スリランカ遠征記

佐藤繁樹(東北本部)

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7月14日から21日の7日間、空道スリランカ大会に出場するため塾長及び現在オーストラリア在住のジョセフとスリランカに行って参りましたので報告します。
スリランカまでは途中、マレーシアを経由して行きましたがそこでジョセフと合流してスリランカ入りしました。

<7月14日、15日>

過去の先輩方の遠征記にあるように空港での手厚い歓迎に備え、スーツ姿でスリランカの空港の出口付近に15日10時30分頃着きましたがいっこうに誰も歓迎してくれそうな人は現れませんでした。塾長が携帯電話で確認をしている最中、違う出口で待っているのではとジョセフと周辺にそれらしい人はいないかと探し回りましたが本当にいないようでした。そうこうして空港内で1時間30分程経ったころ、モヒディーンスリランカ支部長が我々の到着時刻を夜の10時30分と勘違いをしていたことがわかり、まだ空港から車で5時間離れたスリランカ支部のあるキャンディにいるとのこと。やむを得ず、空港でタクシーをチャーターし怒り心頭の塾長と気まずい空気でキャンディに向かいました。 幸か不幸かそのタクシーの運転は非常に荒くクラクションを多用して一車線道路で対向車が直前に来ているにもかかわらず黒い排気ガスを出しながらどんどん追いこしをしてくれました。おかげで当初5時間かかるはずの道のりがなぜか2時間40分程度で着きました。

<7月16日>

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綺麗なのはプールか○○か?

空道スリランカ大会の開催日です。前日までの移動で固まった身体をほぐすようにジョセフとホテルの芝で朝練をしました。きれいな芝だったのですが、ウォームアップでシャドーをしているとき、以外に犬の糞がたくさん転がっていることに気がつきました。自分はかろうじて軽快なフットワークで糞を踏まないようにシャドーを続けましたが、ジョセフに「気をつけろ!」と注意を促したところ、「先輩もう遅いです・・・。」との回答が。その後、彼は一生懸命芝に足の裏をこすり付けていました。というわけでその後数ラウンド行ったスパーリングは急遽ジョセフのみ前蹴りは寸止めという特別ルールで行われました。そのうち練習が盛り上がってきて当初の危険も顧みずそのまま芝でグラウンドのスパーリングも数ラウンドこなしました。試合は15時からGIRLS HIGHSCHOOL KANDYの体育館で行われました。会場はさほど大きくありませんでしたが、観客はほぼ満員でテレビ局が2社、新聞が4社きていました。現地の人に聞いたところではスリランカでは大きい規模の大会だとのことでした。開会式では塾長と共に花の首飾りをいただき、吹奏楽団の演奏での入場をしました。

一通りのセレモニーが終わり試合開始を待っていると、スリランカ支部長から「審判をしてくれ。」との要請がありました。公式試合の審判を出来る者がいないらしくお願いしたいとのことでした。こちらとしては、日本からの選手である以上どんな状況であれ負けるわけには行かないと、これから十分にアップして多少の選手のクセ等の研究をして対策を考えながら自分の出番を待とうと緊張していたので、できれば断りたかったのですが支部長の申し出と言うこともあり、結局試合は塾長、ジョセフ、自分の3審制で行い自分らの試合のときのみ他の審判に交代して行うことになりました。

試合は軽量、中量、軽重量、重量の4階級で行われ各階級の優勝者が更にトーナメントでグランドチャンピオンを決めるという方式で行われました。出場者は50名程度で他流派も数人出場していました。
試合内容を審判しながら見ていたところでは、技術的に突き、蹴りに関してはまずまずだったと思いますが、投げから寝技の部分がほとんど出来ていないように思われました。パワーも重量級の一部を除いては体の線が細く、パワー不足の感がありました。 ただし、私が見る限り軽量級に1名、中量級に1名打撃で目を見張る選手がいました。あとで直接本人達と会話をしたところ、ボクシングのスリランカチャンピオンでありタイでムエタイの試合も数試合こなしているということでした。彼らは今大会で世界大会のスリランカ代表に選出され今秋日本に来ることが決定しました。
自分は4試合行い、先に述べましたとおり「相手は投げからの展開に難あり」と判断、それが的中し何とか優勝することが出来ました。ジョセフは準優勝しましたし2人とも招待選手のメンツを保つことが出来ました。

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マウント!

決勝戦!!

その夜は大会関係者の経営する遊園地!に貸し切りで招待され、夕食をいただきました。優勝して仕事を果たせた感もあり、ストレスが開放されたのかジョセフとガッツいて大食いしました。その後、ビリヤード等で十分に楽しませていただきました。

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中央から古株シアン、モヒディーン支部長、佐藤、中岡氏

<7月17日、18日>

17日は10時から昨日の試合と同会場でセミナー及び審査会を行いました。ざっと見た感じ300人ほどの参加者でしたが、支部長に聞いたところ会場のキャパの関係もあり塾生の4分1程度しか参加していないとのことでした。内容は打撃、投げ、絞め間接の基本的なことに終始しましたが、およそ5時間行いました。 途中、何度か休憩を入れながら行いましたが、休憩の間もたくさんの塾生から質問があり、その都度実演入りで解説をしたため、ほぼ休憩なしで5時間ずっと行っていました。この塾生の少しでも多くを吸収しようとする姿勢、熱心さしかも礼儀正しく接してくる態度は我々日本の塾生も見習うべき点があると感じさせられました。終了後は写真撮影とサイン攻めにあい、ちょっとしたアイドル気分を味わうことが出来ました。

sr16 手前から世界大会選手、
アンジェロ(中)、
マヘーシュ(軽)、ブランサ(超)

sr17 「対打撃では投げは左で
覚えた方が良いぞー」
sr19 本部道場は3階建てになっていたが
手狭なので近々引っ越すとの事

18日は観光で14世紀の王が王妃のために造ったとされる広大な植物園や地雷等で傷ついた象を保護している施設に行きスリランカを満喫させていただきました。その後、役所を訪れ州のスポーツ知事に面会し空道や世界大会についての説明をし、理解を得ました。またこの日のテレビニュースで先日の試合の模様が放送されたと聞き、自分達も観たいと夜のスポーツニュースをチェックしましたが見ることは出来ませんでした。

sr23_ キャンディ市のある中央州のスポーツ大臣も
「是非世界大会には来日したい」と

sr24_ コーモリの大群がとまる木もある
「この木何の木、気になる木ー」(知ってる人は知ってる)の植物園前で

sr20 象園途中でヤマアラシが!

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ココナッツが美味しい

sr25_ 今夜も弟子の父兄に招待され
苦しくなるまで食べさせられる(笑)

sr26 塾長の理想
「街からそう遠くない小高い山の上にあり
星を見ながらビールが飲めるテラスか屋上のある家」のご主人と
sr27 ご馳走様でしたー!!

<7月19日、20日、21日>

19日、早朝いつもどおり街中をランニングしていたら「センセーイ」「クードー」「オス」等と数回、すれ違う人に声をかけられました。「昨日のニュースの影響かな。」と一人ニヤリとしながらこれはダラダラ走れないなと調子に乗っていつもの4割増し程度のスピードにアップして走りました。自然と距離も長く走ってしまいました。 朝食後、空港のあるコロンボに移動するため見送りに来てくれた塾生たちに別れを告げて、また黒煙とクラクションを響かせながら3時間かけてコロンボに向かいました。
コロンボでは日本大使館を訪問しスポーツ知事同様、空道や世界大会について説明をして協力を依頼しました。 また、この日はスリランカ最後の日ということもあってコロンボの海岸沿いの素晴らしいホテルのレストランで塾長、ジョセフと3人で今回の遠征のことや塾長の選手時代の話などを聞かせていただきながらゆっくりと過ごしました。

ちなみに昼食に立ち寄った日本料理店で聞いた話では昨日カラオケ店で殺人事件があったということでコロンボ市内のカラオケ全店が閉鎖になっているとのことでした。ざんねん! 20日、マレーシアに移動しそこでオーストラリアに帰るジョセフと別れ、塾長とマレーシアの格闘技雑誌「SENI BELADIRI」の出版社を訪問し取材を受けました。
出版社に併設で格闘技道場があったので覗いてみたところ、23時過ぎにもかかわらず15名程度が熱心に練習をしていました。ここの国でも強くなるために夜遅くまでがんばっている人がいるのだなと思いました。そして21日無事日本に帰ってきました。

今回の遠征で感じたことは武道の世界的価値の高さ、そして「空道」が我々日本の塾生が考えている以上に世界に急速に広がっていると肌で感じられたことです。故に今回の世界大会の結果が今後の空道の発展に大きく影響することは明らかです。
世界大会まであと3ヶ月。自分もこの経験を活かし空道をより価値あるものにするため精進していきたいと思います。
最後になりましたが、このような貴重な機会をくださった塾長はじめ関係者の皆様に感謝申し上げます。ありがとうございました。押忍

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