ブルガリアモンゴル遠征
遠征記稲垣拓一(総本部)

9月13日〜19日の日程でブルガリアとモンゴルに遠征に行かせて頂きました。
2週間前にお話を頂き、急遽決定。夏の繁忙期も過ぎ、仕事もちょうど一段落した時でしたので、せっかくのお声がけを頂きましたので、思い切って行くことにしました。
ブルガリアへの移動時間は車も含めて約24時間。なかなかの長旅でした。ブルガリアではディンコ支部長は人柄よろしく、お国柄か?のんびりとしていて、その影響かセミナーや試合もゆるいイメージでした。中には何人か技の切れる人間もいましたが、全体的には低いレベルの印象。温厚な東塾長も珍しくキレ気味でした。

試合では、日本からは弐段に昇段したばかりの渡部選手が、やはり急遽出場しましたが、必要以上に緊張した様子で、二試合目は敗退。32歳との事ですが、当人は40歳までは選手を続けると言っていたので、このたびは初めての海外での試合ということで、よい経験になったと思います。独特なキャラに比例した独特な組み手に今後も期待したい。

ブルガリアでの観光で黒海に連れて行って頂きましたが、ギリシャ時代からあまり変わらないという海に面した建築物や風景は、なんともいえないリゾートな佇まいでした。

次はモンゴルへ移動。空港に着き次第一般の受付も通らず、国賓並みのVIP待遇。
ガンチャン支部長とその弟子たちがベンツで出迎え、空道と塾長に臨む意気込みや姿勢がうかがえました。
ガンチャン支部長は実業家でもあり、まだ若いですが、とにかく顔が広い様子で、国会議員や軍隊へも相当のコネクションがある様子でした。スポーツ・文化・観光省、日本で言う文部科学省より東塾長へ空道普及の感謝状の授与がありました。普通は中々ない感謝状です。ご立派。軍隊へも空道が入り込んでいるため、ロシアに続きモンゴルでの普及と層の厚さを増すのは時間の問題と思われます。兵役もあり、肉食。地続きで国境のある大国を治めてきた国は、常に戦うことに対する緊迫感を兼ね備えているように見えます。近隣大国であるということもあるでしょうが、ロシアには負けたくないという強い思いも見習うべく姿勢です。
2016年のワールドカップのモンゴルでの開催を切望するガンチャン支部長は常に精力的です。

(編集部注)ワールドカップは世界大会の2年後に各大陸の空道連盟が持ち回りで開催。第一回空道ワールドカップは2011年2月モスクワにて開催されました。

日本は戦後68年。腑抜けた人間の形成はやはりここまで遡ります。敗戦によりアメリカに様々な支配を受け、そのひとつに教育があり、日本人の狂気な精神力をおそれるあまり、それを取り除く教育を行ってきた。その結果が68年たった今、皮肉にも実りきってしまったことが根幹にあるのは否定できない事実です。小生は子供を持たない故、あまりえらそうなことを言うのは気が引けますが、親が子供を教育できない現実。それは親を責めても仕方のない背景があると思います。本当にもう戦後を終わらせて、憲法を改正し、芯のある教育を復活させる。そのひとつの手段として、空道の普及による心身の練磨は今後の重要事項として日本に根付くことを願います。小生も45歳。いつまで現役選手と汗を流せるかわかりませんが、時間が許す限り、体が動く限り、日頃お世話になっている大道塾に今できる恩返しをしていきたい。その一環として、日本と海外とのこの温度差を縮めること。そのためには、支部長、指導員と選手が一体となり、海外に行く機会が回ってきたら積極的に参加し、体感してきたことを伝える。そんな地道な作業もひとつの手段だと思います。武道とスポーツは似て似つかぬもの。二つのよき要素を失わずにオフィシャルな競技へ認知してもらう。本当に未来のある素敵な行動だと思います。

礼節を重んじ和を尊び社会に貢献する人材の育成。すばらしい。 しかしながら、格闘技であり、力の世界である認識も絶対に忘れてはならない重大な要素です。成熟しつつも「強くなりたい」ただそれだけで入門した古の思いを絶対に忘れてはいけない。組織を発展させるためにも、「強さ」の裏づけは絶対に必要です。国だって軍隊、日本は自衛隊ですが、強い存在でいなければなりません。平和な社会の裏づけには強い軍事力と経済力が不可欠です。平和ボケなどといつまでも馬鹿面をしていたのでは殺されます。そこでやはり、次の世界大会ではタイトルを取り返さなければ日本は舐めきられるでしょう。綺麗ごとだけではロシアもモンゴルも間違いなく言うことを聞かなくなります。
選手、指導者、指揮官、連帯での勝利への強い思いで、この難局を乗り切るしかないでしょう。

いささか話が右に傾きましたが、このたびはモンゴルの勢いに刺激を受けたよい遠征でした。お世話になりましたディンコ支部長、ガンチャン支部長ご関係者の皆々様。ご一緒させていただきました東塾長、事務局長には毎度お世話になっております。そして、遠くで見るシルエットは往年の松田優作を思わせますが、結構ずっこけている渡部選手。笑わせてくれてありがとう。国内ご関係者の皆様、事務局由美子氏にはまったく英語をしゃべれない小生向けに空道セミナー優しい英会話集を無理言って作成願いました。今後はしゃべれない方は携帯するよう、是もまた今後の発展につながる大切な礎となるでしょう。皆様お世話になりました。ありがとうございました。

稲垣拓一(総本部)

更新日2013.9.27

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