2月18日、総本部3階道場において海外支部長2名の特別審査会が行われました。
左:UAE支部Matvey(マトベイ)支部長、右:チリ支部Rafael Garay(ラファエルギャレイ)支部長
さて、少し遅くなったが、先日(2月18日)の審査に付いて思ったことを2,3点あげてみたい。空道大道塾の昇段審査には様々な規定があるが、今回関係するものを2,3紹介します。
まず「初段が稽古日数250回以上(他の武道・格闘技経験者は軽減措置有り) 。その後は、弐段受験に2年、参段受験に3年、四段受験に4年以上というように、受ける段数と同数の年月が必要」。次に「支部長は自分の3ランク下までは昇級、昇段を本部に“推薦”できる(従って四段になれば初段までは推薦できる)」という規定があります。
通常、海外の支部で昇段審査を受ける者は、我々が遠征を行った折に審査となるのですが、しかし、自分の規定年数を満たした時に、上手く我々の審査があるとは限りません。ましてや、今はどこもdepression/recession(不況、不景気)だから、簡単に日本からの遠征団を呼んだりはできません(前にも触れたが、日本側だって遠征して利益がある訳じゃないから、好んでは行きたくない 泣)。
しかしそうなると、地区でドンドン受験該当者が出てくるのに、支部長が四段になっていないから、入門者の憧れである“空道黒帯”の審査を見てやれないという事態が出てきました。それでは空道連盟としても、空道の海外発展の機会を奪っているようなものですから、本来は(情実を避けるために)「六段以上の審査は日本で受験すること」としていた海外支部長の審査(昨年のロシアの支部長 *2013審査会記事)を、今年からそれ以下でも、事情によっては受け付けることにしました。
始めは一昨年の関東合宿に参加しオーストラリア支部を再スタートさせたポール支部長(初段)も参加する予定だったのですが、体調不充分という事で見送り、UAEのマトベイ支部長(弐段)と、チリのラファエル支部長(参段)が来日することになりました。
UAEのマトベイ支部長はロシア人ですが、UAEで弁護士の仕事をしながら空道の普及に余念の無い「空道大好き」、「日本武道大好き」人間です。 彼も-250クラスでの世界大会への出場を考えている現役選手だから、相手も日本人の選手クラスが欲しい所でしたが、同じクラスが当日集まらなかったので、-230の中村、-240の内田の二人に、BCのI弐段、一般で-260だが緑帯のF、練習ではいい動きを見せてる-240のKといった面々。空道組みルール(投げと肘、膝)と寝技では、少し物足りない所がありましたが、(挌闘ルール(突き蹴り投げまで)は、2勝2引き分けとしたのが大きかった。それは大抵の選手はパンチをワン・ツーで止めて蹴りに行くところを、ワン・ツーの後に、スリーでもう一度左ストレートを出すことで、相手が反撃しようとする出鼻を殺したり、度々ヒットして次に繋げていたのが、功を奏していたからです。結局、レベルも十分な相手に3勝2敗4引き分けで5点を取ったので、私の推薦で合格としました。
一方のチリのラファエル支部長、元チリ大学の経済学部長を30才直後に務めたような、、また自主退官してからもCNN Chili(youtube掲載動画)でも経済解説をするくらいの有名な経済学者で、空道の実力も(世界的トップ選手とまでは行きませんが)一昨年の「第2回南米大会」の-260クラスで優勝したほどの、正に“文武両道”を地で行くような、“漢(酒も強い!)”です、顔はそう見えないですが(笑)。勿論、職業とか酒が強いは昇段の理由にはなりませんが(笑)、空道、大道塾の昇段は「通常審査」と「試合審査」の2種類で審査されます。前者は基本、移動、組技、寝技、約手、組手というもので、始めて審査を受けるものは必ずこれを受けるようですが、後者は2回目以降の審査で可能なもので、基本~約手までは前回の審査の時点では合格している者が、最後の組手の代わりに試合での勝敗、内容によって初級、昇段を審査して貰うものです。但し、あくまでも基本~約手も練習を怠っていればレベルは低下しますから、それらも再度審査する必要から、「通常審査」と「試合審査」は交互にしかできません。即ち、連続しての試合審査はできません。
今回、彼が組手が出来ないと分かっていても審査を受けたのは、この制度での審査を受けるようにとの私の“命令”があったからです。 第2回南米大会では試合審査を受験せず、昨年のワールドゲームズで審査する積りでいた所、試合の直前に右肩鎖関節(いわゆる鎖骨)骨折を負い、出場を見合わせたことがあり、その程度が6段階中5度という酷い怪我で、医師には「当分組手はしないように」と宣言されてましたが、総本部として受験させる理由があったからです(めったにこういう事はありませんので、変な事は考えないように 笑)。 彼には前述したような十分な実力があることは、私だけでなく遠征に同行した支部長も実際に見ており、参段昇段以来4年以上経過し昇段受験の条件を満たしていること、爆発的に広がっている南米地区のリーダーとして近隣の国々でも彼の四段昇段を待望していることから、国際空道連盟として承認し私の命令で超多忙な中をワザワザ来日させました。
審査会当日は基本、移動、組技、寝技、約束組手の全てに亘り昇段に充分な技量を見せましたが、彼はそれでも「自分は実際に組手をしてから昇段したいです」と言うので、説明、説得が必要だと思い、その場ではもう一人のUAEのMatvey支部長のみに昇段を允許しました。その後、上記の理由を説いても、「塾長の命令とは言え、又、南米地区の初段までの推薦義務は分かりますが、まだ自分では納得できません。もう一度お願いします」と頑として聞き入れません。彼は本物の“サムライ”と言って良いでしょう。今時そんな弟子は日本人にだっているかどうか(泣)。 仕方がないので、次の日、わざわざ彼の宿泊先まで、押しかけて再度、命令した所、多少は頑固さは和らぎましたが、滞在中には頑として首肯しませんでした。でも、これは絶対に認めさせる積りです。私だって、二度も同じ審査を見るほど暇じゃないので(爆)。
更新日 2014.3.13