)
この日はバケーションシーズンの稽古ゆえ、道場生10名ほどでしたが、普段は30名ほど出席しているそうです
イタリア支部に行ってまいりました。
そもそものきっかけは、7月末の全国合宿での休息時間の雑談です。
「今度、カミさんとローマ・べネツィアに観光に行くんです。・・・ところで、大道塾のイタリア支部ってどこにあるんでしょうね?」
何気なしにそう言ったところ、その場に居合わせたのが、セミナーでヨーロッパを行脚したことのある世界王者・藤松選手。
「べネツィアのすぐそばにありますよ!」
彼の言葉に、びっくりしてしまいました。
イタリアは日本と同等の広さを持つ国です。たまたま訪問する、その中の一地方都市のすぐそばに、我らが大道塾の仲間がいるなんて!
嬉しくなってしまった私は、ワガママを承知で東先生に相談、アンドレア・ストッパ支部長のメールアドレスを教えていただくと、ムチャな英語で「旅行の途中でそちらの練習に参加したいのですが、良いですか? 練習時間と練習場所を教えてください」と書いて(書いたつもりで)、送ったのです。
すると「ぜひに」と、返信が。
かくして8月6日(金)、私と妻は、べネツィアからローカル線に乗ること70分、メールに記された"パルデノーネ"なる駅へと向かったわけです。
東洋人など誰一人いない車中「ホントに道場にたどり着けるのか? そもそもホントに北斗旗ルールの練習してるのかな?」と不安になりましたが・・・。
わざわざ駅まで迎えに来てくれていたうえ、稽古は、基本からビシッと日本の大道塾と同じで、号令はもちろん、道場訓まで日本語でした。
びっくり。そして感激!!!
正座・黙想からしっかり行ないます。手前がストッパ支部長
ち、小さい・・・、そして大きすぎる!
手前背中が朝岡
さらに、マスでは、支部長アンドレア・ストッパが巧い! 強い!!
柔道のイタリアチャンピオンで、極真空手(緑健児代表の団体)でも99年の世界大会でサクッとベスト32、大道塾の世界大会で山崎進選手に腕十字で一本勝ちしているのですから、当然といえば当然ですが。
ストッパ支部長の影響を受けてか、道場生たちも皆、かかと落としなどの変則技を繰り出してきます。
"離れたらヨーロッパ極真スタイルのダイナミックな蹴り、手の届く距離に近づいたら柔道"という独自のスタイルが確立されているようで"なるほど、これは世界大会で猛威をふるうかもしれないな"と身の引き締まる思いがしました。
稽古が終わると、イタリアならではのパスタ&ピザの店に移動。道場生たちとの"KANPAI"とカタコト英語会話で交流を深めることもでき、べネツィアへの終電に滑り込む頃には、最高の気分です。
真っ暗な畑の中をひた走る列車の中で、すっかり饒舌になり、妻にひたすら喋りました。
こんな内容です。
「海外に出た時に、ちょっとしたことでも、欧米人の対応に、差別されたような気がしてしまうことがある。でも、武道(空手・空道)をやってると、明らかにリスペクトされるし、その国の人と友達になれるし、変な話、日本で職なくても世界でなら食えること、ほぼ間違いない。
ただし、そのためには"強い"ことより、基本・移動稽古など、"技の型"がビシッと出来ること、文化としての武道のアティテュードを表現できることが大事だ」
「海外旅行で、お決まりの観光地を回って、外国人向けにアレンジされた店に入ったり、みやげ物売りに声を掛けられたりばかりしていると、"うるるん滞在記"のようにはいかないまでも少しは地元の一般市民と接したい・・・という気になってくる。
そんなとき、武道のキャリアを積んだ日本人なら、訪れたのがその武道の道場のある国である場合、今回の俺のような楽しみかたが出来る」
「世界の空道の仲間が日本に修行に来た時は、ウチにホームスティしてもらって、逆に今度はその人の国に旅行に行った時は泊めてもらえないか。お決まりの観光コースを行かなくて済むし、英語をはじめ語学の勉強にもなるはずだ」
と、まぁ、今思えば、武道どころか、ろくに運動すらしない妻にとうとうと説教してもさほど意味もないわけですが・・・。
ここにあらためて、今回、私に有意義な時間を与えてくださった東先生、そしてストッパ支部長に感謝いたします。
最後に、自分のことを棚に上げていうのもナンなのですが・・・、やはり旅行の傍ら海外の大道塾支部に出稽古に赴くようなことを許されるのは、恥ずかしくないだけの基本・移動・組技が出来る人だけだと思います。連絡先を教えて頂いたりで、東先生のお手を煩わすことにもなりますし、誰も彼もというわけにはいかないでしょう。
国際交流したければ、私もみなさんも、もっともっと稽古です!
壁には「第一回世界空道選手権大会」のポスターが額縁入りで掲げられていました
(2004年8月)
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