飛永耕治(帯広支部) 画像コメント:東塾長
グランドゼロ(911テロ ツインタワー跡)
降って沸いた話の様に私へ今回の海外遠征の話が入ったのは11月に入ってからでした。多少驚きはしましたがすぐに家族会議?を開き妻も快くOKしてくれ、参加させて頂く事となりました。今回名張支部の中西支部長と三沢支部の五十嵐支部長も同行するとの事で両支部長共、内弟子出身の先輩(中西支部長)後輩(五十嵐支部長)ですが私の内弟子期間とほんの少しずつずれがあり一緒に長期寝食を共にするのは今回が初めてとなりました。
東先生、五十嵐支部長と共にサンシャインシティーホテル前からリムジンバスに乗り成田で中西支部長と合流、さあチェックインと思いきや、私の出る幕などどこにも無くまるでツアーコンダクターの様に全て東先生にやって頂き、当然出発の成田だけではなく全ての空港やホテルがこの調子で入国前飛行機内にて記述しなければいけないアンケート?でも着陸体制に入った大揺れの機内で「これを真似して書け!」と、私の席まで届けて頂いたり…はっきり言ってツアー客状態でした。
成田空港でのチェックインが無事終了後は、まずは恒例の乾杯そして搭乗、中西支部長と隣席となりお互い現役時代は二人共軽量級のはずなのに…なぜか今はエコノミーが妙に狭い…(誤解がないよう説明しますと中西支部長も私もビルドアップ?したものです!)。
それにしても機内で過ごす十数時間というものがこんなに辛いものだとは思いませんでした。常に同じ姿勢の為かお尻が床擦れの様な感覚で… 東先生からお話は伺ってはいましたが、定期的に運ばれて来る機内食にしても親鳥が餌を運んで来るのを口を開けて待つ雛になった気分というのがよく解りました(その機内食すら美味しく感じる自分が悲しい)。
11月21日19時05分に日本を経って、日付変更線を越えて来たので現地時間11月21日17時35分、ニューヨークJFケネディ空港に到着というのも(時間が戻った?)頭では理解してはいるのですが何か妙な感じです。
到着後、今回は現地案内役をしてもらう金子さんと合流、時差ボケを感じる間も無くセミナー会場にそのまま直行。準備運動、基本、簡単な組み技のコンビネーションと進んで行き、皆東先生の話に熱心に耳を傾け短い時間内で出来るだけ多くの技術を身につけようと何度も反復練習。
英語の喋れない私は簡単な単語とぎこちないボディランゲージで悪戦苦闘、(もっといろいろな事を伝えたいのに)英会話の必要性を痛感。
セミナー終了後は近くの韓国料理店に入り食事とニューヨークセミナーの成功を祝して恒例の乾杯、この日はこのままホテルに戻り先行きの不安とそれ以上の希望と期待を胸に、たった一日で時差ボケしている頭を休める為就寝。
チャンとやってるかなー
11月22日朝7時起床。この日一日はセミナーの予定も無く、11時に金子さんとホテルのロビーで待ち合わせ。待ち合わせまでにはまだ時間もあるのでホテル近くのマクドナルドで中西支部長と朝食。朝飯時という事もあり結構混んでいて、ニューヨーカー達の注文する品を見ていたら(あ、朝からそんなもん食うのかよ、飲むのかよ、みたいな…)今、アメリカ国民の6割の人が肥満と聞いて妙に納得。
五十嵐支部長の姿が朝から見あたらなかったので後で話を聞いたら一人で街の中をウォーキングしていたのにはびっくり!
11時に金子さんと合流後早速ニューヨークの街へ。この日東先生はコロンビアでのセミナーの事を考えるとこれ以上膝に負担をかけられないとの事でホテルに残って仕事をされていました。東先生は暇さえあればパソコンを開き、3日(時には2日)で1000件(!!!)を超えるメールと常に格闘されていて海外での空道の反響の大きさを再認識です。
金子さんの案内で地下鉄を乗り継ぎひたすら歩き、9.11テロ時に現場から発見されたというモニュメントを見学後、自由の女神を見る為観光船に乗船。金子さんの話によるとテロ前までは女神の中にも入る事が可能だったそうですがテロ後は入れなくなったそうです。その話を聞いて乗船前のボディチェックの厳しさと(ここは空港か?)観光船の横をずっとマシンガン付きの警備艇が並走していたのに納得。
遅いランチをステーキで(結構固くて脂っぽくて大味でした…)済ませてから東先生と合流、中村忠師範と会食という話もあったのですが東先生と時間の都合が合わず今回はなしとなり子供の頃は、「空手バカ一代」世代の私としてはほんの少し残念でした。
予定をホテルから徒歩5分で行く事の出来るブロードウェイ見学に切替えマジソンスクエァガーデンを横目に移動、電飾が鮮やかで日本にはない盛り上がりと雰囲気、私にとってここは正に他民族国家アメリカそのものを感じさせてくれるには十分過ぎる程の場所でした。
俺はこの方が自由なの! | |
興奮するしかないブロードウェー、タイムズスクウェア | |
マイアミ到着とカリへの出発を祝ってとか、何とかとにかく(笑)乾杯! |
11月23日ニューヨーク空港からマイアミまで12:05〜15:10と4時間(時差1時間)の移動、日本なら端から端まで行けるんだなと思うとアメリカの広さを改めて感じさせられました。2時間弱の乗継ぎ時間の間にコロンビアでの成功を願って恒例の乾杯、マイアミからコロンビアの空港に到着したのが23時近く。
遅い時間にも拘らず支部長のカエサドを始め道場生達が車数台で出迎えに来ており、内2名はバイクでカリ市内まで護衛として私達の車の横を並走。聞けばコロンビアには5万人のゲリラが住んでいて私達の泊るホテルの近くでもつい1週間程前に7人のゲリラが2(マシンガン)対5(短銃)に別れて撃ち合いをし1000発の弾が乱れ飛んだそうです。住宅も商店もドアや窓という窓に鉄格子が填められていてゲリラや強盗に対応しています。
この国を出て行く人達の理由の1番が「誘拐」で2番目は「仕事がない」だそうです。ちなみに私と中西支部長と五十嵐支部長との3人で少年部を教えている最中に道場近くのマンホールが爆発したのには驚きました。
遅い時間にも拘らず歓迎会を開いてもらい(もちろん鉄格子付きの店)この日はホテルにチェックインして就寝。
中華料理店(チャイニーズレストラン)も強盗対策の格子が!!
11月24日起床後朝食、濃い物を食べ続けていたせいかスクランブルエッグの素朴な塩味が凄く美味しくコロンビア滞在中の毎朝注文し食べていました。本日の予定は聞いてはいましたが、取材、記者会見、テレビ局?いまいちピンと来ないままカリ市の庁舎に移動。
この日は大統領が市庁舎に来ているとの事で上空には軍のヘリコプターが何機も音をたてて飛んでおり、そして何重ものセキュリティと…そこで初めて事の重大さに気付く!元々東先生がカリ市の名誉市民でもあり、武道母国日本からやって来たと言う事で歓迎ムード一色。私達の一挙手一投足全てが見られているわけですから、へたはうてない、しかしその分やる気も駆り立てられる!
「これが空道だと言う所を見せてやる」
海外遠征に出て実感させられたのは外国人の武道に対する実直さや姿勢がすばらしいという事です。(日本の中だけを見ていたらきっと解らなかったと思う)常日頃から東先生が海外での武道の位置付は非常に高く…と、おっしゃっていた事を実感する事が出来ました。又こちらで開催された試合はゴールデンタイムに全国区で2時間のライブ放送、その後はニュースで繰り返し何度も放送されたり、道中国際線の中では客室乗務員に「空道をやっているのか?」と話し掛けられたりマイアミの空港でもセキュリティの人間に「空道!知っているよ、私も武道をやっている」と深々と頭を下げられたりと驚く事ばかりです。
16:00からの少年部セミナーまで少し休憩を取って道場に移動、元々カエサド支部長の個人道場だったのでネーミングが「忍耐道場」と付いており一瞬目が点に。
少年部セミナーについては当日知らされた事もあり結構緊張しました(おまけにテレビ局までやって来た)。北海道のマイナスの世界から赤道付近にいきなりやって来て日中30度をこえる中、それでなくても汗だくなのに自分のテンションを落とさない様必死のボディランゲージは殆ど「体操のお兄さん」(お母さんといっしょ)状態。言葉が解らないなら解らないなりに必死でやれば何とかなるもので何処の国でも子供のリアクションと行動は同じだなーとしみじみ感動しました。
19:00からの一般部セミナーには明日試合に出場する者からフルコンタクト空手、テコンドー、柔術など、多種多様の人間が集まり基本、コンビネーション、最後にルール説明と進み、皆一応に集中力が高く真剣そのもので東先生の話や私達の指導に耳を傾けていました。
11月25日、この日は朝からフリーで昼にカエサド支部長と昼食、食事をしながらも今日の試合の会場設営、プロデュース等が気になっているらしく心ここあらずと言う感じでした。私もこの後中西・五十嵐両支部長と演武の打ち合わせがある為昼食を軽めにすませ(折角カエサド支部長に色々注文してもらったのに残してしまいすいません。)ホテルに戻ってから軽く演武の手順を確認。
>19:00スタジアム入り。ここでも私達はVIP待遇を受け、スタジアム内や周辺は軍が警備に当たっていたりと、とにかくバックアップ体制が凄い!
少し押し気味で開会式。思い切りショーアップされており大スクリーン2台に北斗旗の模様が流されていたりスモークの中からカエサド支部長が登場、いきなりバット折りを披露、空中を舞うアルミ箔と、とにかく派手。私達と進行について事前の打ち合わせがなかった事もあり、いきなりコールされ出番が来たり(「えっ、俺?」みたいな…)。今回主審、副審とやらせて頂きましたが人数の関係上3審制で行いましたので緊張感はかなりあったと思いますし色々な部分で大変良い勉強になりました。
ハプニング的な事もありましたが進行は順調?に進みいよいよ演武。演武については「日本からやって来た先生が行う」という事もあり、ある意味試合より注目されている感があり、中西支部長に受け手になって頂きキックミット・トレーニングを披露、終了後リングから一度降り反対側のコーナーに行き、すぐに五十嵐支部長の技、披露の相手役と大役でしたが、無事終了した事で気持ちが少し軽くなりました。
試合内容の方はまだまだ荒削りな部分が多々ありましたが、外国人特有のポテンシャルの高さにはやはり目を引かれ、彼らがしっかり技を覚えて来たら日本が又苦労するなというのが正直な印象です。
試合終了後は観客と記念撮影やサイン等を頼まれたりとその熱狂ぶりにはただただ驚きでした。大会会場を後にし食事を取る為レストランへ移動、打ち上げを行うものとばかり思っていたらカエサド支部長や関係者も来ないまま食事、翌日話しを聞いたらカエサド支部長を始め道場生、優勝した選手までもが会場の撤収作業を夜中の2:00までやっていたらしくこれには正直驚きました。
次の日、午前中だけでテレビを見た60人弱の人からカエサド支部長の方に問い合わせが入っており反響の大きさを感じました。これはメディアが行き渡っていない国では凄い事です。観客からは試合もエキサイティングで凄かったが、それと同じくらいに「礼儀」が美しい、と一応に皆口を揃えて話していたそうです。外国人にありがちな試合終了後に観客席にアピールしたりろくに礼もしないで試合場を降りた選手をもう一度試合場に上がらせ礼をさせる等、徹底して行ったからだと思います。
コロンビア大会 飛永主審「構えて!」 |
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決勝前演武五十嵐vs飛永 | |
マイアミ |
11月26日、カエサド支部長の案内でショッピングモールへ、御土産を買ったり食事をしたりとわりかし自由な時間を過ごし夕方の少年部セミナーまでホテルにて休憩、コロンビアでの滞在中、中西支部長、五十嵐支部長と同部屋となって既に4日目に入っており折角五つ星ホテルで総大理石の部屋なのにあちらこちらに洗濯物が干してあり殆ど合宿所と化していました。東先生を始め皆、暇を見つけては体を動かしていたのが印象的でした。
16:00からの少年部セミナーも2回目という事もあり大分慣れ、子供達とも意気投合?して楽しい雰囲気の中、稽古時間があっと言う間に過ぎた様に思えます。セミナー終了後に渡される終了証(東先生の証明サイン入り)を手にした時の子供達の表情は本当に嬉しそうでした。その後も私達に記念撮影をお願いしに来る子やサインを求めに来る子、サインに至っては少年部全員に書いた様な?
19:00東先生も合流され一般部セミナー開始。驚いた事に昨日試合に出場した選手も全員参加していましたが、体のダメージは隠し切れず相当痛そうでした。昨夜の試合を観戦に来ていた、コロンビアに柔道を教えに来ている(ジャイカ)宮城県警の千葉先生も講師に迎え、組み技中心に打撃からの締め関節と指導。私達が補佐していく中で、細かい所で解らない部分があったりすると、すぐに「先生」と質問をして来る熱心さそれに対応して私達も各自で質問をして来た道場生の間を行ったり来たりして教えている間にセミナー時間は過ぎて行きました。終了後は恒例となった道場生達との記念撮影&サイン会?一般部での2回目のセミナー途中、東先生にカエサド支部長から記念品が渡され、受け取った瞬間道場内が拍手と歓喜に包まれいつまでも拍手が鳴りやまなかった事がとても印象深く感動的でコロンビア遠征は大成功でした。
セミナー終了後打ち上げ会場に移動、乾杯(この時飲んだビールは本当に旨かった)こちらに長年在住され、今回通訳等もして頂いた山田さんや柔道の千葉先生も参加されコロンビアの生活事情等の話を聞かせて頂いたり、カエサド支部長と奥さんがサルサを踊って見せてくれたりと盛り沢山となった会は無事終演?
ホテルに移動後カエサド支部長を始め道場生達とはここでお別れ。カエサド支部長はきさくでとっても楽しい奴でした。私達と同じ志を持って地球の裏側で空道普及に邁進してくれるものと思います。
11月27日朝4:00起床
コロンビアからマイアミに移動、昼過ぎにはマイアミに到着、ニューヨークのブロードウェイにしろマイアミにしろ私とは縁遠くこの地に立っている事が不思議です。全日程の内、セミナー関係は全て終了し、本日は観光のみとなり、気持ちは軽くホテル内にあるジムで中西支部長共にウエイトトレーニングで汗を流しその後室外プールへ、東先生を始め全員でプールサイドで日光浴(命の洗濯)。
その後、前回のコロンビア遠征の時も通訳としてお世話になった牛田さん御家族(現在マイアミ在住)と16:00に合流。こちらに来る前も噂は耳にしていましたが会って納得、奥さんはすごく知的で素敵な方でした。御主人のボブはコロンビアの方で日本留学時代にお二人は知り合ったそうです。
合流後マイアミのビーチを案内して頂く事となりビーチまで移動、ビーチ街をあちらこちらと歩き周り要所々で記念撮影、ヴェルサーチの家の前でも記念撮影をしたのですが今迄ブランドなんか身に着けた事もなければ興味もないのに…「ま、いいかこんな機会でも無ければ」と昔からの愛好者の様な顔で撮影。皆で夕食を取った後ホテル迄送って頂いたのですが帰りの車中はさすがに疲れていたせいか爆睡してしまい大変失礼しました。気が付いたらホテルに到着していました。
牛田さん御家族との別れ際に御主人のボブから日本語で「私達の国の為に本当にありがとう」と感謝の言葉をいただいた時は感無量で、武道、空道の普及は人々に強い心や礼節を根付かせていっているんだなと改めて強く感じました。
11月28日、マイアミからダラス・フォートワース空港で乗継ぎ成田に到着。
今回の海外遠征は私に取って有意義そのもので、外国人の空道に対する意識の高さや拘り等を体感する事でき、世界にむけて確実に空道が広がりを見せている事を実感しました。偽物が多い世の中ですが世界への広がりに負けぬ様、地元北海道の地での更なる空道の普及に努めたいと思っています。
最後にこの様な機会を与えて頂いた東先生、奥さん本当にありがとうございました。又長期にわたり道場を空けてしまった間留守を預かってくれた帯広支部の道場生の皆にも心から感謝しつつ 今回の旅の報告とさせていただきます。ありがとうございました。
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