「2019 空道全日本無差別選手権」ダイジェスト

取材・文_朝岡秀樹(全日本空道連盟広報部、空道推進委員会)

写真提供_牧野壮樹 朝岡秀樹 はいちーず

1.ベスト8進出者、かく闘えり

優   勝 加藤和徳 (大道塾吉祥寺支部)

■決勝戦、岩崎大河に延長旗判定5‐0で勝利。

本戦で加藤(青)は上段膝蹴りによるポイント1(効果)を奪い、その後はカウンターを決め、投げ技に対しては、前腕を顔面に突っ張ってディフェンス、寝技でも両脚による絞めの形に入るなど、要所を締めた。岩﨑はハイキックで加藤のマスクをずらしたり、飛び前蹴りで加藤を吹っ飛ばしたりと、怒涛の攻めをみせるがポイントを奪い返すには至らず。加藤は寝技の攻防で、相手の背中に肘打ちを放ち、この攻撃に関して審判団が審議を行う場面があったが、結果として各審判は「反則」の見解も「見えず」のジェスチャーも示さなかった。であれば、この攻撃を「合法」と認めたということなのか? この肘打ちが重力の加わらない方向(時計の中心から9時~3時のゾーンへの方向)に放たれたものだったとしても、上半身背面への直接打撃であれば反則であるはずでは? このあたり、あらためての審判委員会での検証がなされることを望みたい。一方で単に“観る側”の立場でいえば、この肘打ちが反則としてみなされ、ポイントがイーブンとなって、岩﨑が旗判定で優勝していたら「なんだか、エース候補生が優勝するように帳尻を合わせたような…」といった気がもたげていたかも、とも思う。物語としては、ジュニアクラス時代からトントン拍子で育ってきた、挫折知らずの素材に対し、25歳でフルコンタクト空手から空道に競技転向したアウトサイダーのベテランが待ったを掛ける結末の方が、味わい深い。体力指数差が40近く上の野村幸汰と通常通りの空道ルールで闘うべく、バーベルのプレートを衣服の内側に仕込んで計量に臨んだ過去をもつ加藤、……今や希少種とも捉えられる“無差別制覇を至上目標とする漢”の勝利を祝おう。

 

■準決勝、目黒雄太(大道塾長岡支部)に延長旗判定5‐0で勝利。

無差別大会で小さい選手が大きい選手と互角に渡り合っていれば、小さい選手の方が評価されがちではある。この対戦でもその傾向はあり、本戦では目黒(青)の伸び伸びと動きに歓声があがる。このまま延長まで、双方ノーポイントで終われば、目黒に旗が上がるのではないか、と思われたが、実は、動きの少ない加藤は、焦ることなくチャンスを窺っていた。体力を温存した末に、延長終盤に右ストレートで1ポイントを得た加藤。加藤のクレバーさが光った一戦だった。

■準々決勝、曽山遼太(大道塾岸和田支部)に延長ポイント2-0で勝利。

前回大会まで、ハイキックに偏重したジュニアクラス出身者ならではの闘いぶりをみせていた曽山(白)だったが、今大会では、パンチでも十分に打ち合えるところを披露する。しかしながら、曽山同様に、顔面パンチや組み技のない競技の世界から空道に飛び込んだ加藤は、曽山以上に、全面的に空道に必要な技術を習得していた。クリンチからの上段膝蹴り、金的蹴り、絞め技、腕十字……と多様な攻めをみせ、本戦でマウントパンチによる1ポイント、延長戦でもマウントパンチによる1ポイントを奪い、旗判定なしでの勝利を得た。

■3回戦、伊藤誉(大道塾秋田支部)にフロントチョークで本戦一本勝ち。

伊藤誉紀(青)は伝統空手出身者ならではの予備動作の少ない直突きのスピード&タイミングを活かし、白帯ながら、東北予選で今春の全日本-260クラス王者・奈良朋弥を、今大会2回戦では昨年の世界選手権-270クラス日本代表・目黒毅を下し、この試合でも序盤は加藤を脅かし、場内をどよめかせたが……。WKFスタイルvsムエタイスタイルの打撃の攻防がみものになるかと思いきや、クリンチに持ち込んだ加藤はサバ折りからマウント、正面から気管を前腕で圧迫する絞めで本戦タップアウト。多様な要素において、穴のなさが求められる空道の面白さを体現してみせた。

 

■2回戦、佐藤迅(大道塾名古屋北支部)に膝蹴りで一本勝ち。

佐藤迅(青)は1回戦で今春の全日本-260クラス王者・奈良朋弥を攻め立て、延長旗判定5‐0で勝利。この勢いある新人がジャンプして飛び込んでくるところを、加藤はテンカオで迎え撃つ。太腿~脚の付け根に膝を刺された佐藤はそのまま立てず。

 

準優勝:岩崎大河(大道塾総本部)

■準決勝、服部晶洸(大道塾横浜北支部)に本戦、襟絞め(ボーアンドアローチョーク)で一本勝ち。

関東地区予選決勝で対戦し、その際は岩﨑が上段跳び膝蹴りで一本勝ちしていたが、今回も岩﨑が圧倒。本戦で岩﨑(青)がマウントパンチ、右ロー、マウントパンチでそれぞれ1ポイント、計3ポイントを奪った後、襟絞め(ベースボールチョーク→ボーアンドアローチョーク)で一本勝ち。岩﨑は、攻勢に出ると、打撃から寝技まで、重量級らしからぬスピードとテクニックに満ちた展開を継続できる。一方で、競り合い、もしくは劣勢となると、心が乱れる面が見受けられる。そういったメンタル面の課題を克服するためには、他競技(MMA)への出向(出稽古・試合)を通じ、キャリアのある相手にもまれることが有益かと思われる。

 

■準々決勝、寺口法秀(大道塾横浜北支部)に腕十字で一本勝ち。

開始早々、寺口(白)の果敢な突進にテイクダウンを奪われた岩﨑だが、その後は片足タックルを切り、ガードを取る相手にニースルーパス、マウントパンチによるポイント奪取、立とうとする相手にバックマウント、最終的は腕十字でフィニッシュと、相手の動きに応じた展開をみせた。22歳でこれだけの技術とフィジカルを持ちあわせているのであれば、今後、モチベーションを落とさないだけの環境、目標が与えられれば、空道史上ナンバーワンの評価を得るような選手になれるのではないか?

■3回戦、伊藤新太(大道塾日進支部)に本戦、腕絡みで一本勝ち。

ニーインベリーからのキメで効果を2つ奪った後、腕絡み。本戦で2分掛からず、一本勝ちを収めた。

■2回戦、三島博史(大道塾草加支部)に本戦ポイント5‐0で勝利。

マウントパンチで1ポイント(効果)、右ローで4ポイント(技あり)を奪い、本戦で圧勝。

 

 

第3位:服部晶洸(大道塾横浜北支部)

 

■準々決勝、加藤智亮(誠真会館東伏見道場)に延長ポイント2‐0で勝利。

延長で、ジャブを放った服部に加藤(青)が右ローの返し。その右ローに服部が右ストレートを合わせ、効果(1ポイント)、右ローでも効果(1ポイント)を得る。2ポイント以上の差が開いたため、規定により旗判定なしで決着。

 

■3回戦、田中龍太郎(大道塾行徳支部)に本戦旗判定5‐0で勝利。

引き込み返しからのニーベリーを決めるなど、田中(白)を圧倒。

■2回戦、羽鳥俊洋(大道塾行徳支部)に本戦、腕十字で一本勝ち。

支え釣り込み足で羽鳥(白)を転倒させると、僅か40秒でフィニッシュ。

 

第4位:目黒雄太(大道塾長岡支部)

 

■準々決勝、押木英慶(大道塾新潟支部)に延長旗判定5‐0で勝利。

共に27歳、新潟県の選手ではあるが、派手な動きをする目黒に対し、押木(白)は地味に強い選手。対照的な両者の闘いは、延長戦で右上段回し蹴りによる効果(1ポイント)を奪取し、豪快な反り投げを決めた目黒に凱歌。なお、この試合で目黒が押木の鼠径部に両足を置いてぶらさがってみせたほか、今大会では、立位の相手へ飛びついてのクローズガード状態を維持する選手を見受けたが、審判から「待て」(ブレイク)の指示がすぐには発せられなかった。路上等での現実の闘いを想定すれば、立位の側はこの状態から相手を頸椎過屈曲位に地に叩きつけることは容易であり、一方で、そのような行為(いわゆるスラム、バスター)があまりに危険すぎるゆえ禁止とされている以上、この状態(片方の選手が立位の選手に抱きついてぶらあがった状態)がキープされた場合、「待て」を掛けるのが妥当であり、ルールとしても、そのように定められたのではなかったか? スラムやバスターが禁止で、かつ、片方の選手が相手にぶら下がった状態でブレイクが掛からないのであれば、「自分が絞め技や関節技が得意で、相手の打撃が強かったら、現実の闘いでは脳天から叩き落とされちゃうからそんなことはできないんだけど、とりあえず、飛びついてぶら下がっておけば、相手はマットに叩きつけることはできないから、ソフトランディングで寝技に引き込める」という、現実離れして寝技を得意とする選手が優位となる現象が生じてしまうのではないだろうか。

 

■3回戦、小芝裕也(大道塾関西宗支部)に延長ポイント2‐0で勝利。

本戦は副審の旗が2-1で小芝(白)優勢で延長戦へ。延長でマウントパンチ、右ストレートでそれぞれ効果を奪い、目黒が逆転勝利。

 

■2回戦、家弓慎(誠真会館)に本戦旗判定5‐0で勝利。

大道塾札幌西支部でムエタイ技術の指導を行うソムチャイ・ヌアナーを下し、2回戦に駒を進めた家弓(青)は、鋭い右ストレートで目黒をたじろがせるが…。目黒は、組み技に勝機を見出すと、執拗に組んでの膝蹴りを繰り出し、効果を奪った。

 

第 5 位 寺口法秀 (大道塾横浜北支部)

■3回戦、伊東宗志(大道塾日進支部)に本戦ポイント2‐0で勝利。

伊東(白)の重いパンチに苦しめられるも、ニーインベリーからのキメ打撃と、マウントパンチで効果を奪い、2ポイントを得て、旗判定に持ち込ませず本戦で勝利を決めた。

 

■2回戦、三浦敏彦(大道塾木町支部)に本戦有効優勢勝ち。

投げからのキメ打撃、膝蹴りの連打、投げからのキメ打撃でそれぞれ効果を奪った後、パンチ連打で有効、さらにニーインベリーからのキメ打撃と、パンチで効果……計7ポイントを奪っての圧勝。


第 6 位 曽山 遼太 (大道塾岸和田支部

■3回戦、服部篤人(大道塾関西宗支部)に延長ポイント2‐0で勝利。

パンチの強打と下段蹴りで前に出て、組んではブン投げる……トラディショナルな“格闘空手”スタイルの服部に、ジュニアクラス出身者ならではのアップライトでハイキック主体の組手スタイルの曽山が呑み込まれるのではないか? と思いきや、曽山がパンチの打ち合いでも引かず、本戦で副審の旗をすべてゲット、主審・副主審が引き分けを支持し、延長戦を演じるも、左フックで効果を奪い、勝利を決めた。

■2回戦、篠原隆夫(大道塾御茶ノ水支部)に本戦ポイント3‐0で勝利。

国際武道大柔道部出身で、その後プロキックボクサーとなってから、大道塾に入門した篠原(青)から右ストレート→左フックでダウンを奪い有効、さらに右ストレートで効果、合計3ポイントを得て、本戦で完勝。


第 7 位 加藤智亮 (誠真会館東伏見道場)

■3回戦、渡部秀一(大道塾岸和田支部)に延長旗判定5‐0で勝利。

今春の全日本-260クラス決勝で対戦した両者。その際は、再延長に及ぶ激闘の末、渡部が一本勝ち(腕ひしぎ三角固め)を収めていた。今回も両者、相手にポイントを与えることなく、本戦は渡部に2本、加藤に1本、副審の旗が上がり、主審と副審は引き分けを支持。延長では旗判定5‐0で加藤が逆転、リベンジを達成した。

■2回戦、永戸竜也(大道塾仙台中央支部)に本戦ポイント2‐0で勝利。

加藤(白)がニーインベリーからのキメ打撃で効果を奪い、水戸が消極性によって反則を宣告されたため、2ポイント差をもって、旗判定なしで本戦決着。


第 8 位 押木英慶 (大道塾新潟支部)

■3回戦、近藤瑞起(大道塾岸和田支部)に本戦旗判定5‐0で勝利。

押木(白)がプレッシャーを掛け続け、両者ノーポイントのまま本戦で決着。

 

■2回戦、津田堅志郎(大道塾関西西支部)に本戦旗判定4‐0で勝利。

160センチで93キロある津田(青)が担ぎ技で2回、押木を宙に舞わせれば、180センチで80キロの押木は肘・膝の嵐を浴びせる。好対照な両者の闘い、打撃によるダメージに重きをおいてジャッジメントを行う空道の審判基準に従い、副審、副主審は全員、押木に旗を上げたが、主審はあえて自らの見解が引き分けであることを示した。

2.女子決勝進出者、かく闘えり

女子優勝 今野杏夏(大道塾多賀城支部)

■決勝戦、大倉萌(大道塾吉祥寺支部)に再延長反則勝ち

大倉の波状攻撃に惑わされることなく前に出てパンチをヒット、寝てはいわゆるデラヒーバガードの形からの攻めを狙ったりと、盤石の攻守をみせた今野。大倉に反則があったため、両者が効果以上のポイントを得ないまま再延長が終了した時点で、規定により今野の勝利が確定したとはいえ、今野自身の動きにも、初の無差別全日本戴冠に相応しい成長の跡がみられた。

 

■リーグ戦、渡邊富紀恵(大道塾神戸支部)に延長効果優勢勝ち。

16年のー215クラス全日本王者・渡邊(白)に対し、本戦、旗判定3‐0(副主審と主審が引き分けを支持)でリードし、延長で渡邊が前方回転式の膝十字固めを狙ったところを潰し、バックマウントからのキメ突きで効果を奪い、勝利を決めた。

■リーグ戦、熊谷鞠月(大道塾早稲田大学準支部)に腕十字で一本勝ち。

 

本戦0分47秒で、今春の全日本-215クラス王者・熊谷(白)を仕留めた。

 

女子準優勝 大倉萌(大道塾吉祥寺支部)

 

■リーグ戦、伊吹沙央里(大道塾安城支部)に腕十字で一本勝ち。

まるで合気道かのような絶妙な崩しで伊吹(青)からテイクダウンを奪い、腕十字を極めた。

 

■リーグ戦、チツァレフ・タチアナ(大道塾早稲田大学準支部)に本戦旗判定5‐0で勝利。

今春の+220クラス全日本王者、抜きんでたパワーをもつタチアナ(青)に捕まることなくヒット・アンド・アウェイで舞い続けた大倉がパンチ連打で効果(1ポイント)を得る。

3.その他の試合リポート

■2回戦 〇伊藤新太(大道塾日進支部)vsキーナン・マイク(大道塾成田支部)×

互いに譲らぬ打ち合いの末、試合終了間際に伊藤(青)がパンチで効果3つを連取した。

 

■2回戦 〇藤田隆(大道塾秋田支部)vs田中龍太郎(大道塾行徳支部)×

副審3名と主審が藤田(白)を、副主審が田中を支持し、旗判定4-1で藤田が勝利するも、藤田が腕を負傷し、3回戦を棄権。代わりに田中が3回戦を闘うこととなった。

 

 

■2回戦 〇伊藤誉紀(大道塾秋田支部)vs目黒毅(大道塾多賀城支部)×

伊藤(青)は白帯ながら、伝統空手出身者ならではのスピード、間合いとタイミングの取りかたによって、1年前の世界選手権代表、KO必至の右ストレートをもつ目黒に、その剛腕を炸裂させるチャンスを与えず。投げ技も強く、寝技も巧みで、いわゆるオモプラータ狙いからニーインベリーに移行、キメ打撃で効果を奪い、本戦旗判定でフルマークを得た。

 

■2回戦 〇伊東宗志(白、大道塾日進支部)vs米塚直樹(大道塾御茶ノ水支部)×

1回戦では倉田雄基(大道塾名張支部)を膝蹴りでダウンさせ技ありを奪った米塚を、右ストレート一撃で担架に乗せた。

 

■2回戦 〇近藤瑞起(大道塾岸和田支部)vs伊東駿(大道塾仙台東支部)×

今春の全日本-240クラス準V、今回の大会の東北予選の優勝者である伊藤駿(白、仙台東支部)に対し、近藤は本戦終了間際に右ハイキックを決め、効果を奪って3回戦進出を決めた。

 

■2回戦 〇渡部秀一(大道塾岸和田支部)vs飯野晃司(大道塾御茶ノ水支部)×

渡部(白)は、試合開始から1分を待たず、テイクダウン→ニーインベリーからのキメ打撃で効果を奪取→膝十字固めで一本を奪った。

 

■1回戦 〇佐藤迅(大道塾名古屋北支部)vs奈良朋弥(大道塾青森市支部)×

今春の全日本-260クラス王者、奈良(青)が右フックを当てれば、佐藤が片手絞め(ボーアンドアローチョーク)やアキレス腱固めの形に入り、本戦は旗が佐藤に2本、奈良に1本、副主審、主審は引き分けを支持。延長でいわゆるオモプラッタの形に入った佐藤が旗判定5‐0で勝利を得た。

 

4.雑感

前例左から押木、加藤智、曽山、寺口、目黒。後列左から大倉、岩﨑、加藤和、服部、今野。なお、優秀道場賞(勝利ポイント多寡による団体戦)の結果は、第1位:大道塾吉祥寺支部、第2位:大道塾総本部、大道塾横浜北支部、大道塾岸和田支部(同率)。

 

春の全日本体力別選手権で、試合コートに敷かれた畳に隙間が生じ、そこに足を取られて選手が負傷する事例があったため、今大会では、畳の敷設方法に改善策を施していた。こういった運営スタッフのたゆまぬ努力が1981年から40年積み重なって、次回2020年の全日本は、さらに洗練された競技大会として迎えることとなる。今年の全日本(春の階級別大会、今回の無差別大会)は、世界選手権翌年ということで、トップ選手の多くがエントリーしておらず、いわば端境期の大会なのだが、それでも十分に見応えのある内容であった。ジュニアカテゴリー出身の20歳代前半の選手が活きの良さをみせる一方、成人してから他競技より転向してきた者、50歳を過ぎてなおシニア大会に転向せずこの舞台に立ち続ける者、それぞれがよきパフォーマンスを発揮した。少年から壮年まで、長きに渡って親しめる競技だからこその現象。U19で顔面へのフックやアッパーが解禁となり、一般クラスへの移行がスムーズとなる一方、国民スポーツ大会種目入り、毎大会のテレビ放映実施、地区予選レベルまでの大会の写真・映像のSNS等での公開の自由化……と、やる側のモチベーションがアガる環境も整いつつある。そしてなにより、単に、この競技は面白い。滝川クリステルさんに「お・も・し・ろ・い」と復唱もらいたいくらいだ。……脱線しすぎたが、新たなフレッシュマンがU19から昇格し、トップ選手たちも徐々にカムバックしてくるであろう来年以降は、より熾烈、かつ美しき闘いが展開されるに違いない。

 

なお、大道塾ホームページ掲載の大会リポートにおいて筆者は、空道普及に向けてよりよい方策を模索するセクションである「空道推進委員会」のメンバーとしての見地のもとに、選手に対する批評や運営に関する問題提起を行うことがある。そのような内容に関して、論者が匿名であるのは相応しくないと考え、今回より署名原稿にてリポートを記すこととした。

 

 

「2019 全日本空道ジュニア選手権大会」ダイジェスト

取材・文_朝岡秀樹(全日本空道連盟広報部、空道推進委員会)

写真提供_牧野壮樹 朝岡秀樹 はいちーず

1.U19クラス・ダイジェスト

U19女子 体力指数215以下

中村粋里花(大道塾帯広支部)が山口莉央(大道塾横須賀支部)から右ストレートやワンツーで効果3つを奪い、完勝。この他、中山七海(写真白・大道塾長久手支部)にも本戦旗判定5‐0で勝利し、巴戦を制した。

 

U19男子 体力指数230以下

決勝、中川昇龍(青、大道塾岸和田支部)vs 佐々木豊樹(大道塾帯広支部)は中川に旗が3本挙がるも、副主審は引き分けを支持する接戦に。主審は中川勝利を宣告した。  

 


U19男子 体力指数240以下

決勝、共に全日本ジュニア優勝、世界ジュニア出場のキャリアを誇る酒井優太(青、大道塾塩釜支部) と鶴田陸(大道塾朝倉支部)の対戦。酒井がパンチ連打でダウンを奪い有効(2ポイントを奪取)、それ以外にも、パンチで効果4つ(4ポイント)を奪った。


U19男子 体力指数250以下 

昨年の世界選手権U19クラスでただ一人の日本人王者となった曽山智輝(大道塾岸和田支部)がワンマッチで、小野寺稜太(白、大道塾帯広支部)に、延長戦の末、テイクダウンを連取され、敗れる。

 

U19男子 体力指数270超 

ワンマッチで江上遼太郎(白、大道塾三沢支部)が堀内尊(大道塾岸和田支部)からマウントパンチで効果2つを奪い、完勝。

 

2.その他のカテゴリーの結果

U11女子 34kg以下
優勝 日野 光彩 (大道塾帯広支部)

U11女子 44㎏以下
優勝 長谷川 愛生 (大道塾長岡支部)

U11男子 34kg以下
優勝 坂本 天音 (大道塾塩釜支部)
準優勝 佐藤 烈翔 (大道塾帯広支部)

U11男子 44kg以下
優勝 遠藤 誠也 (大道塾仙台西支部)

U13女子 44kg以下
優勝 五十嵐 心桜 (大道塾三沢支部)
準優勝 永橋 心樹 (大道塾長岡支部)

U13女子 54kg以下
勝利者 千代谷 遙佳 (大道塾青森市支部)

U13男子 44kg以下
優勝 篠原 虎汰朗 (大道塾帯広支部)
準優勝 小牧 快十 (大道塾四日市支部)

U13男子 54kg以下
優勝 齋藤 太一 (大道塾仙南支部)

U13男子 64kg以下
勝利者 増田 悠人 (大道塾筑紫野支部)

U16女子 45kg以下  
優勝 小川 さくら (大道塾帯広支部)
準優勝 相内 春花 (大道塾青森市支部)

U16女子 55kg以下
優勝 小野寺 玲奈 (大道塾帯広支部)

U16女子 65kg以下
優勝 高橋 諭禾 (大道塾仙南支部)

U16男子 50kg以下
優勝 加藤 遼己 (大道塾木町支部)
準優勝 延命 恭芽 (大道塾帯広支部)

U16男子 60kg以下
優勝 川崎 秀彪 (大道塾仙台東支部)
準優勝 佐々木 龍希 (大道塾小樽支部)

U16男子 70kg以下
優勝 廣庭 晧太 (大道塾吉祥寺支部)
準優勝 小禄 海人 (豊田大谷高校 空道部)

U19女子 225以下 
勝利者 岩月 彩音 (豊田大谷高校 空道部)

U19男子 220以下 
勝利者 山田 凌雅 (大道塾仙台東支部)

U19男子 260以下 
勝利者 田中 衆太 (大道塾西尾支部)

 

優秀道場賞(勝利ポイント多寡による団体戦)

第1位:大道塾帯広支部

第2位:大道塾三沢・青森支部

第3位:大道塾塩釜・木町支部