更新日 2016.4.4
関西本部 指導員 山田 壮
押忍、関西本部山田(壮)です。この度セコンド・審判要員として西日本大会に赴いたのですが、塾長より「レポートを書きなさい」と言われ、僭越なが書かせていただきました。
総括
1ダウンまたは3ポイント(効果3つ、または効果1、有効1以上)で試合終了という予選・交流戦ルールのため、展開が早くなった気がします。また、10代、20代前半の若いころからの空道修行者が増えたことで、これまでの他流経験からの転向者ではない選手が増え、打投極をすべてできる若手が現れ、これからの空道新時代を感じさせる大会となりました。反面、30・40代のベテラン勢もまだまだ健在をアピールしており、特に-230で優勝された門井選手は、その10、20代の選手が生まれる前から大道塾で経験を積んできたという自信にあふれた素晴らしい試合をされたと思います。また、川下選手、渡部選手、辻野選手といった各階級の日本代表・日本王者が「まだまだ健在」をアピールし、ベテラン・新鋭入り乱れた熱いトーナメントとなりました。
シニア打撃ルール
塚田選手、青山選手、設楽選手の三つ巴のトーナメント。名張支部の青山選手は体格にも恵まれ、その体格を十分に活かした打撃で設楽選手、塚田選手に勝利し優勝を勝ち取った。しかし最軽量・最高齢である関西本部の塚田選手がその青山選手から10p以上の身長差でありながらパンチによって効果を奪った点も注目。
シニア空道ルール(軽量級)
軽量級五角形トーナメントでは最年長、櫨選手が独特のスタイルで試合に赴いたのに注目したい。残念ながら今回は敗退してしまったが、様々なスタイルで試合ができるまさに「大道無門」を象徴する試合だったといえる。優勝者は四日市支部の川瀬選手。大阪南支部弘田選手を破って優勝に輝いた。
シニア空道ルール(中量級)
前半ブロック注目の試合は昨年王者である関西本部の山田選手と西尾支部小原選手の対決。山田選手のフック、ストレートを小原選手が華麗なボディワークでさばき、的確なパンチでポイントを奪い小原選手が決勝戦へ。最年長、岡崎の奥田選手は初戦のダメージが大きく、二試合目を棄権した。後半ブロックも拮抗した対決が続いたが、関西本部西村選手が最年長で決勝戦へと駒を進めた。決勝戦、前試合同様小原選手がボディワークで西村選手のパンチをさばききり、カウンターの打撃で効果を奪い勝利。
シニア空道ルール(重量級)
関西からのシニアクラス全日本王者である岩崎選手不在のトーナメント、全員にチャンスがある中で制したのは日進支部の東出選手。決勝までの2試合では長身を生かしたパンチによる効果を大量獲得し、決勝へコマを進めた。他方、大阪南支部で西出支部長より指導を受ける杉山選手は関西本部小坂選手、名張支部大西選手を下し決勝へコマを進めた。決勝でも前に出る杉山選手に対し、東出選手がパンチで的確にポイントを獲得、勝利をものにした。
U19男子
八人トーナメントとなったU19男子の部、うち6名が日進支部、1人が岸和田、1人が名張となったが、決勝戦は少年部上がりの穴となりがちなパンチで効果を大量獲得して勝ち進んだ田中大貴選手と岸和田支部で少年部より修行を続けている曽山選手。決勝戦は大人顔負けのスピーディーな対決となったが、曽山選手のけり技が勝利を掴んだ。
U19女子
少年部から長く続けている選手が多いU19、優勝者は小川英樹支部長に学ぶ四日市支部の吉田麗央音選手。本トーナメント最軽量ながらスピード、手数、間合い感ともに群を抜いていた。特に決勝戦、体力指数で24も差があり、鋭い蹴りで突き放す日進支部の木戸茉琳選手の蹴りをさばき、的確にヒットさせて延長の末勝利。
一般基本ルール
将来の空道選手の発掘の場となっている基本ルールでは中部本部の新鋭佐藤選手が最年少にて勝利。しかし無差別の大会に-230にも満たない体力指数で挑戦し、体格で勝る相手と拳を交えた西尾支部の林選手、藤井選手と言った選手にもエールを送りたい。
一般格闘ルール
空道ルールより寝技を省いた格闘ルールにおける試合では、関西本部西幹選手が日拳仕込み(四段)仕込みの左直突き(ストレート)で効果を稼ぎ3連勝。本トーナメント最長身長な上にサウスポーのストレートパンチャーという、制空権の広さをフルに活かした戦術だったといえる。以前より格闘ルールでは柔道、空手をはじめ他競技の経験者が培った技術で勝利を掴むパターンが多くみられる。しかしその技だけに頼っていては予選では勝ち抜けない。西幹選手の今後に期待したい。次に2勝につけたのは四日市支部のアハマド選手。達人小川英樹支部長に指導を受けているだけあって地力はあったが、年長で武道経験も長い西幹に届かなかった。
一般空道ルール
ワンマッチ戦。太道出身の山田晋也とボクシング出身の永井淳司選手の対決。
山田選手が伸びのある打撃から、外人選手ばりの飛び後ろ回し蹴り、後ろ蹴りまで駆使し終始試合をコントロールし、勝利。
186pという長身で打撃の下地があり、さらに京都で柔道四段の赤木選手から組技の手ほどきを受けている山田選手は今後の西日本の260+で活躍できる選手に思われた。また、敗退した永井選手も恵まれた体格とボクシングテクニックをベースに空道の戦い方を学んでいけば、今後二人が北斗旗予選、北斗旗の舞台での再戦もあり得るのではないだろうか。
北斗旗予選
(女子)
空道一家に生まれ、物心ついた頃から空道を学んでいた神山選手と、警察官で柔道経験者の渡邊選手の一戦。昨年の大会では神山選手の手数に圧倒された渡邊選手だが、今回は打撃と打撃をすかしての投げ技で終始試合をコントロールして軍配をあげた。
(-230)
前半ブロック、空道歴27年(!)の門井選手が打撃、投げ、寝技とすべてを活用して岸和田の若手堀選手、日進の柏選手を制して決勝ブロックへ。後半ブロックでは柔道四段の赤木選手が投げと寝技を駆使してベテラン羽島選手(関西本部)、高垣選手(日進支部)を下して決勝ブロックへ。打撃、組ともに一進一退の闘い。赤木選手が投げを打つも門井選手は捌いて立ち上がり、寝技の展開にならず、お互い決め手のないまま延長戦へ。延長戦赤木選手にも寝技でポイントを取れるタイミングもあったが、決め手のないまま判定。クリーンヒットの数の多かった門井選手が本トーナメント最年長にして優勝を奪取した。
(-240)
前半ブロック、昨年の全日本・アジア王者川下が新鋭・寺坂のスピード、渡邊の柔道仕込みの組を生粋空道家ならではの打撃と組のコンビネーションで制して決勝戦へ。後半ブロックからは日進伊東選手が19歳の若さで決勝まで駆け上がった。決勝の日進対決では川下選手のラッシュが伊東選手を飲み込み、川下選手貫禄の優勝。
(-250)
五角形のリーグ戦。第四回世界大会強化選手の日進・杉浦が神戸・中村選手、静岡・高橋選手を打撃で制して決勝へ。一方で関西本部野田選手が持ち前のラッシュと圧力で神戸・中村選手、藤井選手を圧倒して決勝へ。四度目となる杉浦vs野田の戦いは、打撃の間合いを確保する杉浦と距離を詰めてラッシュで飲み込みたい野田がお互いのわがままを通す戦いに。延長までもつれ込むも杉浦の空間把握能力が野田の圧力をさばききった。
(-260、260+混合)
6人中3人が国際大会経験者、さらに1人が他流という豪華な顔ぶれの本階級。前半ブロック、世界大会4位の辻野が中部の菅選手、北河内の豊田選手を掌底のラッシュで制し、決勝へ。後半ブロックではMMAファイターの石中選手を岸和田・「寝技マジシャン」の異名を持つ渡部選手が上段回し蹴りで効果を奪取。日進・伊藤選手は渡部選手との対決では伊藤選手が体調不良により、本戦終了後まさかの棄権、渡部選手が決勝へ。岸和田同門対決となった決勝戦、辻野選手の掌底ラッシュで渡部選手が膝をつき、予選規定(1ダウンで試合終了)により辻野選手の勝利となった。