モスクワ遠征レポート

藤松泰通(総本部)

去る1月28日から2月2日にかけて、2005年全ロシア大会観戦に行ってきました。今大会は世界大会のロシア代表選手選考の参考試合という事もあり、日本側からは塾長だけを招待したようです。しかし、塾長は戦力の視察もかねて昨年の無差別優勝、準優勝の副賞(海外旅行の航空券)ということで青森の五十嵐支部長と自分の2人を連れて行ってくださいました。

飛行機で十時間程かけてモスクワに着きました。現地は今、冬で非常に寒く大雪でした。気温もマイナス十五度ということで持っている飲みかけのペットボトルも氷ってしまうくらいでした。出迎えにきていたアナスキン、ゾーリンの両支部長と事務局長のベゼルチャコフ氏の車に同乗してホテルまで行きました。

先生はなぜかパトカーでしたが後で聞くと、他の団体が日本から先生を呼ぶときにそうしたらしく、負けられないという事だったようで、ロシアの大道塾が急速に大きな組織になっている理由が分かる気がしました。

ホテルは物凄く綺麗で塾長が行くと必ず手配してくれる、モスクワでも超一流の5ツ星ホテル、マリオットオーロラでした。このホテルのジムやセキュリティの責任者で、モスクワの大会で何度も優勝しているフィリポフが迎えてくれました。フィリポフは今年の世界大会の要注意人物なのですが、上腕二頭筋を筋断裂してしまったらしく今回の大会には出ないとのことでしたが、世界大会までには間に合わせるといった感じでした。みんなでホテルのレストランで食事をしてその日は寝ました。

翌日はモスクワ市内の観光に行きました。道場生のロメロと日本語のわかるナターシャがガイドをしてくれました。その日は先生はロシア側とミーティングやマスコミの取材などがあったので、自分達と五十嵐先輩とロメロ、ナターシャの四人で市内を回りましたが、雪で渋滞がひどく多くを回ることはできませんでした。

次の日はいよいよ全ロシア大会です。会場に着いたらウラジオ支部のイワノフさんと第一回の世界大会超級優勝のグリゴリエフ・デニスがいました。自分は以前ウラジオで試合をした事があるので向こうも憶えていたらしく「アーッ」という感じでお互いに再会を喜びました。試合場に入ったらどことなく代々木体育館に似た作りになっていて、ああ、北斗旗の会場だなあ。と思いました。試合前に盛大なセレモニーがあり、テレビカメラなども何台もあったりしてあらためてロシアでの空道の注目度の高さを知りました。

試合自体は全体的に選手も観客もテンションが高く、地元の選手がでると大騒ぎでした。技術的にも洗練されてきていて寝技や立技でも一本が少なくなってきていました。相手が有名選手でも絶対に勝ってやろうという感じで相手も一歩も引きませんでした。多少、荒削りな面もありますが、勢いとパワーがそれを補って余りあるという感じで間合いをとるという事はまずありません。

また、フックの連打が日本人に比べれば異常に速く、掴んでの膝蹴りなどもリズムとか関係なくひたすら叩き込むという感じで、これは日本の選手がいきなりやったら面食らうだろうなと思いました。対抗するには、先ずやはり体力的に七〜八割の力をつけて、あとは技をどれだけ掘り下げれるかだと思います。それと外国人は基本的に試合ではなく、戦闘、潰し合いという感じできます。これは外国人と闘った事のある人ならわかると思います。

前回の世界大会にきた軽量級のシニューチン・デニスが苦しみながら優勝したり、重量級の優勝候補が準決で敗退したり、超重量級では身体指数320以上で十九才の選手がいたりと選手層の厚さもすごいものがありました。まさにしのぎを削りあっているといった感じです。

試合も無事に終わり関係者で朝方近くまで飲みその日はホテルへ戻りました。

次の日は又、ロメロとナターシャに市内を案内してもらい、夕方、塾長がそれまで歓迎してもらったことへの返礼ということで、ロシア側を中華料理店に招待し、みなで会食をしました。それから空港へ向ったのですが吹雪がひどく4時間ほどかかりました。空港に着いても雪のため飛行機が五時間遅れになったりしましたが、無事日本まで戻ってきました。

今回ロシアに行って感じたことは海外での武道の評価が高いということです。一部では指導員になれば生活が保障されるだけの給料がでる所もあるそうです。それとロシア勢の強さです。自分達のしている武道に自信を持っている、それだけで稽古への身の入れ方も変わってくるし、強くなるでしょう。ロシアの場合それが生活に関わってくるから余計に身が入るのかもしれませんが。

日本の選手より恵まれた環境で練習している、肉体的に優れていてハングリー精神を持っている、考えただけでもまいってしまいますが、それだけやりがいのある事だと思います。おそらく今年の世界大会はアマチュア総合格闘競技の中でも最大規模、最高レベルの大会になると思います。その中で自分達が日本の日の丸を背負って戦うという事は非常に名誉あることだと思います。これは普通に暮らしていたならまずありえない事です。この大会で自分の納得のいく成績を収められたらそれは自分の財産になると思います。そのためにはそのパーセンテージを少しでも多くするよう努力することが大切だと思います。

世界大会は日に日に迫っています。日本代表を目指す選手のみなさんも、そうでない人も一日、一日を無駄にせず、自分の納得のいく一日になるように過ごしましょう !

この機会をあたえて下さった東塾長、同行してくれた五十嵐支部長、ロシアでお世話になったモスクワ支部の皆さん、おかげでいい勉強ができました。ありがとう御座いました。

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