このインタビューのインデックス > その4 「これからの空道の課題」
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次に団体としての課題について伺います。 |
一つは判定に関してですが、今後は審判に監査役をつける必要があるのではないか?という事です。私は大会審判長として全試合を見るために本部席にいます。実際には二面でなので、もう片面は高橋英明副審判長が担当していますが、来賓との挨拶、役員、委員への指示など理事長としての業務もあり、片面にしろ全てを見ていることができません。その為にも今大会では痛恨の見逃しをしてしまいました。選手には謝罪の言葉もありません。 |
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課題の一つは審判団の客観視とジャッジの裏付けということですね。 |
二つ目には審判の世代交代が進み過ぎ、今大会は経験の浅い審判員が多数を占めたということです。 |
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世代交代を急がず、ベテラン審判員の豊富な技術、経験をさらにブラッシュアップして全体的な底上げを図ると。 |
三つ目には「自力治療」の見直しがあげられます。 |
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※1 自力治療について・・・空道ルール「第五章 判定法」第34条 |
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確かに、選手は「勝ちたい」という思いで技によるダメージを隠したり我慢したりすることが無いとはいえません。この改定は事故を防ぎ、選手の安全を確保することにもつながると思います。 |
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ところであらためてお聞きしますが、4月のデモマッチ視察後、国際ワールドゲームス協会側から空道のルールに付いて何かコメントはあったのでしょうか。 |
先ほども言いましたが、ルールについて国際ワールドゲームズ協会のRon Froehlich会長からは、「エキサイティングでありながら安全性も高い、素晴らしい競技だ」と称賛されました。ルール面では2点だけご指摘を頂きました。 一つは「効果・有効・技有り・一本」の判定システムが分かりにくいということでした。確かに初めて見た場合はボクシング等のKOである「一本」以外の差は、すぐには分かりにくいという事はあるでしょう。審判によって旗の角度が曖昧な場合などは余計そうです。 |
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※2 パンクレーション・・・2004年アテネオリンピックの公開競技参加をめざした総合武道。「効果」を1ポイント、「有効」を2ポイント、「技有り」4ポイント、「一本」を8ポイントとするポイント判定制を導入した。1999年、大道塾東孝塾長がアジア地区審判部首席、世界連盟審判部に就任した。 |
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先ほどおっしゃった「一瞬一瞬が勝負だととらえる武道の考え方」にポイント制はそぐわないということですね。 |
もうひとつはジャッジにおいて主審が2ポイント(副審は1ポイント)をもつことについて「あれでは初めから主審が贔屓出来るのでは」という疑問でした。 |
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判定については大道塾設立から空道提唱までの20年間に、「公平なジャッジ」を念頭においた試行錯誤の上で現在のかたちが出来上がっている、ということですね。 |
国際ワールドゲームズ協会側にはこれまでの経緯をよく説明して行きたいと思います。 |
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ここで2013ワールドゲームズカリ大会(2013年7月25日から8月4日開催)について伺います。ワールドゲームズはオリンピックのように国対抗でなくその競技を代表する選手が競いあうかたちとなっていますが、「空道」の公開競技出場にあたり選手選考はどのようなかたちで進められるのでしょうか。 |
国内においては今回の2012体力別、秋の2012無差別、来年春の2013体力別の3大会の試合結果により選手の選考を行う予定です。 |
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具体的には? |
現時点においては試合規模が決まっていないので、どの国から何人の選手を出すかはまったく白紙の状態です。というのも、ワールドゲームズ公開競技の試合としてはワンマッチとなる可能性がありますが、2013ワールドゲームズ大会の主催国であるコロンビアの空道連盟が「空道」をより多くの人に知ってもらうためにワールドゲームズと並行してトーナメントによる競技会を開催しようと考えているからです。 これについては今後、国際空道連盟のなかで会議を重ね検討していく予定です。 |
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それでは、選考のひとつとなる秋の無差別(2012北斗旗全日本空道無差別選手権大会)にむけ挑戦する選手たちへメッセージをお願いします。 |
先にも言いましたが空道が世界につながる道に立った今、より高みを目指す選手たちの熾烈な争いが予想されます。これまで以上に日頃の稽古を大切に精進してほしいと思います。 |
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秋の大会のトピックはありますか? |
2011無差別より試行したユーストリーム中継は今回の2012体力別でも12,000以上のアクセス数を記録しました。「空道」という競技や選手を知ってもらうために有効な手段と考えています。今回の「2012体力別大会」では、施設の設備の関係で片面しか放映できませんでしたが、今度の秋の「2012無差別大会」では、これまで要望の多かった「両面コート中継」を実現していくことを調整中です。これまた予算の関係で出来なかった(泣)「試合解説」も行いたいと思います。 |
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(編集部注)「2012北斗旗全日本空道無差別選手権大会」 「2012全日本空道ジュニア選抜選手権大会」は11月10日(土)東京・国立代々木競技場第二体育館において開催されます。 |
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それではこれまでのお話しのまとめをお願いします。 |
既に皆さんもご存じのように、日本ワールドゲームズ協会のサイトで全日本空道連盟の入会が公表されております。このような権威あるサイトでの公認は、一般的には「知る人ぞ知る」だった「空道の知名度向上」には計り知れない影響があるものと思います。
1981年の船体建造より20年目の2001年、北斗旗第一回空道世界選手権大会を開催し、まさに「無謀な!」という表現を浴びながら、空道という海路のない旅に乗り出してから12年、独自のアンテナとレーダーを頼りに新しい海路を拓きつつ、同時に度々のバージョンアップにより最新機能船へと変貌した「空道」という大型船が、いま正に、大船団の中に位置を得て、今まで以上に晴れ晴れと、堂々と世界へ通じる大海原へ乗り出すのです。 |
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「歴史に残る大航海」に期待します。本日はありがとうございました。 |
以上で今回のインタビューを終わります。
このインタビューのインデックス > その4 「これからの空道の課題」
更新日 2012.7.12