第8回世界武術選手権大会参加レポート

植田毅(総本部)

今回、ベトナムで行なわれた第8回世界武術選手権大会に出場して来ました。武術(ウーシュー=中国武術)は毎年、国際大会があり、世界選手権大会とアジア選手権大会(或いはアジア大会)が交互に行なわれており、今年は世界選手権の年でした。また東アジア大会の種目にもなっており今年10月のマカオの大会でもありましたが、日本は諸々の事情で散打は参加出来ず、この12月の世界大会に臨みました。

今年の7月の台湾の散打の試合はこの世界大会の日本選手の予選という事で出場し、優勝出来ましたが、その後8月から目の手術、膝のケガが続きほとんど運動が出来なくなってしまいました(8月に近視矯正手術を受けました、その後1ヶ月は運動が出来ない事は仕方ないと思い手術を受けましたが、1ヶ月後、練習に復帰して道場ですぐに膝を痛め、治りかけてきたと思った10月終わりになぜか同じ右膝に炎症が発生し入院する事になりました・・・)。
大道塾では11月の空道世界大会に向けて多くの選手が合宿稽古でハードトレーニングをしているのを目の当たりにしながらも自分ではまるで練習が出来ずあせりもありましたがどうしようもありません。11月上旬に退院後も医者は慎重なので一切の運動を止めましたがそういうわけにはいきません。様子を見て、空道の世界大会が終ったあたりぐらいから練習を始めましたが、ちゃんとした稽古は実質2週間ほどしか出来ませんでした。本来なら欠場も考えるのですが、武術の世界大会に出られるのはまたとない機会で、そのために7月の台湾の試合にも出たので、出場させていただきました。

今回、出場した選手はやはり7月の台湾の大会に出場した東京散手倶楽部の高橋・柏木選手、そして大道塾から帯広支部の佐々木選手、早稲田準支部で11月の空道世界大会でも活躍した笹沢選手と僕の5名でした。
出発は12月7日、ホーチミン経由で夜にハノイのホテルに到着しました。 9日の朝の計量に何とかパス。そこで何と11月の空道世界大会に出場していたロシアのロディオノバ・リュドミラ選手にも会いました!彼女は48KGで出場とのことでした。その日の昼に、前日到着した東先生と、奥さん、広報の三輪さんと一緒に食事をご馳走になり、午前中のトーナメントくじ引きの結果を散打コーチの木本さんたちから聞きました。僕の対戦相手はブラジルの選手です。僕自身は、ブラジルは格闘技大国というイメージがあり、第5回世界大会で長谷川先輩が惜敗した相手もブラジルの選手だったので、改めて緊張が走りました。

大会初日の10日は高橋・柏木・笹沢選手の試合です。笹沢選手は強豪国ウズベキスタンの選手を相手に、苦戦しながらも見事ラウンド先取し、勝ちました。高橋選手は残念ながらモンゴルの選手に敗れ、夜の部の柏木選手はスペインの選手のインの選手の側?をもらいKO、病院送りになり、しばし凍りつきました。翌日は僕の試合があるはずですがまだ日程が分かりません。僕たちは先にホテルに帰り、後に日程を確認していただいた田村コーチから翌朝第2試合だと聞かされました(8:30試合開始)。

しかしその夜、笹沢選手はイランの優勝候補オジャイ選手(ここ10年間の国際大会で、ほとんど優勝)と対戦、1Rはとられたものの、2R、3Rと取り返し勝利を収めるという快挙を遂げました!佐々木選手はロシアの強豪と対戦、相手のパワーが強すぎて残念ながら敗れてしまいました。翌日、日本の試合はなく、13日に笹沢選手が準々決勝でイタリアの選手と対戦、残念ながら2R取られてしまい、負けてしまいました。勝負は時の運と言いますが本当に難しいものです。しかし笹沢選手の活躍により、日本は充分、世界に通用すると示す事が出来ました!おそらく大道塾の中に通用する選手はまだまだいるでしょう。日本も本格的に取り組めば強豪国の仲間入りを果たす事が出来ると思いました。来年はアジア大会ですが、是非笹沢選手あたりに活躍してほしいと思います。

ぼくはもともと中国武術も好きで、散打が好きというわけではなかったのですが、世界の国々は予想以上に本格的に取り組んでいます。台湾のレポートにも書きましたが、中には「なぜ日本は套路だけやって散打はやらないんだ!」と意地悪な挑発をする人もいます。日本は套路には熱心ですが散打には力を入れていません。別に散打を勧めるのではないですが、もう少し散打に力を入れてもいいかな、と思いました。ちなみに套路の競技はもう自選套路(注)になっており、動きの表現もより大げさになってきた感じがし、僕はちょっと違和感を覚えました。

(編集部注)自選套路は規定套路に対しての用語です。(体操の自由演技、規定演技のような関係)

またこういう国際大会で楽しいのは各国の選手と交流できる事です。世界の人々は予想以上にフレンドリーでした。去年のミャンマーのアジア選手権でも会った韓国、香港、台湾の友達と会えたのは楽しい限りでした(台湾では僕の大学の1年後輩の周も出場、彼は日本のK-1に興味を持っていました)。しかしより広い国際交流のため、やはり英語は必要だと思いました(僕が話せるのは中国語が出来る人だけです)。
最後に今年も出場の機会を与えてくれた東先生を始め、奥様、三輪先輩、お世話になった方々、どうもありがとうございました!この経験を今後、空道で活かしたいと思います。押忍!

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