コラム13 矢のごとし光陰に、爪痕なりを(「還暦雑感」改稿)

(編集部注)当文章は6月に掲載された「還暦雑感」を大幅加筆修正し第三回空道世界選手権大会パンフレット(2009年11月発行)に掲載された「矢のごとし光陰に、爪痕なりを」を転載したものです。

この所、何回か遠征レポートを書くべき時の言い訳にしている常套句「忙しくて書く時間がないので・・・」は、皆さんからお祝いをして頂いたという事の性格上、今回はできないと思うので観念してPCに向かっています。

この度、私もお陰さまで還暦の年を迎え様々な機会に、様々な人たちから、様々な形でお祝いをして頂き、誠にありがたいことだと心から感謝し、御礼を申し上げたいと思います。

これを機にまた自分の人生のテーマである「空道」普及のために邁進したいと思いますので、今後とも宜しくご指導、ご鞭撻、ご協力のほどをお願い申し上げます。 本来なら各方々に一々御礼をしたためなくてはなはらない所ですが、誠に不躾、非礼は重々承知しておりますが、この場をお借りして、御礼の言葉とさせて頂きます。

(宴会の連続で記憶が覚束ない上に、ご出席者の一覧(住所なし)を頂いたのはごく一部で、少ないスタッフで世界大会の準備に天地をひっくり返えしているような状態の本部の今日この頃では、住所を確かめるのも一仕事なものですから。)


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ここからはオマケです。永遠に「木鶏(もっけい)たり得ない」所か、“チョイワルオヤジ”ですらない軽薄オヤジの駄文です。忙しい方は、以降は無視してください。(例によっての“デスマス調”と“デアル=偉そう”調の混交はご勘弁ください。)

弟子たちとしては初めは「塾長の先輩である他団体の諸先と同じように、ホテルで大々的に・・・」という考えもあったらしいのですが、「今のマイナス10歳が、昔の年齢感覚だ(※)」といつも言ってる上に、特に成長の遅い私自身まだまだ昔的な意味での“還暦”という意識はない。恥ずかしながら、老成度はまだ2-30歳代かも (笑)ので、70歳まで動いていた時はお願いしますが(笑)、今回は遠慮させて頂きました。
※2006年現在の日本の還暦以上の人口は何と26.4%(約4人に一人!!)である。なにも珍しくはない。

但し、みんなと一緒に「ああでもないこうでもない!!」と口に泡を飛ばして騒ぐことには全然/全く吝かではないので(笑)、色んな層(本部現役塾生、元本部先輩塾生―直接私に殴られ蹴られた世代 笑、支部長達、本部BGMクラス、本部午前のクラス、等など)の色んな場に呼んで頂き、今まで何と5回(あと1回ある!)の楽しく激しい(笑)宴を重ねさせて頂きました。(既に300歳です 爆!)ここに改めて、重ねて御礼を述べさせて頂きます。(口の悪い弟子に言わせると、「これは塾長に殴られ蹴らの塾生が今まで恨みを返そうとの、形を変えたリベンジじゃないすかね。」、となる 笑)

悪ガキの出来そこないみたいな、“多感なオヤジ”である愚生にとって、毎日書きたい雑文の“お題” (主に愚痴、悪口など 笑)は一杯あるのですが、塾長兼秘書兼雑用係の身には、毎日来る(襲来する?)国内外からの結構な数のメールは、気付いた時に、逐次返事しないと、すぐに「どこから手を付けていいか分からない状態」(しかも海外からのは返事が一昼夜後になってしまう)になるので、朝方(世間では夜中?)に起きると同時にMicrosoft Office  Oulookを立ち上げるというのが、ここ十数年来の習慣になっており、中々こんな楽しい時間は持てません。(実際、世界を掌-たなごころーにしているような気になって、偉そうに好き勝手書けるというのは、一端の訳知りになったような、酒が回って来て「俺の歌を聞け!」状態になり始めたような、飽きない楽しみっす、 笑 暇のある方はお付き合いください。)

俺の歌を聞け!

つけなければただの沈黙する菓子箱(私に関連する“沈黙する臓器”ではなく。 脈絡不明。失礼)みたいなノートPCが、スイッチを入れると同時に、突如、居丈高に、所構わず、ガナリ立て、公私の別なく、様々な要望、要求、文句、愚痴(悪いことばっかりか!)といったあらゆる有象無象、森羅万象(大袈裟か!)を、ボーとした頭に目に、一気に捻じ込んで、私の闘争心に火を付けます(笑)。

その上、生来がヤジ馬な小生としては「買っても読む時間がないからなー」などと思いながらも、朝刊の広告に良いタイトルを見てしまうと、新刊書だけでなく、週刊誌4誌、月刊誌3誌にもツイ手が出てしまう、病気持ちですから。(今年月刊2誌が廃刊になったので関係者―書く人、出版者/社―には申し訳ないが、「これも読んでおかないとなー!」という強迫観念から少しは解放されたー!!)

「日の下に新しきことあり」(?)は一番恐ろしい“退屈な日々”を消してくれるのでそれも良いのですが、それも程度問題です。語を短縮したり、レッテルを貼り説明を省きたい今はやりの風潮なのか、はたまた命名者になりたい医者か学者が考えるのでしょうか(穿ち過ぎ?※)、何にでも新しい病名を付ける昨今の風潮からは、これを「何とか症候群」というそうですが、何となく毎日がPCに追われて過ぎて行くような気がしてし、さすがにたまに「これで良いのか?」と思う時もあります。※やはり同じことをある学者が言っていた笑

とは言いながら、殴る蹴るを教えて(直接、加えて 笑)、挙句、偉そうに説教を垂れている私のような、ある意味特殊な世界の住人はそうやって目をキョロキョロさせ、手を広げないと全くの世間知らずで終わってしまい社会のお荷物になりかねませんのでヤジ馬にならざるを得ません。

そんなきのう今日、いくら酔脳(得意の出鱈目な造語です。酔眼があるならこれもありかと)とは言え、何十倍の濃密な生き方をしている人の言葉を勝手に引いて話すほど、昼から酔ってはいないのですが、ある雑誌の巻頭言で、ある高名な作家の方の言葉には本当にハッとさせられました。

「だけど〈○○○※〉の頃の若き日からいつの間にこんなに歳月が経つて了つたんだらうね」ということを友人への手紙に書いた、と。この所みんなに言われる「60歳ですね。(おめでとうございます)」の度に何とはなしに想うのも、まさにこんなことだったから。※同人誌の名前

改めて過ぎた日々を振り返ると、若いころに感じた「人生てのは、なんて退屈でなんて毎日が長いんだ(だから飲んで歌って面白がんなくちゃ、となった訳では・・・あるか 笑)」と思っていたのが、気が付けば決まり文句の「光陰何とか」じゃないが、忽ち、「ほんとうに人生てのは短いものだなー」と残りの年数(日数?)を数えるようになってしまった、というのが実感です。

そんな時、日々自分の生き方、考え方を吟味しながら生き、文字にして自分の“生”を満たしている人たちにこう言われると、「去年のことさえ覚束ない俺なんかどうすりゃいいのよ・・・」となるわけです 泣。

更に例の悪い癖で話を広げると(これが始まると時間を食い仕事が滞る!ああーまたメールが入った音がしてるのに・・・・)自分で確かな記憶、記録がないということは、「俺なんかあっちに行ったと同時に、他人にとっちゃ何もかも消えてしまうんだろうなー」、とまでなるのです。

別にアッチに行った時の楽しみもあるから、「アッチに行った時の、コッチの事まで知ったこっちゃない」と言ってしまえばその通りなのですが、ただ仕事に追われ何となく生きているのでは、「あっちに行く、行かない」まで話を高尚、高踏(?)にしないにしろ、もう少し残っている“嵐の年月”の後の、“静かな日々”を迎えた時の事を考えると、余りに味気ない話だろうと。
「ピンピンころり」も良いが、それでは私の人生は正に「酔生夢死」で終わってしまうでしょう。

ドタバタ劇場とは言え、折角の一度限りの人生、終章くらいは・・・・。樹が数本置いてあり、ほど好い陽だまりの中、眺めのいい屋上で、好きな音楽を聴き(こういう場合、演歌だけではない、念のため!)ビールを片手にし、(あ、その前に一汗かかなくっちゃ 馬鹿!)遠景を見遣りながら、去りし日々と懐かしい(憎たらしい、か?)人々の顔を思い浮かべつつ、来し方を振り返る時間も少しは欲しいものである。(なんか寅さん調になってきたか 爆) 果たして俺にそんな安穏な日々が来るか甚だ心配ではあるが・・・・。

(閑話休題)人に見せるためではなく、「去年の今頃は何をしてたんだ?3年前は??5年前は??」と考えた時、雑文でも何かを書き遺しておけば、単に日誌や手帳を見て、ああこんな事をしてたんだな、とデジタル的に大文字の記憶を繋ぐだけではなく、それに小文字が加わり、更には色や匂い、小味といったものまできかせて、いい酒のツマミになるはずだから。

「不要不急なことは忘れるに限る」という理屈も“プチボケ“の昨今、膝を打ちたくなく言葉ですが、真っ白な過去で振り返る何物もないという達観の境地よりは、私は「そう言えばこの時はこんなこともあったんだったなー」といった脚注(?)やとか「あの時は、こういう理由でああいう行動をしたんだったな」みたいな、言い訳(爆)、「あのヤロー、今頃どうしてるかな~」といった繰り言は、私のような「汗を流して飲んで歌う!」的な生き方しか知らず、特にこれと言った趣味もない人間にとって、確実に何年かあるだろう「汗を流さない/流せない(で食うだけ)の生活」を、少しは潤し、暇つぶしを与えてくれるでしょう。

この所の宴会とそのための汗流しが重なって、さすがに悲鳴を上げている体の内外(多事多難、と続くと知る人ぞ知る常套句になるが 半笑)のコンディションのためか、今日はチョット内省的(この程度で?スンマセン)になってますが、一杯入ればまた元の黙阿弥、じゃない、元気になりますので、もう少し頑張ります。

後半へつづく