全国予選大会

2001年3月18日新宿スポーツセンターで北斗旗体力別選手権への出場権をかけて、全国予選大会が開催されました。

トーナメント表


軽量級

小川英樹選手に五連覇を許し、打倒・小川の最有力候補である辻村元伸選手(関西本部)・高松猛選手(総本部)が不参加のこの階級。昨年の北斗旗で活躍した関西本部の池田一次選手も中量級に転出した。小川選手が雑誌インタビューで「怪我していてちょうどいいところ」と余裕を見せているだけに次世代の台頭が求められたが、少々心許ない結果に終わった。 ビジネスマンクラス所属の上野正選手の頑張りには敬服させられるし、中野正康選手(大阪北)とのパンチ合戦は満場の喝采を浴びた。このところ打撃より寝技に比重が置かれてきた北斗旗としてはパンチの復権は喜ばしいところだが、しかし別の見方をすればカウンターで膝を合わせたり肘を使ったり、という技の広がりなかったともいえる。実際、上野選手は寺西豊選手の膝攻撃で攻守を逆転された。このあたり、技の広がりにも適応できるが一発の決め技もある、という方向を目指すべきではないか。 新人では、村山淳選手(渋谷)の打撃にも非凡なものを感じた。

軽量級準準決勝 上野正(総本部)−寺西豊(豊橋)
 寺西は北斗旗2000年度軽量級王者。すでに北斗旗出場が決まっている。上野は総本部ビジネスマンクラス所属ながら1999年関東王者で、一回戦は嵐のようなパンチのラッシュからマウントパンチの効果で勝ち上がってきた。本戦は寺西が前に出るところを上野が的確にパンチを当てる展開。延長では寺西が上野のパンチに合わせて膝カウンター、そこから首相撲に持ち込む作戦に変えて優位に立ったが、試合後に「道着の下にスパッツを穿いていた」ことが判明、反則で上野の勝ち。

軽量級準決勝 上野正(総本部)−中野正康(大阪北)
 今大会でもっとも会場が沸いたのがこの一戦。両選手とも、足を止めて左右のパンチを高速で連打。クリーンヒットの連続で、ともにグラグラくるシーンが相次ぐ。連打の効果をともに取って延長へ。ここでも上野がパンチラッシュで効果を奪うと中野もパンチで効果を取り返す。上野、スタミナ切れかと思われたが起死回生のパンチ・ラッシュ。二つ目の効果を取り優勢勝ちに。ビジネスマン・クラスから決勝進出だ!(決勝は棄権)

優勝 榎並博幸(安城)
 2000年パンクレーション軽量級王者。左アッパーから右ストレート、左ハイというコンビネーションから寝技(アキレス腱固め)で連続の一本勝ち。ほとんどダメージを負うこともなく、北斗旗本体会が期待される非常に安定した試合ぶりだった

試合の模様

激しい技の応酬

準決勝 上野VS中野

準決勝 上野VS中野


中量級

加藤清尚・長谷川朋彦(総本部)といったベテランに、高田久嗣・飯島進(浦和)といった各選手が挑むこの階級。やはり優勝した池田選手の台頭が収穫。それに続く佐野教明(新宿)・青木政樹(浦和)・中山康洋(新潟)もこの大会ではほとんど実力差は見られなかった。時に上位選手と星の潰し合いを演じてきただけのことはある。各選手には、さらに加藤・小川両選手を脅かすだけの気迫とアイデアを期待したい。

中量級決勝 池田一次(関西)−佐野教明(新宿)
 中量級決勝。パンチのラッシュに定評ある池田に対し佐野が冷静な試合運び。タックルのように飛び込んでからの小外、パンチ連打にも応戦。終了間際、その佐野の余裕ある試合運びを池田が一気に破るパンチ連打。押し倒すようにダウンを奪い、有効。逆転の優勝を飾った。

試合の模様


軽重量級

岩木秀之選手(新潟)の 独壇場だった。その岩木はこの予選では左ストレート・左ミドル・組み合って投げ・締めという流れに盤石の強さを見せた。しかしこの階級の現在のリーダーである飯村健一(総本部)・能登谷佳樹(浦和)両選手が見せたような反撃の糸口はあるはずだ。勝てないにせよ岩木選手を脅かすだけのアイデアが見られなかったのは残念。とくに期待がかかりながら前回の対戦と同じ展開で敗れた江口忠友選手(総本部)には、研究を求めたい。

軽重量級準決勝 岩木秀之(新潟)−江口忠友(総本部)
 軽重量級トーナメントはまさに岩木の独壇場。飯村、小野、能登谷ら北斗旗出場を決めている関東のライバルが見守る中、微動だにせず堂々の試合運び。パンチ、ミドルから組み付いて、寝技で背後を取ると一瞬の締め。昨春のパンクレーション大会と同じ結果に、悔しがる江口の絶叫が場内にこだました。

軽重量級決勝 岩木秀之(新潟)−石田圭市(若狭)
 軽重量級決勝。ベテラン石田にも臆さない岩木。打撃でもミドルを武器にプレッシャーをかけ続ける。延長、組み合うと腰投げでたたきつけ、逆十字に行くフェイントから瞬時の締め。鮮やかな完勝に、場内がざわめく。寺本、長野、平原、鈴木規正らも含め、この階級は間違いなく世界大会への最激戦区だ。

試合の模様

決勝 岩木VS石田

決勝 岩木VS石田

準決勝 岩木VS江口


重量級

現在の北斗旗ルールにおいて柔道の高段者が有利であることを示したのが平田誠一選手(綾瀬)。しかしそれは、寝技では自分から攻めないにせよ防御だけは修得すべきなのに不十分だったという点、打撃の初心者を圧倒できるだけの打撃技術が他の若手選手になかった点を浮き彫りにしたともいえる。

重量級準決勝 平田誠一(綾瀬)−荒井省司(横浜)
 柔道五段の平田。打撃は荒削りながら組技には絶対の自信があるため、のびのびとパンチを振るう。最後は荒井が実績でしのいだが、平田の投げと寝技の強さが北斗旗本体会でどう生きるか注目される。

重量級決勝 荒井省司(横浜)−片平祐一郎(船橋)
 重量級決勝。横浜重量級勢の一角、古豪の荒井が久々のと強烈な右ストレートから首相撲、膝という北斗旗の定番コンビネーションで着実にダメージを蓄積、技ありを奪って完勝。

試合の模様

重量級の激しい撃ち合い

準決勝 平田VS荒井

決勝 平田VS荒井

決勝 平田VS荒井

決勝 平田VS荒井


超重量級

次代を期待するという点ではもっとも不安を抱かせたのがこの階級。体力指数は各選手280に達しなかったが、動きは単調だった。稽古量を求めたいところだ。外人選手はパワーを誇るだけでなく、軽量級並みのコンビネーションも使いこなしている。また、参加選手の年齢が下限で29歳という高齢化も気になった。

超重量級決勝 前田聡(大宮)−山崎靖公(成田)
 超重量級は北斗旗決定者が多く、予選参加者は少ないクラス。全体に単発の打撃と見合うシーンが目立ったが、左右前蹴り、首を取っての膝という自分の組み手を貫いた前田が優勝。この両者が北斗旗出場の最後の椅子を得ることとなった。

試合の模様

決勝 前田VS山崎

決勝 前田VS山崎

決勝 前田VS山崎


塾長講評

 全般的に良い試合が多かった、軽いクラスの方がより水準が高かった。重量級は単発の技が多い。もっとコンビネーションを使うべきだ。また、全般につかんでのパンチが多用されるようになったが、これは世界大会を想定すると安易に用いてはならない技だ。外国人は同じ体格でも10キロは重いほどの体力を持つ。不用意にはつかみからのパンチには行かないように。軽量級のパンチの応酬は見応えがあったが、顎が上がっているのは気になる。外国人にはあのような打ち合いは挑むべきではない。