ロシア遠征参加者レポート
吉祥寺支部 飯村 健一
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今回のイベントの話を塾長から聞かされたのは今年の関東予選ぐらいだったか。
ロシア、ウラジオストクで開催される格闘技の交流戦的なイベントに若手で成長著しい?國枝を推してくれたとはありがたい!ぐらいにしか考えていませんでした。
関東予選は準優勝、全日本は納得の行かない1回戦負けだったのでこの話も消えると思っていたのだがまさか継続されていたとは!
ウラジオストク行きが近づくにつれて詳細が送られてきましたが驚く事ばかり!
東経済フォーラムという政治的なイベントの一環で開催される格闘技大会で大会名が【Battle of Champions 】!
チャンピオン達の戦いと銘打った大会に、成長著しいと言っても無冠だし、まだまだ実力不充分の國枝が参戦するなんて…
しかも対戦相手は去年の世界大会、-240クラスの優勝者と考えられる…
が、決まったからには腹を括るしかない!自分に出来ることは國枝が恥ずかしい戦いをしないようハードに追い込む事!
國枝はまだ学生なので毎日のように練習ができます。
ウェイトトレーニングやランニングは本人に任せ道場ではミット、サンドバッグ、マススパー、組技の他に週2回のハードなサーキットで追い込みました。
作戦は去年の世界大会、-230のクラスで末廣がエドガーと戦ったのを参考に。
ロシア人に中途半端な距離を取ると勢いが増し止めるのが困難になると自分はえてます。下がりながらカウンターを決められる清水や目黒のようなセンスもない國枝は前に出て距離を潰すしかない。
出鼻に強い前蹴りで突進を止めパンチに繋ぐ、パンチに合わせて縦肘を出しながら良いポジションで組み、膝を刺すというような練習をやらせたがロシア人の圧力に下がらないで前に出る事が出来るのか?は本番になってみないと分かりません。
そうこうしているうちにロシア行きのチケットが送られ中身を確認すると出発は9月2日(水)AM6時25分、羽田発という早朝便…
国際線は2時間前に手続きなので4時30分に、同行するコノネンコと国際線ターミナルで待ち合わせする事に。
※塾長と高橋師範、長田先輩は翌日入り
4時半に羽田に着く電車もバスもないので弟子の志田に強引に頼み車で送ってくれる事になったのは非常に助かりました!(志田すまん)
そして出発!
羽田空港でコノネンコと合流し塾長はいないが海外遠征前の儀式で乾杯(笑)
もちろん國枝は飲めません(笑)
飛行機は直行便ではなく韓国でトランジット、羽田~韓国が約2時間、韓国~ウラジオストクが約3時間、トランジットの時間も入れると到着まで約7時間…
去年のアジアカップは直行便だったのでえらく長く感じました。
寝不足のままウラジオストク空港に到着しイワノフ支部長達が迎えに来てくれ、ホテルではなく試合で流すプロモーションフィルムの撮影に向かう。
國枝は色々と動きを注文され、やったことのない跳び蹴りをやらされたりと撮影に1時間はかかりました。
やっとホテルにチェックインして一息ついたらロシア空道の偉い方々と夕食。
去年も感じましたがウラジオストクの料理は美味しく新鮮な魚介類や鹿の生肉なんかを堪能させて頂きました。
最初はビールだったがロシアなのでやはりウォッカ、しかもワサビ入り!ワサビ特有の鼻にツーンとくる感じが癖になるウォッカで乾杯=一気を5回やらされ程良い酔い加減に。
食事後はホテルに戻り寝不足を取り戻すかのように爆睡。
9月3日(木)
ウラジオストク2日目は午前10時からウラジオストク支部で12才~17才を対象に國枝のテクニックセミナーという無謀としか思えないスケジュールが組み込まれていました!
かなり心配だったのでサポート役で『自分も道着を持って行きますか?』と塾長に聞いていたのですが塾長からの返信は『お前は道着が似合わないから要らん』…
という訳でコノネンコと影ながらのサポートはするが國枝のセンスが問われるセミナーとなりました。
ウラジオストク支部に初めて訪れましたがウェイトの施設やリング、畳もあり作りは古いが今で言うメガジムの様。
こんな立派な道場で若者が凌ぎを削り試合数も日本とは比べられない程多く、場数を踏んでるんだから強いのも頷けます。
セミナー参加者はなんと50人以上!
肝心のテクニックセミナーはもうグダグタで観てられなかったが空道歴4年ではこんなものか…
セミナー後は計量会場であるホテルに向かう。
15時からの計量を無事にクリアし対戦相手と対面!
やはり去年の世界大会チャンピオンの ゲガム・マナヴァシアンでした!
國枝はお腹がポヨンポヨンしていて弱そうに見える…
改めて思ったがこんな大々的なイベントに参加できるなんて本当に凄い事!
無敵のチャンピオンに無名の挑戦者が立ち向かう感動&燃える映画No.1の【ロッキー】のようなシュチエーションなのだが國枝は【ロッキー】を観てません…
計量後、ホテルで國枝を休ませ塾長、高橋師範、長田先輩を迎えに空港へ。
当然のように塾長ウェルカムパーティーで盛り上がり決戦前夜は過ぎて行く…
9月4日(金)
決戦を迎えたホテルの朝食は選手が食べるに相応しくない白飯にでっかいソーセージを乗せただけのソーセージ丼とカッテージチーズ、ヨーグルト乗せ…
ランチはお粥…
塾長達は別のホテルなので被害には遭ってません。
ランチ後に出発し去年のアジアカップ以来のスタジアムに到着。
着いて早々にリハーサルだったがこれだけの大きなイベントだけにリハーサルも細かくやると思いきや入場を國枝の代わりにやっただけ。
入場時に後ろの大画面に選手のプロモーションフィルムが流れ炎が演出に使われる等、ロシアの格闘技人気が窺えます。
【Battle of Champions】は柔術、極真空手、空道、MMA、散打、ムエタイ、コマンドサンボ、キックボクシングという8種目の競技のチャンピオン達が競いあう格闘技イベント!
そんなイベントのパンフレットに國枝は全日本大会を2回優勝していてワールドカップも入賞と載ってました…
この嘘の肩書きがバレないようにするには國枝が良い戦いをするしかない!
そんなこんなで第1試合の柔術が終わり第2試合が空道。
7000人の大観衆が見守るなかで試合開始!
この試合は決勝戦と同じ自動延長システムを採用しているので1Rに倒されなければ3分2Rを戦える。
試合は序盤からパンチをもらい印象が悪く國枝は行く気に流行りパンチを出すが当たらない。
蹴りをキャッチされストレートをもらい有効を奪われたが押されて倒れただけなので効いてないのはわかる。
組んでも組み力が強く振り回される場面も。
寝技になり何とか凌ぐ國枝。
本当は前蹴りで止めてパンチも打ち分けたいのだが上手く行かない。
だが後半に来て愚直に前に出る國枝にチャンピオンが疲れを見せる。
延長に入りチャンピオンは下がりながらの攻撃が多くなり國枝はボディから攻めたいが不発、タックルに入られる場面も。
後半、國枝の膝が入り下がるチャンピオン、効いたのがわかったが詰められず試合終了。
あの疲れかたを見ると3Rあれば勝つチャンスはあったがルール上では大差の判定負け。
技術面での問題は山積みだが強いチャンピオンを相手に前に出るメンタルは合格点でしょう。
國枝、お疲れ様でした!
去年のアジアカップで対戦した内田はプレッシャーに圧され下がったため勢いのある攻撃をもらい続け完敗した。それを踏まえるとフィジカルを強化しパンチのディフェンス、カウンターを磨き距離を詰められれば日本人選手が勝つチャンスは十分にあると思う。
もちろん色んなスタイルの日本人選手がいるので一概に言えないが対ロシア人を考えると勢いを止められる距離で戦うというのも1つの答えではないかと今回の試合を観て改めて感じました。
國枝の試合後は他の試合を観戦。
期待していたコマンドサンボは控室に居たため観られず、セミとメインのムエタイ(ロシアvsウクライナ)、キックボクシングは正直レベルが低くて残念でした。
ただ会場はロシア選手の攻撃に大歓声で凄い盛り上がり!
イベント終了後、全体の打ち上げには参加せずに内輪での打ち上げを日本料理店で、前日に塾長は『明日はカラオケだぞ!』と仰っていたが塾長もお疲れのようで早々に解散できたのは助かりました(秘)
9月5日(土)
ウラジオストク最終日は朝食は食べずに遅くまで睡眠を取りレストランへ。
おどおどする國枝には笑えました(笑)
昼食後、空港へ向かい高橋師範と長田先輩を残しロシア空道の人達に別れを告げ日本へ。
※高橋師範と長田先輩は翌日のフライト、行きと同じく韓国でトランジットだったが塾長がいるので恒例の乾杯、日本から数えるといったい何回乾杯したのか!?
夜9時、成田着で短いながらも凝縮された遠征が終了しました。
毎回、海外に来ると空道の規模の大きさに驚かされます。実戦的な競技でありながら武道の礼儀作法等が海外では受けいれられるのでしょう。残念ながら日本の場合、格闘技をやるなら堅苦しい礼儀作法や師弟関係のないジム的な環境が良いと感じる若者が多いのも事実です。今は寂しい現状ですが日本でも空道が若者に受けいれられるよう微力ながら貢献して行きたいと思います。
最後に國枝にもったいない場を与えてくれた塾長、高橋師範、長田先輩、コノネンコにお礼を申し上げつつレポートを閉めたいと思います。
吉祥寺支部 飯村健一