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このインタビューのインデックス  >  その2 「入会で変わること」

入会で変わること
 
“場”を得る足がかりができた

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JWGA(日本ワールドゲームズ協会)に入会したことで、全日本空道連盟そして大道塾はどう変わるのでしょうか。

先にも話しましたが、JWGA(日本ワールドゲームズ協会)に加盟したことで、将来的にIWGA(国際ワールドゲームズ協会)に正式加盟の道がつながったということです。そうなったら、「WG(ワールドゲームズ)」という、より多くの人達に見て貰える“場”を得ることができます。
選手の知名度を高めることがその選手の自信にもつながるし、こういう権威ある大会への参加は、競技そのものだけでなく選手の社会的評価にも繋がり、学生なら就職、社会人なら会社での評価にもつながるはずです。

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IWGA(国際ワールドゲームズ協会)加盟については、Ron Froehlich会長が「これは可能かどうかではなく、“条件を満たすのがいつか”という問題です」とおっしゃったそうですね。

大変心強い言葉をいただきました。そして「WG(ワールドゲームズ)」参加は将来的には「オリンピック」につながります。これからの空道競技者には希望を持ってもらいたい。

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この時代に武道を志す若い世代に道が開けたわけですね。

この時代に武道をやること

正直、我々が武道・格闘技に向かった3、40年前は、体が大きくて相撲やプロレスが好きな人間は別にして、一般的に言って武道・格闘技をすることと、自分の将来を結び付ける人間などは、そう多くなかったと思う。今では時代錯誤かもしれないが(泣)、ただ「強くなる!」という「男なら当然抱くはずの本能」と、「空手バカ一代」という歴史的漫画が生んだ“強者志願バブル”によって、それこそ「猫も杓子も」道着に身を包んだものでした(爆)。

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著書「はみだし空手」でも書かれている空前の空手ブームの頃のことですね。

可愛くない言い方だが、私は子供のころからの“実戦経験”がふんだんにあったので、そういう“危険思想(笑)”はそれほど強くなかったが「海外留学」という、貧乏人には“分を弁えない妄想”の故にのめり込んだ(のめり込んで“しまった”)のです(笑)

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アメリカにわたる手段として空手の指導員になったと。

しかし今は時代が違うのかもしれません。特に平和が続き、闘争というものが別世界の出来事になった日本では「男だから強くなくてはならない」という、人類が始まって以来の大前提も崩れ去り(笑)、草食系男子や肉食系女子という言葉も違和感なく定着したように見える。(こんなことが続けば国は滅びるんだろうが(泣))

更に悪いことに、我々は以前からそれを危惧し、故に距離を取って来たのだが武道・格闘技界を支えてきた“危うさ”が白日の下に晒されたことで、武道・格闘技へのロマンも消滅してしまった。この信用の回復(不信感の払拭)には10年単位の時間が掛かるはずで、この責任は重いのだが、当事者にその自覚はないのでしょう。しかし、当時は「なぜ大道塾は参戦しないのか?」、「何だかんだ言って自信がないのだろう!!」等と、マスコミと一丸になった世論には何度も叩かれ「世の流れを読めないで頑固になってるだけなのだろうか?」と思ったこともあったものでした。

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支えてきた“危うさ”が逆に武道・格闘技を衰退させたということですね。

そんなこんなで、武道・格闘技に向かわせる最も原始的、自然的な動機・欲求や夢がなくなってしまっては、苦しい思いをしてまでも武道・格闘技に向かう若者が減るのは当然でしょう。

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確かに、ショービジネス化されたことで武道・格闘技は「参加するもの」から「観るもの」に変わりました。

それでなくても生まれた時からの合理的・功利的風潮の中で育ってきた今の若者は、何かのスポーツを始める場合でも、単純に感動や憧れだけでは選ばない。その先の将来性を(1)経済的報酬、(2)社会的評価(将来の職業にできるのか?)、(3)名誉(知名度)の三点に照らし合わせて選ぶのでしょう。(中々、頼もしいとも言えるし、味気ないとも言える 笑) 
それがスポーツの世界ではサッカーやゴルフ、野球などという金になる競技には若手がドンドン出て来て、そうでない競技には中々若者が集まらないという現象に繋がっているのだと思います。

 

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その三点はおそらく納得する方も多いですね。

自信を持って進もう

そういう意味で、これまで特定の大きなスポンサーを持たないできた大道塾・空道には当然、(1) はないし、従ってテレビ放映もないから(3)も「知る人ぞ知る」程度です。(2)はこれまで「社会体育」という方針で進んできたから、小説や映画ではカッコいい非社会(非社交)的、反社会的な人間は殆どいませんが(これは大きな評価であるのだが)、空道を職業にする事での特別な尊敬や信頼感(勿論本人の努力次第だが)も、まだ物足りない。

しかしここにきてJWGA(日本ワールドゲームズ協会)に承認されたという事は取り敢えず、(2)と(3)の面での取っ掛かりはできたという事です。あとはこの方向をより力強くより太く進むことが、若者を含む後進の増加に繋がり、ひいては空道の発展に繋がるのです。現在の支部長や道場責任者、選手等はこの事の意味をしっかりと自覚して、自信を持って日々の指導や練習に取り組んで欲しいものです。

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今後の選手育成についてはどのようにお考えですか。

「選手育成」についてですが、私は個々の具体策をどうこう述べるより、「先ず若手が集まってくる環境づくり」だと思っています。ですから、ここまでの内容が大方の答えになると思います。

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更新日 2012.6.15

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