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2014全日本体力別大会パンフレットより転載
世界選手権日本代表・最終選考大会。大どんでん返しの選出・落選はあるか?
【総論】
過去の世界選手権においては、各階級正代表4名(+補欠1〜2名)が日本代表となったが、今回の世界選手権より、日本から出場できるのは、軽量の階級は以前より多めの人数、重量の階級は以前より少なめの人数になる見込みだ。今回の全日本大会後に日本代表候補選手が選ばれ、その後の強化練習を経て、絞り込みが行われ、最終的な代表が確定するわけだが、前回世界選手権でファイナリストとなった中村知大は、実は、最終選考大会となった09年春の全日本まで入賞歴ゼロのまま、補欠の補欠くらいのかたちで代表候補強化練習に参加し、ギリギリで補欠に選ばれて、あの成果を収めたのである。まだまだ、想定外の選手が一発逆転を果たす可能性は十分にある。今大会に出場するすべての選手の奮闘に期待したい。
空道全日本大会で上位進出を果たした経験をもつ選手や支部長に、得意技のポイントを公開してもらうこのコーナー。第3回目は、第3回(2009)世界選手権−230級準優勝の中村知大・初段にご登場いただく。
中村初段は、早稲田大学入学後、大道塾早大準支部にて空道に取り組みはじめ、高校まで続けた柔道の技術を活かしつつ、ボクシングジム、キックボクシングジム、MMAジムなどにも通い、打撃・投げ・寝技、すべての局面で穴のないスタイルを習得。大学卒業後は大手企業に就職するも、3年の勤務を経て退職し、現在は空道連盟職員として、稽古漬けの日々を送っている。
今回紹介するのは、空道ルールのなかで柔道の背負投を活かすためのコツ。柔道経験者には、ぜひ参考にして欲しい。
※一部転載。
選手たちの背中のゼッケンは、愛とハサミとアイロン掛けで出来ている
選手、セコンド、運営スタッフ、観客・・・。空道の大会を観ていると、気になる人がたくさんいる。マスコミに取り上げられるような活躍をしているわけでもなく、名前も知られていないが、輝いている人。そんな彼ら、彼女らの知られざる空道への想いを探る本企画。第3回目は、全日本空道連盟事務局を支える二人の職員の方にスポットライトをあてよう。
連盟事務局での業務の様子。向かって左が柴田氏、右が田中氏
――まずは田中さん、どのような御縁で空道連盟の事務局に入られたのかについてお話しいただけますか?
田中 父の経営するアパレル会社で経理を担当していたんですが、知り合いだった(東恵子)事務局長から、2003年に「経理の人が辞めるので、代わりに来てくれませんか」と、お話しを頂いて。大学を卒業してから経理専門で働いてきたので、経理だけかと思っていたんですが・・・。
――武道の知識はあったのですか?
田中 縁はありませんでした。まったく。
――では、接してみて「何なの、これ??」みたいな・・・。
田中 小学校低学年の頃、ボクシング好きだった父に、よく後楽園ホールに連れて行かれていたから、抵抗は感じませんでしたよ。
――スポーツ自体の経験はあったのですか?
田中 高校の途中まではバスケット部でレギュラーでした。スポーツは好きでした。
――事務局の仕事で印象に残っていることは?
田中 人との出会いですね。全国のみなさんと接するから、地域ごとの特色を感じられることが楽しいですね。
――逆に、困ったことは?
田中 大会トーナメント表のデータ化を担当しているんですが、大会当日まで棄権を支部長が知らせてくれないケースでしょうか。もっと言うと当日、受付を担当していて、規定の時間を過ぎても現れない選手を探して走り回って、その選手の所属支部長を発見して訊くと「あ、棄権です」と言われるような場合ですね。限られた時間で、トーナメントの調整を(東孝)連盟理事長にして頂き、それをまた、かたちにし直さなくてはいけないので、せめて当日でも、分かった段階で教えていただきたいですね。せめて、こちらから探す前に。走り回らないで済みますから(苦笑)。
――あれ・・・。経理担当だったはずでは?
田中 そう!そうなんですよ。経理だったはずなんですけどね(苦笑)。
――今後は、連盟にどうなって欲しいですか?
田中 世界大会が成功して、毎年、一つずつ課題をクリアして発展していくことを願っています。
――清水選手にも訊いたのでお伺いします。子どもの頃、好きだったテレビ番組は?
田中 「秘密のアッコちゃん」とか「オバQ」とか、そのへんでしょうか? 「鉄腕アトム」とか「鉄人28号」とか「ウルトラマン」とかも兄の影響で観ていましたね。24歳の娘と22歳の息子がいますからね。
――続いて柴田さん、どのような御縁で空道連盟の事務局に?
柴田 2002年の暮れからです。もともといとこの娘が事務局に勤務していて、最初は「人手が足りないから事務の雑用のお手伝いを」ってお話しを頂いて。
――田中さんとの作業分担はどのように?
柴田 田中さんが経理中心で、私は、海外の塾生の分も含めて、年1回の登録更新や昇級・昇段のパソコン上の処理など塾生データの管理、それから昇段状の管理、郵便局へ行ったりとか、お客様にお茶を入れたりとか・・・、それと大会の準備ですね。
――武道経験は?
柴田 高校では部活ではバレーボールをやってましたけど、武道・格闘技は、子どもの頃にプロレスみたくらいですね。
――では、空道については全く知識なく?
柴田 もう全然分からなくて・・・というか、未だによく分からない(笑)。試合の時に「ここのルールはこういう意味ですか?」って訊いてくる選手の方もいらっしゃいますが・・・。
――そんな世界で働いて、いかがでした?
柴田 結婚してパートで働いたりしてきましたけど、ここに来て「世の中にはこんなに変わった人がいるんだ!」と知りました(苦笑)。
――具体的に言うと、誰がどう・・・。
柴田 それは、言わなくてもご存じでしょう?とにかく飲みに行ったり、カラオケとか行っても、普通じゃ考えられない盛り上がり方。そういうのは楽しいですね。仕事自体も普通の会社では経験することのない内容ですし。海外のことを担当してると、それぞれお国柄で、日本の常識が通用しなかったり。
――トラブルも多いんでしょうね。一番大変なのは何でしょう?
柴田 あの全日本選手権をこの少人数で運営していると、いろんな苦労はありますね。
――大会では、具体的にどんな作業をしているのですか?
柴田 まず、プラカードから、ゼッケンから、首から下げるパスから、大会で使うものはほとんど手作りなんです。
――えっ!業者に任せられないんですか?
柴田 任せられるところがあればお願いしたいですけど、出場選手が変更になったりとか、ギリギリのスケジュールに対応するには、やるしかないみたいで。
――ゼッケンって、普通は番号が書いてあって、その番号をパンフに照らし合わせなければ選手名が分からないけど、空道のゼッケンは、名前が書いてあるから一目瞭然ですもんね。選手は事務局のみなさんに感謝しないといけないですね!
柴田 そうですよぉ(笑)。番号だと簡単なんですけどね・・・。
――番号だったら選手が変更になっても使い続けられるけど、選手名は選手が変更になったらその都度作らなきゃならないから、大変ですね。
柴田 とっても大変でございます(笑)。選手一人にゼッケン2枚ずつだから、ジュニアもあわせて400枚くらいになるので、簡単にできるものではないです。私たちだけでは手に負えないんで、指導員の奥さまだとかにもお願いしたりして。
――では、今後、空道にはどうなって欲しいですか?
柴田 本音を言うと今のままで手一杯なので、私にとってはこのままの状態がいいんですけど・・・、塾長やみなさんにとっての夢、オリンピックまでの道のりにお付き合いしていければと思っています。
――そこに辿りつくまでにきっと部下も倍増しますよ!
柴田 ですよね・・・っていうか、そこまではたぶん、体がもたない気がしますけど(笑)。
――最後に。子どもの頃、好きだったテレビ番組は?
柴田 「リボンの騎士」! あ、いや「魔法使いサリー」にしておきましょうか(笑)。
※この記事は企画変更によりこちらに掲載しました。→「空道 選手列伝」
2014.6.24更新