第31回関東地区大会
レポートby松原隆一郎
三人がエントリー。ポイントの取り合いで全員が一勝一敗となったが、ポイント差で橋本祥平(総本部)が優勝。
突きと蹴りの応酬
カウンターの蹴りが炸裂
五人が参加、なんといっても注目されたのはこのところ各地の大会で連覇している友次文武(八王子)。最年少、他の四選手より顔一つ小さかったが、ローの後ろ蹴り(フグ・トルネード)でダウンを奪うなど今回も活躍。しかし決勝ではライバル・田辺邦彦(総本部)が回し蹴り、スカした友次がミドルを返そうとした瞬間に横蹴りをきめて横転させる。堂々の優勝に輝いた。
決勝 田辺邦彦VS友次文武
大人顔負けのファイト
少年部全員で!
これまで試合の機会がコンスタントにはなかったが、そうした悪条件にもめげずレベルの高さで観客を驚かせたのが女子部。なかでも八島有美(横浜)は現在プロボクサーとしても連勝を重ね、もっとも注目されているが、不利な極真ルールも含むこの大会に二段をかけ参戦。打倒・八島に執念を燃やす岡との一戦は男子もしのぐ激しい攻防となった。
八島 有美(横浜)−五十嵐如江(新宿)
ミドルと前蹴りで突き放してからのパンチを狙う八島だが、五十嵐が執拗に距離を潰し、思わぬ苦戦を強いられる。最後はスタミナの差で八島の勝ち。
岡 裕美(早稲田)−間瀬恭子(横浜)
間瀬は体力差を生かして初戦の岡をスタミナ切れまで追いつめたが、僅差で岡がしのぐ。
八島 有美(横浜)−岡 裕美(早稲田)
ボクシングでは長いリーチでほとんど相手のパンチをもらわない八島だが、身長差のあるはずの岡のロングフックが当たり、距離を詰められてあわやという局面も。逆に八島は得意の左フックが近距離すぎて的中しない。だが時折放つショートの右ストレートはさすが切れ味鋭く、3−2で辛勝。ほっとした八島の表情が清々しかった。塾長も絶賛の一戦であった。
決勝 八島VS岡
八島の右ストレート
岡の左ストレート
五人が参加。身体指数差が最大31あり、技術・体力的に一般部と変わらぬ選手も見受けられ、無差別で試合を組むことの限界が感じられた。
丸山弘(佐久)−大塚章弘(新宿)
このところビジネスマン大会をリードする両者の決勝。しかし長いリーチの丸山の振り落とすような鋭い右ストレートがガードの下がる大塚の顔面に何発もヒット。大塚には同じリーチならばよけられると感じられているようだったが、それだけに衝撃が大きく、丸山の完勝となった。
高田・能登谷・飯島・青木と好選手を輩出する渡辺慎二支部長率いる浦和支部から、新星が登場した。藤本直樹(浦和)はサンボの確かな技術を持ち、最近では打撃技術に自信を深めている。寝技に絶対の自信があると立ち技ものびのびと展開できることを立証するかのようにトーナメントを制した。
藤本直樹(浦和)−室伏浩平(横須賀)
40歳と最高齢の室伏は、二週間前の予選に続く挑戦で準決勝進出と気を吐いたが、藤本が上段への蹴りで先制、マウントパンチで効果を奪った後、腕ひしぎ十字固めで一本勝ち。
堀 宗紀(成田)−篠木隆一郎(新宿)
篠木は極端に腰を落とした構えから、右ストレート狙い。堀はサウスウポーながら時折スイッチしつつラッシュをかけ、首相撲や寝技も使えるオールラウンド・プレーヤー。前足への蹴りなど穴をつき、延長で堀の勝ち。
藤本直樹(浦和)−堀 宗紀(成田)
穴のない堀を藤本がどう崩すか注目された。藤本はパンチが単発になったが、延長では組んでの頭突きからロー、もう一度組んでの肘連打と、それまでにない展開で一気に勝負をつけた。藤本が試合の組立と勝負勘に光るものを見せた一戦であった。
山田支部長率いる新潟支部は、重量級選手の多くが「山田流」。サウスポーで前蹴り、ミドル、首相撲、細かいテクニックに特徴がある。その新潟から早津忠夫と長谷川正人が決勝に進出。予選では体重の重さが技の雑さや動きの遅さにつながる選手が散見されたが、超重量級のこの二人にそうした点が見られず、予選に比しても水準の高い決勝となった。
早津−長谷川
先輩の早津が準決勝の山口(横須賀)戦とは一転して本戦の序盤から前に出たが、長谷川が下がりつつ一瞬振り落としたショートのストレートが顎を打ち抜き、早津は前向きに倒れる。スリップのような膝の付き方だったが、そのままKO。荒々しく殴り合う闘いよりも衝撃的な結末に、会場内が静まり返った。
斎藤雅史(新潟)−川人幹也(早稲田)
トーナメント途中で行われたエクストラ試合。4級の新人ながら左手をだらりと下げた構えからフリッカー・ジャブやアッパーをのびのび振り回す川人の動きが特徴的で注目されたが、対照的に防御の堅実な斎藤がつかみからのパンチでダウンを奪い快勝。
プレッシャーのかけあい
斎藤VS川人
どっしり腰を落としてローを蹴り合うよりもステップで動き、長身選手が首相撲からの膝蹴りで倒すシーンが目立った。大会後の塾長講評でも、もっと蹴られ強くなるようにとの指摘が特別に与えられた。このところ交流戦の勝者から格闘ルールのホープが出ていないだけに貴重な訓辞であった。下記の選手以外では今野尚武(総本部)が凄まじい突きと下段で、十代らしい組み手を見せた。
安藤昌哉(渋谷)−菊池滋(新宿)
安藤は無級ながら古典的な極真ルールの構えからのローとハイで健闘、勝ち上がってきたが、菊池のつかんで振り回してからのローの連射がきき、合わせ一本。
高橋哲哉(成田)−新井啓介(総本部)
準々決勝ながら大会全体でもっとも会場が沸いた一戦。長身の高橋が膝でダウンを奪ったが、それから新井が猛然とラッシュ。身体指数24の差をものともせず、パンチに前蹴りをはさみ右ローの連打であわやKOかという局面まで追い込んだ。新井は20歳。この気迫が今後どのような成長につながるか、要注目である。
坂腰直久(横浜)−菊池滋(新宿)
坂腰は長身を生かした膝蹴りで決勝まで勝ち上がってきたが、菊池はつかみから振り回し、ローを連射して一気に蹴り潰した。小良く大を制しただけでなく、菊池の身体の丈夫さが光ったトーナメントだった。