中国四国地区 運営委員長
村上智章
3月19日快晴の日、とびうめアリーナ(太宰府市総合体育館)にて、体力別予選・交流試合が開催された。地区大会でこの会場が使用されるのは初めて。聞けば昨年11月に完成したばかりの新しい施設とのこと、畳もまぶしい武道場での大会開催ということになった。
大会進行は、前半がジュニア中心、後半はジュニア上位の戦いと予選の部・一般の部・シニアの部織り交ぜての戦いが繰り広げられる形。ジュニアの部は56名の選手が参加、近年の北斗旗全日本におけるジュニア出身選手の活躍を考えると、九州地区ジュニアの層の厚さは心強い。学年が上位になるにつれて、打撃から投げへのスムーズな移行といった空道らしい場面も多く見られ、技量の向上がうかがわれる。ジュニアの大会常連選手の顔も多く見受けられ、本大会出場者から全日本にチャレンジする選手が現れるのもそう遠い話ではない。大会入賞者には、まずはジュニア全日本での活躍を期待したい。
交流試合一般格闘ルールの部、優勝者は栗山哲。20代、30代入り乱れての戦いを制しての優勝。栗山の試合記録を見ると、3試合のうち、2戦をそれぞれ右ストレート効果、右ハイキックの効果で勝ち上がり、もう一つの戦いも本戦5−0で危なげなく勝利している。現在7級。今後、北斗旗予選へのチャレンジを期待したいところ。
さて、北斗旗体力別予選。今回は230以下の部と230超の部に分かれて試合が行われた。230以下の部、九州沖縄地区大会常連の田中正明。本大会期するところがあるか安定した戦いぶり。初戦の小野から送り襟締めで一本、2戦目の篠田も寄せ付けず5−0で勝利。順当にいけば田中優勝に思われたが、そこに立ちはだかったのが関西から参戦した小芝裕也。思い切りのいい打撃連打で、対篠田戦右ストレート、ハイキックでそれぞれ効果をとり勝利、対小野戦、左右のフック、膝蹴りでそれぞれ効果、最後はミドルキックで技ありを決めて勝利。小芝、寝技の展開も速い。優勝の行方は小芝−田中の最終戦にもつれ込んだ。今回の田中、安定感のある戦い方、小芝の多彩果敢な攻撃に動じず、本戦は2−1で田中優位、しかし、延長戦になっても小芝の積極的な攻撃は衰えず、田中受けにまわる場面が目立つように。決定的なポイントを奪うことは出来なかったが、終始攻勢に出たことが評価されて、延長戦5−0小芝勝利。230以下の部は小芝選手の優勝となった。
230超の部、その巨体を活かし、若手の中桶からマウントパンチ効果2を奪って勝利した佐藤和浩、古豪藤田斉からもニーオンザベリーでのパンチ効果を奪い、決勝進出。もう一人の決勝進出者巻礼史は、今回熟練の技が光った。対有川戦、ニーオンザベリーでのパンチ効果に加え、ふところにスッと入っての背負いからマウントに移行し、パンチ効果で勝利。続く中桶戦、身長の高い中桶にてこずるかと思われたが、開始早々、背負いからの極め、すぐさま腕ひしぎ一本勝ちと秒単位の勝利。負けた本人もあとで「何をされたかわからなかった。」と述懐するスムーズな展開。
決勝戦佐藤−巻。体力指数差30超の戦い、体力に勝る佐藤優位と思われたが、開始早々パンチで巻が効果をとる。そこからすぐさま背負い投げ、投げからの極め、そして腕ひしぎ一本。よどみない技の連携で一本勝ち。あまりにもスムーズな展開のため、勝敗決定後、審判団でポイントに関して議論があった。というのは、予選の場合、3ポイント先取したものが勝利、そこで試合終了ということになっている。今回の場合、最初のパンチによる効果に加え、続く背負いが「鮮やかな投げ」として効果とカウントされた場合、続く(投げからの)「きめ」で3ポイント、そこで勝敗は決し、試合終了となる(最後の腕ひしぎ一本は不必要だったということに)。投げからの極めへのめまぐるしい展開の中で、背負い投げを審判が「効果」と評価していたのかどうかが議論された。投げから極めの過程で揚げられた旗は、投げの効果を意味するものだったのかということ。審議の結果、背負い投げでの効果は成立していなかったこと(効果の旗はあくまで投げからの極めを指していたということ)が確認され、巻の一本勝ち。勝敗にかかわる話ではないが、試合の公平な評価のためには確認しておかなければならない事項。見方を変えれば、審判団がこうした議論をせざるを得ないほどに、巻選手の技、その展開がスムーズ、スピーディであったということ。巻選手優勝,円熟の境地。
大会全体の評として、層の厚いジュニアに今後大いに期待したい。予選では40代の活躍が目立った(230超優勝の巻も40代)。ベテランと若手の切磋琢磨が活力の源泉、20代、30代の活躍に今後期待したい。特に交流試合一般格闘ルールに挑戦した20代、30代の選手には積極的に北斗旗予選にチャレンジ、全日本を目指してほしい。
大会進行に関し、公正な判断に向けた審判団の努力に好感が持てた。審判団の技量向上は、ルールの確認熟知は当然のこととして、実際に審判を行い、経験・反省を重ね,経験の中から浮かびあがる疑問点等を積極的に質問、議論し解決していくことが必要。九州地区では、審査会等でも審判制度を施行、審判団の技量向上を図っているとのこと。公正な判断のため、いっそうの技量向上につながるよう、前向きの姿勢を失わず、精進してほしい。
本大会、審判団をはじめとするスタッフ一同の貢献にも感謝し、本レポートを終えたい。
各位ありがとうございました。
更新日 2017.04.07