押忍。浦和支部長の渡辺です。今回5年ぶりに関東予選に参戦いたしましたが、塾長から「簡単なもので良いからレポート(大会総評)を」との命を受けましたもので、以下報告させていただきます。
四人の総当りで争われたこのクラス。しかしどの選手を見ても前世代の選手(前原,岡等)と比較すると、まだまだ力強さに劣るように見える。優勝した吉倉(横浜北)は体力指数234という体格を武器に春の関東予選三連覇中だが、外国人女性相手ではその体格も今ほどのアドバンテージにはならないだろう。選手皆、尚一層の体力up、技術upを望みたい。
なんといっても注目を集めたのが49才渡辺(浦和支部長)の参戦。本命不在で混戦必至と見られたAブロックから見事に三勝を上げて決勝進出し、満場の拍手を浴びた。
その渡辺の快(怪?)進撃を止めたのは宮地(八王子)。現役トップ選手の一人として「舐められてたまるか!」といわんばかりの気迫あふれる猛攻でダウンを奪い、激勝。飯村吉祥寺支部長直伝の切れのある突き蹴りには以前から定評があったが、今はウエイトトレーニングにも励んでいるとのことで、今回は更に力強さが増したように思う。
他には「事実上の決勝戦」として宮地と準決勝を争った谷井(早稲田)も期待通りの活躍を見せた。
優勝した内田(総本部)は「突き蹴りから投げ、決め」という大道塾の保守本流ともいえるスタイルを受け継ぐ。これまでの体落とし、支え釣り込みに加え、後ろに倒す刈り技も覚え、成長の後を見せた。二位の今村(横浜北)はムエタイスタイル。三位の須磨崎真(水道橋) 。伝統空手+柔術。それぞれ異なるスタイルで活躍を見せ、「この幅の広さこそが空道だ」と印象付けた。ちなみに須磨崎は表彰式は欠席。何かと聞けば、試合終了後すぐに仕事に向かったとのこと。仕事も頑張り、空道も頑張る。まさにアマチュア武道家の鑑である。
参加者17名、最激戦区となった−250クラスを制した鈴木は、まだキャリア3年半で21才の鈴木(府中)。全国的には未だ無名ではあるが、昨年に続いての二連覇でその実力が本物であることは証明済み。本戦での活躍が期待される。二位に入ったのは、昨年の体力別でいきなり準優勝し全国に名前を売った魚津(八王子)。今大会でも打撃、投げ、寝技とどの分野でもそつなくこなす完成度の高い組手が目を引いた。
北斗旗全日本で二連覇中、既にこの階級の絶対王者となりつつある阿部が参戦。打撃、投げ、寝技のどの展開になってもまったく危なげなく、周囲との実力差を見せ付けるように優勝した。よりいっそうの成長を期待してあえて難を探せば、相手のパンチをスウェイでかわすシーンが目立つところか? 日本人選手相手ではしっかり見切って、返しのパンチを当てられる場面でも、ロシア人選手のパンチに対しては「予想外に伸びてきて被弾した」とか「何とか見切ったが返しのパンチが届かない」等というシーンもありえそう。どこかで国際試合の経験が積める機会があればいいのだが・・・。
準優勝の稲田は'97の体力別初優勝以来、常に試合に出続け、且つトップクラスの座を守り続けている。まさに生涯武道の実践者である。
四選手の総当りで争われたこの階級。優勝したのはクラス最小兵の保坂(北本)。もっとも身体のサイズはともかく、突き蹴りのパワー、スピードでは、明らかに他の選手よりも一枚も二枚も上。改めて基礎体力の重要性を知らしめる結果であった。
最後に、やや個人的なことになりますが、今回の準優勝という結果は、私にとって、地区予選での過去最高成績でした。また決勝ではダウンを取られて負けましたが、計四試合を戦って怪我ゼロで終われました。あれほど激しい戦いををこれだけ安全に行え、また(例えば私のような)特別な才能のない人でも稽古さえ続けていけばいくつになっても強くなれる。そんな空道という競技、武道の素晴らしさを今再度、改めて実感し、感動しているところです。
皆様もご存知の通り、今年、あるいは来年は、大道塾、空道にとって一世一代の大勝負の年と言うべき年となっています。この素晴らしい空道をよりよい形で後世に残してゆくために、塾生一丸となって頑張りましょう。
浦和/北本/大宮西支部長 渡辺慎二
女子の部
1位/吉倉千秋(横浜北)
軽量級
1位/宮地孟(八王子) 2位/ 渡辺慎二(浦和)
中量級
1位/内田淳一(総本部) 2位/今村基宏(横浜北)
3位/須磨崎真(水道橋)
軽重量級
1位/鈴木智大(多摩府中) 2位/魚津礼一(八王子)
3位/野田洋正(横浜北) 4位/ジェイソンアンゴーブ(吉祥寺)
重量級
1位/阿部和幸(新潟) 2位/稲田卓也(横浜北)
超重量級
1位/保坂智雄(北本)
更新日 2012.3.23