ギリシャ遠征記

寺本正之(関西本部)

1月15日(木)初日
この日の為にトレーニングをやりきり、散髪にも行き、海外で使えるレンタル携帯電話の予約も済ませ準備はバッチリ。東先生、清水和磨に自分を加えた3名にて7日間のギリシャ遠征。
期待と不安と大きな荷物を抱え、1月15日朝9時、池袋総本部を出発しました。

成田空港に着き、早速レンタル携帯電話を受け取りにカウンターへ行くと「支払いはクレジットカードになります」と言われてビックリ。自分はクレジットカードを持ってないのだ。「そんな物ありません」と言うと「ではお貸しできません」ときた。
海外でケイタイ電話を使う事を夢見ていた自分にとってちょっとヘコむ出発で日本を後にしました。

ギリシャへはJALの飛行機で12時間。ローマで乗り継ぎ3時間と、とてつもなく長いのだがJALの飛行機は最高だ。テレビゲームは付いているし、スチュワーデスは最高の笑顔で応対してくれる。「スペインに行った時と違って説教しないですみそうだな、寺本。」と東先生もごきげんだ。
ローマで乗り継ぎ待ち時間合わせて18時間。アテネ空港着。空港へは、今回大道塾に加盟するギリシャ人4人が花束を持って迎えに来てくれた。それにしてもギリシャ人の名前は非常におぼえにくい。招待者のアポストリス、弟子でスキンヘッドのコスター、男前のハリー。日本語をしゃべれない通訳パナギョータ(女性)。皆とても気のいい方達だ。

1月16日(金)2日目
空港からは車に乗りスキンヘッド・コスターの危険きわまりない運転に冷や汗をかきながら、北へ約4時間、ラリッサシティー着。現地は朝の3時、日本時間で朝10時。池袋を朝9時に出発したからー?「25時間かかってんじゃん!!」

1月17日(土)3日目
今日はいよいよ1回目のセミナーの日だ。
道着に靴をはいただけの格好でホテルから外出。こんな事はとても日本ではしないのだがなにしろラリッサという町は年に1人か2人しか日本人を見かけないという事で、「これがジャパニーズスタイルだ」といわんばかりに堂々と外出。コスターの車に乗り道場へ向かった。道場付近に来てビックリ。
道場生70〜80名が道場前の道に向かい合って列を作り人の道を作っている。その間を東先生、自分、清水の順にさっそうと歩いて道場へ向かえば両サイドのギリシャ道場生達は十字を切って「オース」「オース」。自分達が通るたびに挨拶してくるのだ。
そしてテレビ局や新聞記者も入り東先生へ英語での取材。その後立派な盾を1人づつ頂き、頭の上にかざせば道場生他、見物人から拍手喝采。道場へ入る前のセレモニーが終了した。

道場に入り、セミナー開始。まず少年部に東先生の指導の元、自分と清水が見本を見せるといった形で指導していきました。30分がすぎた頃、「俺は明日、大人を指導するから地下の道場へ行って大人に基本稽古教えてこい」と東先生。
自分も清水も英語は中学生以下のレベルなので無理でしょ、と一瞬思ったが「動いて見せてそれを真似させれば良いぞ」と東先生の言葉に「これも修業だ」と思い直し、「押忍、教えてきます。」と地下の道場へ向かった。こーなったら得意のノリと勢いだ。
「足スイング!」「?スイング!」「ショルダーバッグ!」「フェイスフロント!」「オッケー?」ジェスチャー+めちゃくちゃな英語と勢いで指導してみたが不思議と理解してくれ「オース」と返事が返ってくる。さらに押忍の声が小さければ、「声アップ!」ととにかくめちゃくちゃだが返事は大きくなる。
こんな調子で教えたが、セミナーは大成功!!国はちがってもやればできるという良い体験をさせて頂きました。

1月19日(月)5日目
今日はラリッサ最終日だ。
昼迄はオフの為、朝から清水と2人迷子になる事にビクビクしながらショッピング、ブラブラ歩きながらおしゃれな食器店へ、ただ買い物するのではおもしろくないということで値切りにチャレンジしようという事になりました。
まず1枚25ユーロのおぼんを20ユーロに「プライスダウン」と交渉するとあっさり「ノー」。そこで東先生がよく使う値切りテクニック組み合わせを使ってみる事にしました。1枚9ユーロのおぼんを2枚で16ユーロに「プライスダウンだこのやろー」と気合を入れて交渉してみた所「オッケー」と店員。
「やったー!」生まれて初めての値切り大成功!!調子にのった自分は、次のアクセサリー屋では12点の商品を組み合わせ47ユーロを37ユーロに(日本円で1,300円)を値切る事に成功、清水も値切って2人で大喜びしました。
次に絵画展へ入ると店のおじさんに異常な程の笑顔をふりまかれました。気にせず絵を見ていると、店のおじさんは今度は自分に指さして「ニュースペーパー、ニュースペーパー」と言ってくる。「なんで俺がニュースペーパーなんだよー」と思いながらも気にせずにいると、清水が興奮した口調で「もしかして新聞に載ってるんじゃないっすか?」と。
テーブルに置いてある新聞に目をやるとセミナーを開いた時の東先生以下3名と支部長アポストリスが大きく載っているのでビックリ大喜び。店のおじさんと握手をかわし値切らずに絵を買いました。

ホテルに戻り荷物をまとめギリシャ人4人と共に14:00発アテネ行きの電車に乗り、良い思い出だけがつまった町ラリッサを後にしました。アテネに着く迄の間の4時間、まるでテレビ番組の「世界の車窓から」を思わせる窓から見えるすばらしい景色に感動が続きました。

1月20日(火)5日目
今日は日本大使館へ大道塾の紹介と世界大会時の選手団の日本入国のお願いに行きました。その後ギリシャの格闘技雑誌社へ取材及び売り込みに、取材中東先生はとてもきつそうだ。2日前から風邪をこじらせてしまったようでとても心配だ。
2?時、ホテルに戻る。東先生は風邪で具合の悪い為、アポストリス達が自分と清水を夕食に連れて行ってくれる事になっていたのだが、東先生に通訳してもらいお断りした。
この頃、自分と清水は言葉のカベというやつにとてもつもなくストレスを感じていた。
そこで東先生が一緒でなければ英語中学生以下レベルの自分達はコミュニケーションとるのがきついと思い、丁重にお断りしたのだがギリシャ人達は「寺本、清水は俺達がきらいなのか。」と彼達の心を傷つけてしまったらしい。考えてみれば1週間、朝から晩迄彼達とずっと一緒だったし今日はギリシャ最後の夜。彼達は自分達の事を友達と思ってくれていたに違いない。清水と2人で近くのレストランに行きビールと肉を食べながら「やっぱり一緒に行くべきだったよなー」と反省もしたが、逆に言葉が通じなくても友情は芽生えるという事に嬉しさを感じました。

1月21日(水)最終日
朝6時起床。「やっと帰れるー」長いようで短い1週間だった。アテネ空港へはギリシャ人4人が見送りに来てくれた。昨日の事を東先生に伝えてもらった所、4人は安心したような顔をしたのでホッとしました。世界大会で又会う事を約束し、かたい握手を交わしました。
この遠征で東先生、清水和磨と色々な話をさせて頂きましたし海外に出てみて気付いた事、学ばせて頂いた事がたくさんありました。この機会をあたえて下さった東先生、奥様、大道塾関係者の方々に深く感謝すると共に、まず来年の世界大会優勝、そしてもっともっと人間的にも成長し、社会に貢献していく事を決意しました。

日本行きの飛行機に乗り込み、故郷日本に思いを馳せる。
「あー早くみそ汁飲みてー」

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