2月3日出発、2月15日帰国の日程で、メキシコ支部の指導に行ってきました。 メキシコ支部は、2010年10月に、塾長、事務局長、黒木、小松、加藤久輝、中村知大と一緒に一度行った所です。
(編集部補足) 2010キューバ・メキシコ遠征レポート http://www.daidojuku.com/home/2010/mexico/top.html
昨年のワールドゲームズの際に、支部長のカルロスから2回目の指導に来てほしいというリクエストがあり、本来、海外遠征は塾長に何名かの支部長や選手が同行するものですが、塾長が多忙なこともあり、今回は塾長から特別の許可をいただいて行ってきたものでした。どうせなら、しっかりと時間をとって指導したいと思い、10日間、合計で27時間ほど、以下のようなスケジュールで指導および審査を実施してきました。
メキシコシティーから飛行機で1時間半のところにある工業都市で、メキシコの本部道場がある
ユカタン半島にある観光都市で、チチェン・イッツァやウシュマルなどの有名なマヤ遺跡が近くにある。この時期の気温は35℃
2月3日は空港から道場に直行し、20:00〜21:00まで稽古を見学して、最後に課題を把握するために基本稽古をやらせてみました。思った通り、フックや中段のパンチなどに問題がありました。また号令のかけかたも、標準に則ったものではありませんでした。翌2月4日は、ホテルで対応策をじっくりと練ったあと、丸々1回を基本稽古と移動稽古に時間を費やしました。2月5日以降は各種の技研を体系的に実施しましたが、これくらいの時間を費やせると、かなりの範囲の指導ができます。タックルだけ、私の膝の問題と時間の問題から省略しましたが、全体的には用意していった稽古内容の80%くらいは実施できたと思います。事前に新宿支部塾生の横井にスペイン語訳をお願いし、これに基づいて稽古の90%以上はスペイン語で説明しました。残りは英語です。
毎回の稽古への参加者は、少年部は10名強、一般部はサルティーヨもメリダも20名前後でした。
メリダは、2月8日の早朝3時45分にサルティーヨのホテルを出発し、10時〜12時半までと18:00〜20:30まで稽古、翌日は9:00〜12:00まで稽古と組手審査という強行軍でした。メリダの支部長1名を除いて空道の初級者(空手などの経験はありますが、空道は全員白帯)でしたので、指導内容には苦心しましたが、空道の特徴である掴んでからの打撃と、その後での投げとグランド、絞め、関節などの連続的な動作や、護身術への展開などを限られた時間の中で行い、十分に楽しんでもらえたと思います。
2月7日にサルティーヨの道場にテレビ局の取材と撮影が入ったのですが、指導している最中だったので私へのインタビューは断ったところ、生番組に出てくれということになり、11日の朝9:30から、4名で出演してきました。私も30秒ほど、スペイン語で空道の歴史等を簡単に紹介しました。あとは、カルロス支部長が出席できなかったので、アレハンドロという幹部塾生が説明し、若い塾生2名が演武を行いました。演武が生ぬるいようだったら途中から乱入しようかとも思っていましたが、堅い床の上でも投げを含んだしっかりとした演武を行い、その必要はありませんでした。少し残念。当初の予定が7分ということでしたが、面白いから延ばせという指示がディレクターから出たようで、実際にはもっと長かったと思います。ローカルのテレビ局ですが、スペイン語圏内での世界的ネットワークを持っているそうです。
ホテルと道場とテレビ局以外は、若い連中に誘われて昼食に行ったのが1回とカルロス支部長の奥さんの実家でのパーティー、メリダで稽古の合間に海岸まで行って昼食をとったのと塾生宅でのパーティー、その他カルロス支部長等と何回か夕食を一緒しただけで、あとはホテルに籠もってスペイン語での指導の準備をしていました。したがって、観光などはまったくなしでした。一度、ホテルから歩いて10分ほどのところのセブンイレブンに水を買いに出ただけで、スペイン語での準備と指導に集中した10日間でした。日本語を話したり聞いたりする環境にはまったくなかったので、1週間後には、寝ている最中の夢がスペイン語と英語での夢になっていました。電子辞書のバッテリーも、ちょうど1本分を消費しました。我ながらすごいと思いました。
ヒヤリングはできませんが、かなり話せるようになりましたし、文章もそこそこに作成できるようになりました。現地の日本人よりも発音がよいだとか、ボキャブラリーが豊富だとか言われましたが、ボキャブラリーは空道の指導という狭い範囲で必要とされるボキャブラリーに限ってのことなので、辞書の重要単語以外の単語も多く、豊富なのは当然といえば当然です。
自分の子供よりもずっと若い塾生でも、けっこう気軽に話しかけてきます。何度か年齢のことを聞かれても、はぐらかして答えませんでしたが、新しい家族ができた感覚です。
食事は、朝はホテルで食べられるので、遅い昼を食べて夕食はなしとした事が多かったですが、タコスの種類が多く、またタコスにつけるサルサや付け合わせも豊富なので、とても気に入り、サルティーヨとメリダで、6箇所のお店で計8回の食事をタコス、あと3回はステーキを楽しみました。
メキシコは、稽古開始と終了時の挨拶、準備運動、基本稽古、および移動稽古は、空道の標準に至ったと思います。若い塾生の中にも、これらをきちんと指導できる者ができました。これが今回の大きな成果だったと思います。また、空道の面白さを伝えるということも強く意図しましたが、これもそれなりに達成できたと思います。
カナダに本社を持つ大きな自動車関連会社(従業員数約4,000人)の人事ディレクターとして活躍しているカルロス支部長は、「プロ的な態勢で発展する方向」を理解しつつも、「社会人としてもしっかりした生活ベースを持って空道に取り組む」という事を、メキシコ支部のモットーにし、生徒にもそういう層が多く、大道塾設立以来の「社会体育」という塾是、国際空道連盟の「社会に寄与貢献する」という理念を強く意識しており、そういう意味でも、意気投合しました。
以下、いくつかの写真で様子を紹介します。
サルティーヨの道場での指導風景。
少年部の稽古風景。この前に、10歳前後のクラスもあり。
サルティーヨでの1日目の稽古の後で。
サルティーヨでの組手審査の後の1カット。青の道着の二人は、昇段審査を受験。
白の道着はコスタリカから1週間参加した。
メリダでの稽古の後で。
ユカタン半島の海岸で。左からカルロス支部長、私、カルロスの弟子のロランド、ミゲル支部長。
テレビ局のスタジオで待っている間に。
サルティーヨでの主立った塾生が参加したパーティーで。
(場所はカルロス支部長の奥様の実家)
タコス6カット(1個80円くらいから、専門店では20種類ほどあり)。
サルティーヨから空港に向かう途中の、メキシコ中部らしい風景。
谷間なので、朝晩は濃い霧が発生することが多く、5m先も見えないことがあった。
そうすると街灯は役にたたず、道路に照明が埋め込んである。
帰りは、13日の9:30にホテルを出て、タコスの専門店に立ち寄って最後のタコスを楽しんでから飛行場へ。メキシコシティーでは7時間の待ち時間があり、また帰りはアメリカ国境の町であるティファナに立ち寄っての便だったので、ホテルを出てから東京の家に着くまで1日半かかりました。15日の朝に東京に着いて、自宅のある駅から外に出たら一面雪が積もっており、トランクを押して歩くことができずに、20kg以上のトランクを持って帰りました。
とにかく、稽古とスペイン語、それにタコスに集中した13日間(機中を含めて)でした。
遠征を許可していただいた塾長に感謝します。また世界大会でのメキシコ勢の健闘を祈ります。
指導用の資料のスペイン語訳をしてくれた横井にも感謝します。
2014.2.22更新