塾長母校での講演会に参加させて頂いて・・

五十嵐祐司(青森市・三沢・弘前支部)

今回は、東塾長の母校での講演に先立ち、演武を行うということで、お声を掛けて頂き、同行、参加させて頂いた。自分達が行う演武一つ一つに対する生徒の純粋な反応は自分自身も心地よく感じ、塾長も気分が良ければやると公言していた『三戦(さんちん)の型』を披露する運びとなったのだから、自分達と同じ様に気持ちよく思い本題の講演に入られたのではないかと思う。

講演のお題は『自分の夢をみつけよう』ということで、「中学時代の自分の夢は、あるときは野球選手であり、あるときは政治家であったりと、とにかく何者かになりたかった」という思い出話しを切り出しながら、『志を持つ意味、深さ』、そして『失敗が許される時代の有り難さ』などを実体験に基づき話され、その話の内容には、誰1人眠る子供たちもおらず、大人の自分たちも改めて共感する部分などあり、聞き入ってしまった。

今回の同行で特に印象深かった嬉しい出来事は3つある。1つは講演を主催した鹿折中学校の対応の素晴らしさ。校長自らの思いで、退職を控えた今だからこそ、地元が生んだヒーローに次世代に対しての息吹を吹き込んで欲しいという思いが十分に伝わってくるもてなしであった。そしてもう1つは、講演後、塾長のご実家に連れて行ってもらい、ご親族の情に触れ厚いもてなしを受けたこと。3つ目は、その日の夜に、塾長の著書『はみだし空手』にも出てくる千葉氏はじめとする気仙沼高校柔道部OB、地元支援者等との懇親、等々で非常に嬉しかった。

この懇親会では何が嬉しかったかというと上手く言葉で説明できないが、塾長はじめ、柔道部OBの諸先輩方は世間では俗に言う『団塊の世代』にあたる。因みに自分の親父も昭和20年、お袋も昭和24年と共に同世代である。人は個性を基にした様々な生き方があり、それを『団塊』という一つのくくりにはできないと私は思うが、ここではあえて使わせてもらいたい。

それぞれの家庭や自分の誇りを守るために、そしてこの気仙沼の地に現在いらっしゃるということは、愛する郷土の為に尽力、貢献してきた人生の先輩方である。国を語る前に郷土を語れ、だろうか。戦後日本が大きな変革を遂げ、激動の時代の中を走るように生き、世の中の波を作ってきた諸先輩。その世代の先輩方にとっては、還暦という一つの節目を目前に控えると同時に、『2010年問題』という大きな社会問題も迎えている。人によってこの問題への感じ方は様々であろうが節目を目前とした今、何を考え、これからはどういう生き方をしていくのか勉強になった。

そして、最近では希薄になっている一つの物事を通じて共に自己を高め合い、そこで培った友情や上下関係の『絆』や『信』の大切さを強く再認識させられた。こういったことも、一般的にはわかっていることだが、苦しいからやらないのが現代の風潮。しかしながら、苦しみも共にしなければ、真の喜びや感動の共有はありえないと思う。高校時代の柔道部という濃く短い時間を共に過ごした気仙沼の先輩、後輩の方々にとっては昔のエピソードを面白おかしく茶化しながらも、塾長の活躍、頑張りが時には励みとなり、勇気をもらうことがあり、心の片隅におけるヒーロー的な存在になっているのではないかと、あの席で感じたのは自分だけだろうか?それぞれ紆余曲折あり、顔のしわやシミを重ね、頭が薄くなった今でも、共にありのままの姿で話し合える関係は素敵だなぁ、と素直に感じてしまう。本当に、まだまだ元気な人達ばかりだった。

懇親の席で、塾長の高校時代の恩師や、後輩の千葉氏は、塾長に対して「他の生徒に対して学生時代は正に文武両道とはこういう姿であるという範となる存在であった云々・・」と話した上に、武道の大先生という立場から「混乱の空手界に『空道』という明確なものを築いた」という最大の賛辞を贈られていた。この世代を指導してきた範となる先生からのお言葉なだけに重みを感じた。

さて自分自身も、そろそろ社会の中軸といわれる年齢にさしかかる。ここまで武道漬けの人生できたのだから、形はどうあれ自分なりに武道を通して培ったものを、社会貢献していくということを真剣に考えなければいけない時期にきたのではないかと最近、つくづく思う。

今はハッキリ言えないが、それに対しては、先ず道着に身を包み、道場生と共に汗を流すという形は基本であり、今後も変わらないであろう。先を見据えた人生設計などと人は言うが、10年先、ましてや20年先の自分というのは当然、想像し難いことではあるが、大事なことは、明確な目標をもって純粋に1つずつ歩むということかなと・・・。漠然とではあるが、健全なニッポンづくりを担う一員でありたいと思いがある。

今回の同行を通して、年始早々、そういった意味での贅沢ではあるが自分にとってとても有意義な時を頂いた。最後に、同行の機会を与えてくださった東塾長及び奥様に感謝申し上げます。ありがとうございました。

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