選手列伝 第8回「山崎順也&岩崎大河with清水亮太」

第8回「山崎順也&岩崎大河with清水亮太」

左から岩﨑、清水、山崎

一昨年、清水亮汰に続き、昨年、山崎順也が、そしてこの春、岩﨑大河が、それぞれ高校卒業と同時に上京、大道塾総本部の寮生となった。ジュニア時代に輝かしい戦績を残した少年たちが、次々と、空道の総本山に身を委ねていることは、喜ばしいかぎり。18・19・20歳のこの〝総本部寮生三銃士〟が、5月4日開催の全日本体力別選手権で旋風を巻き起こす可能性も高い。そこで、山崎&岩﨑に、東京での暮らし、寮での生活、そして、大会への意気込みについて、訊くとともに、清水にも先輩として話に加わってもらった。

――本日は、新人寮生の二人(山崎・岩﨑)にお話しを伺いつつ、清水選手にも、先輩としての言葉を頂ければと思います。まず、3人は一学年違い?

清水 そうです。

――それぞれ、生年月日は?

清水 1995年8月21日です(20歳)。

山崎 押忍、1996年7月16日です(19歳)。

岩﨑 自分は、1997年7月7日です(18歳)。

――ちなみに、お父さんの年齢は?

清水 41です。

山崎 52か53ですね。

岩﨑 43です。

――! 空道では、まだまだ現役選手の世代ですね。もはや空道は親子で闘える時代になりつつある、と。……空道を始めたのはいつから?

清水 自分は小2になってから始めて、山崎は小1になる直前には始めてるんで、厳密にいえば山崎が一番、先輩になります。

――清水選手と山崎選手はともに大道塾の北海道内の支部で空道を始めてるんですよね? 

清水 そうです。でも、僕が帯広で、山崎が紋別です。

――つい、北海道っていうと〝ひとつの場所〟として捉えてしまいがちなんですが、帯広と紋別っていうのは、遠いんですか?

清水 車で4時間くらいです…(苦笑)。

――そりゃ、遠いですね(紋別~帯広間は230キロほど。東京から静岡県浜松市、新潟県南魚沼市、あるいは都心から福島第一原発くらいの距離)。山崎選手が空道をはじめた経緯は?

山崎 親に連れていかれたみたいで。気づいたら「セイ!」って基本稽古をやってました(苦笑)。「入りたい」って言ったわけではないです。

――ま、子どもはたいてい、そうですよね(笑)。親御さんは、空道が、打撃と組み技の双方を含んだものであるからこそ、あえて、選んだのですか?

山崎 いや、お父さんがもともと柔道とか好きで、何か武道をやらせたいと考えて、たまたま近くにあったのが空道の道場だったということだと思います。

――ま、親御さんも、たいてい、そうですよね(苦笑)。岩﨑選手は、どんな経緯で?

岩﨑 自分は小1になって、ちょっと経ってからです。健康目的っていうか…。

――健康目的? 小1で……。 

岩﨑 太っていたので、親が心配して「太りすぎないように」と連れて行かれて。

――ご両親が心配なさるくらいの太り方って、どれくらいの体重だったんですか?

岩﨑 小学校に入った時点で、130センチ、35キロとかで(現在、日本の小学5年男子の平均体重が34キロくらい)。

――デカっ! どうして、サッカーとか野球でなく、空道だったんですか?

岩﨑 親が格闘技好きで「空手をやらせたい」と。後になって「実は空道というものだった」というかんじで。

――やはり(苦笑)。お二人は、空道を始めたとき、どんな印象でした?

山崎 楽しかったです。先生や先輩が攻撃してこないで、お腹とかを叩かしてくれるのが。道場に行きたいな、って思ってました。

岩﨑 自分は楽しくなかったです。年上の先輩に敬語を使わなかったら叱られたりして「なんでこの人たちはイバってるんだろう?」って。それと、運動するのは好きだったし、投げ技とかも楽しかったんですけど、打撃は嫌いでした。やられたら痛いから。

――小1だと、そりゃ、そうですよね(笑)。で、その後、二人は、今に至るまで、ずっと空道のキャリアを積んできた?

山崎 押忍。中学・高校では柔道部に入りつつ、並行して。空道での戦績は、小6、中3で全日本優勝。小6のときは、親が優勝できるとは思ってなかったらしく「優勝したら携帯電話を買ってあげる」と約束してくれていたんで、 買ってもらえて、嬉しかったです。

――小学生で携帯電話を持っていた世代なんですね。……ジュニアの全日本選手権では、清水選手と当たることもあったのでは?

山崎 しょっちゅうでした。

――何勝何敗くらい?

山崎 何回やりましたかね?

清水 何回かな?

山崎 10回くらいですかね?

――で、学年は山崎選手の方が下ですが、勝利を収めたこともある?

山崎 1回だけですね。自分が小4のときの北海道大会決勝で。

――岩﨑選手も、小中高と空道を?

岩﨑 押忍。

――その間、学校での部活などは?

岩﨑 中学校では軟式テニス部に入ってました。

――軟式テニス…。また、ずいぶんとイメージの違う方向ですね(苦笑)。

岩﨑 部活に入らなきゃいけない決まりがあったので、一番、ラクなのは何かなって思って入ったんですけど…。

――前後左右へ素早く動く能力が求められると思いますが、うまく出来た?

岩﨑 いやぁ~、難しかったです。

――270+クラスの人向きのスポーツではないかもしれませんね(微笑)。……身長・体重は、いつもクラスで一番大きかった?

岩﨑 はい、小6で170センチ、85キロありました。

――で、その恵まれた身体で残した空道でのジュニア戦績は?

岩﨑 中3のときのU16全日本優勝1回だけです。

――岩﨑選手と山崎選手は1学年違いだけど、対戦したことはある?

山崎 2度あります。自分が中3、大河が中2のときの全日本で、U16が2階級制で行われて、その重い方の決勝で当たりました。あと、小5と小4の時も。

――その頃でも、岩﨑選手の方が大きかった?

山崎 大河の方がデカかったですね。

――どっちが勝ったのですか?

山崎 一応、自分です。

――凄いじゃないですか!

山崎 今は絶対、無理ですけど(笑)。

岩﨑 いえいえ。

――それぞれ、育った街について、お話し頂けますか?

山崎 紋別です。

――北海道……紋別町?

山崎 正確にいえば、紋別市に隣接する紋別郡遠軽町です。

――漁業の街?

山崎 いえ、違います。アスパラです。農業中心です。高校までずっと遠軽で育って、道場も遠軽にありました。

岩﨑 自分は、新潟県新潟市です。

――新潟市ということであれば、東京と変わらぬ都会?

岩﨑 いえ。市街から離れた、山のふもとだったので。そこから新潟支部本部道場に通っていました。

――では、東京での生活が始めったとき、環境の違いを感じましたか?

山崎 ビルがデカいです! 遠軽には高い建物があまりないので。

岩﨑 人口密度が…。めちゃめちゃ人が多いです。

――総本部があるのが池袋ですしね。「東京に行ったら、あそこに行きたい、あれをしたい」といったことはありましたか?

山崎 服とか、買い物がしたいと。遠軽には服屋とかないんで。

――池袋にはいっぱいある?

山崎 そうッスね。楽しいッスね。

――どんなお店へ? 小売店ですか? それともZARAとかH&Mみたいなファストファッションの大型店とか?

山崎 サンシャインシティーのショッピングセンターに入ってるところとかです。

岩﨑 自分も、東京っぽいオシャレな店に行ってみたいな、と。ごはんやさんとか、服やさんとか。

――では、業務と稽古が休みの日は、そういったお店巡りを?

山崎 ただ、一日中寝ていることも多いです(苦笑)。東京に来て、はじめての休日は、目が覚めたら夕方4時でした。

――疲れ切っていたんですね。

山崎 東京に出てきたばっかりで、行きたいところはいろいろあったんですけど……

清水 いつまで経っても部屋から出てこないから、大丈夫かな? って思いました(笑)。

――休みの日に3人で出掛けたりは?

岩﨑 自分はまだ、休みがないです。試合当日に来て、まだ3日目なので。

――えっ! 全日本選手権の関東地区予選大会当日に新潟から東京の大会会場に来て、優勝して、そのまま総本部に住んでいる……。 

岩﨑 押忍。

4月3日に開催された全日本選手権・関東地区予選での岩﨑(右)。
185センチの96キロの体格にして、乱れのないフォームと、スードを有する。圧勝で+260クラスを制した

同全日本選手権・関東地区予選での山崎(右)。-240クラス、払腰で相手のブン投げ、ベスト4入り

――寮生の生活について、お話しいただけますか。

山崎 朝7時に起きて7時半から1時間か、1時間半、ランニングやウェイトトレーニング、サンドバッグ打ちなどの朝練をして、9時半まで休憩して、9時半から掃除して、掃除が終わり次第、事務業務に入って、昼練を時間を区切って被らないようにやって……

――朝練昼練も3人別々に?

山崎 別々です。昼練は一人、多くて1時間半、少なくて1時間。その後、ごはん食べて休憩して、また業務をして、で夜7時半から練習して、で、ごはん食べて、寝ます。

――食事も別々?

山崎 朝食・夕食は各自で調理して、昼食は事務局長の手料理をみんなでいただきます。

――岩﨑選手も料理を?

岩﨑 ……ま、まァ、ちょっとなら……。

――3人で稽古をしたり、みんなで当番決めて食事をつくったりはしない?

山崎 みんなバラバラなんですよね(苦笑)。

――その方がうまくいく時代なんでしょうかねぇ……。業務内容は?

山崎 自分は審査受験者の稽古参加日数の確認と、合宿参加回数の確認、昇級状の制作といったことをメインにしています。

清水 自分はこれまで、出席簿の管理や郵便の受け取り・発送、昇級者の帯づくりなどをしてきました。

――業務も分担制なんですね。これらの業務だけで、日々の業務時間を要する?

清水 業務は午前2時間、午後4時間なんですが、年末など、みんなが審査を受ける時期だと一気に忙しくなりますね。昇級・昇段審査がない時期は、事務局からの指示に従って別作業をしています。

――これからは岩﨑選手も加わって、分担していくわけですね。

岩﨑 押忍!

連盟事務局にて、業務中の山崎・岩﨑

――東京に来て、イヤなことはありましたか?

山崎 思ったよりはなかったです。ランニングとかがしづらいくらいでしょうか。ちょっと外れても人がいる……遠軽だと、畑の周りを走っていたので。

――ヒグマとかは出ない?

山崎 野生の熊はみたことないです(苦笑)。キツネとか鹿はいますけど。

――ゴキブリとかは? 

山崎 あ! 東京に来て、初めてみて、全然、ダメでした! 

――北海道にはいないんでしょう?

山崎 いないッス。凄く速くて「うわ! 速っ!」ってびっくりしました。食堂(総本部4階)のゴミ箱の上にいて、デカくてビックリして、道場(総本部3階)に行って、(清水)先輩に言って、一緒に上がってもらったら、もうどこか逃げてしまっていて……。

――そりゃ、そうでしょう(笑)。そもそも、呼んだ先輩も北海道出身じゃないですか。

清水 でも、自分はゴキブリよりクモの方がダメです。

――新潟にはゴキブリはいますよね。

岩﨑 ええ、います。自分は大丈夫です。

清水 へぇ~、いるんだ!

岩﨑 います。

――互いに、どんな印象をもっていますか?

清水 えっ! 内面的なことですか? 

――内面でも外面でも、なんでもどうぞ。

清水 順也は最初来たとき、仕事を教えたらすごくまじめに丁寧にやって、こっちが「ちょっと休んだ方がいいよ」ってくらいでした。それが時間が経ってきたら……

山崎 (苦笑)

清水 大河はまだ来たばっかりだから内面は分からないですが……御茶碗洗ってる後姿がデカいな、と(笑)。

山崎 亮汰先輩は、小学生くらいから対戦しているんで、試合でももう当たりたくないです。人としては……いい人です。大河はとにかくデカいですね。どこにいても分かるし。

岩﨑 先輩たちはいつも、世界が違う上の方にいた方です。一緒に稽古や生活ができるなんて、夢みたいです。

――いいこと言いますね!

岩﨑 いえいえ。

山崎 自分もそう思ってました!

清水 嘘つけ!(笑)

――3人は、なぜ、寮生に?

山崎 自分は最初、堀越(亮祐=2008&2014に-240クラス、2011に無差別全日本制覇)先輩がテレビで取り上げられていて、寮の部屋にいて取材を受けているのをみて、意識しました。世界選手権でロシア人に負けて(2014年、U19の-250トーナメント決勝)、悔しくて、「行きたい!」と明確に思いました。

――日本では勝って来たのに、世界には上がいると知って、ショックだった?

山崎 悔しかったです。

岩﨑 自分も世界選手権で負けて(2014年、U19の+270ワンマッチ。相手はスペインの選手)、悔しくて、行きたいなと。

――やはり、海外の選手は強い?

岩﨑 押忍。「世界に勝つには全体的な練習量が必要だな」って、腕(高橋腕=2005&2008に-230クラス全日本制覇)先輩に言葉を頂いて……。

――二人とも、目標は世界だ、と。

山崎 そうッスね。

岩﨑 押忍。

寮の岩﨑の部屋。身体の大きな岩﨑の入寮にともない、部屋を改装。写真奥の部分、隣の部屋との壁を一部ブチ抜いて、ベッドを置けるようにしている

山崎の部屋。アヒルのぬいぐるみは置いてません

――世界選手権での清水選手の試合は、どんな風に感じましたか?

山崎 いや、凄かったッス。びっくりしました! なんか、会場をあそこまで盛り上げる試合が……日本人だけでなく、ロシア人たちも熱くなっていましたし。

――それを成し遂げた清水選手に、山崎選手は勝ったこともあるわけだから「自分も!」と?

山崎 押忍! そうッスね。

岩﨑 押忍! 自分もめちゃくちゃ感動しました!

――では、最後に、3人に、今回の全日本選手権での目標をお伺いします。

清水 昨年、無差別を獲ったんですが、階級別は、2014年に全日本に初めて出て、(-250クラス)ベスト4でコノネンコ先輩に負けて、次の2015年はケガで出れなかったんで、今年、階級別も獲って、階級をひとつ、上げたいな、と。体重がキツいので。

――今、通常、体力指数は?

清水 257くらいです。

――じゃあ、もう十分、-260クラスの体格ですね。

清水 でも、-250クラスで負けてるんで、獲ってから上げたいです。

――じゃあ、-250クラス最後の出場だ、と。

清水 今後は、国際大会は‐250で、国内は一度、-260でやってみたいな、と。

――笹沢(一有)戦など、楽しみです。

清水 押忍!

――山崎選手は?

山崎 優勝したいです! 去年、自分と同じ年の川下義人が優勝(-240クラス)してるんで、同い年が活躍してるのをみたら……

――負けたくない?

山崎 押忍!

――ジュニア時代には川下選手との対戦はあったのですか?

山崎 自分の方が階級が上だったので、やったことがないんです。

――U19で活躍していた選手のうち、清水選手や川下選手は、一般部に昇格するや、好成績を収めましたが、山崎選手は、この春の関東地区予選・準決勝で、魚津(礼一)選手に敗れてしまいました…。

山崎 押忍、悔しいです。自分はなかなか、そんな風にはいかないです。

――では、壁を越えたい?

山崎 押忍!

――岩﨑選手は?

岩﨑 昨年、準優勝だったので、今年は優勝したいな、と。

――昨年は、17歳であるにもかかわらず、特例として、一般部全日本への出場が認められて、+260クラス決勝に進出するも、ケガのため棄権して、決勝不戦勝で野村(幸汰)選手が優勝したんですよね。

岩﨑 怪我をした後、支部の上の方々が話し合って棄権を決めたので、自分としては、やりたいなぁと思ってました。

――野村選手の印象は?

岩﨑 いやぁ、合宿のとき、めっちゃ投げられました。ガンガン投げられて嫌な思いしたんで、なるべく力勝負にならないようにしたいと思います。

――組み技格闘技の経験はないんですか?

岩﨑 ないです。中学校の授業で柔道をやっただけです。

――今回欠場の加藤(久輝)選手については?

岩﨑 高校3年間、一般のルールに馴染もうと稽古してきて、昨年、準優勝できたんで、今年は加藤久輝選手、野村さんとやりたいと思ってやってきたんで、加藤選手が今回、出られないって聞いて、残念です。

――志が高いですね! 勝つ自信はある?

岩﨑 そうですね。周りがそのために、練習方法を練ったりしてくれてたんで、勝たなきゃダメだ!という気持ちはあります。

――高校生にして「野村と闘うならこう」「加藤と闘うならこう」と、研究を積んでいた?

岩﨑 してました。山田(利一郎・新潟支部支部長)先生が指導してくださって。

――では、3人が上の世代を倒すのを楽しみにしています。

3人押忍!