ロシア遠征参加者レポート
東北本部 支部長 コノネンコ・アレクセイ
写真は、多いので別ページに掲載しております。
The Battle of Champions
チャンピオンの戦い
9月4日にロシア、ウラジオストックで行われたイベント、“チャンピオンの戦い”に空道のワンマッチが取り込まれ、日本から国枝選手は-240クラス世界大会で優勝したマナワジャン選手と対戦しました。そのイベントのために日本から東塾長、審判として高橋師範、長田支部長、コーチとして飯村支部長、国枝選手と私アレクセイ コノネンコはウラジオストックに向かいました。
イベントの主催者はロシア格闘技連合という組織でした。ロシアの場合、国は認めているスポーツがスポーツ省の管理しているスポーツ種目登録版に入っています。全てのスポーツはオリンピックスポーツと非オリンピックスポーツに分かれて、国に認可されている複数の格闘技団体は非オリンピックスポーツ“東洋格闘技”というスポーツ名目にまとまっており、空道がその中に入っています。そのほかに全ての格闘技を取りまとめているロシア格闘技連合という組織があり、国はその組織を窓口にしています。
ロシア格闘技連合は今まで同じ形式のイベントを7回行っています。以前にも空道の試合が含まれ、-260クラスの平塚選手、女子のブイコヴァ選手、-250世界王者のケリモフ シャムハル選手は参加したことがあります。試合フォーマットは2つあり、一つ目は他種格闘技のチャンピオン同士が合意したルールで戦うという。もう一つはロシア対世界ということでロシアのチャンピオンが同じ種目の外国人チャンピオンと戦う形式です。
今回の試合はウラジオストックで行われた東経済フォーラムのプログラムに含まれ、世界のリーダーたちは世界経済危機の解消について協議した後、このイベントを鑑賞してロシア対世界の戦いを楽しむというコンセプトでした。ロシアの政府関係者の中に格闘技のファンが多く、元環境大臣現在大統領直管代表者トルトニエフは極真空手5段、ロシア原子力大臣キリエンコは合気道4段、この二人はイベントに来ていました。噂でプーチン大統領も訪れると言われましたが、大統領は忙しくて経済フォーラムに出た後にすぐにモスクワに帰りました。
イベントは8つの種目で8つの試合という形式で行われました。今回参加した格闘技種目は柔術、空道、コマンドサンボ、散打、極真会空手、MMA(総合格闘技)タイボクシング、キックボクシングでした。ロシア格闘技連合の中に70近くの団体が入っていますが声かけられたのはこの8つの団体だけでした。その中に空道が入っていることはロシア国内でとても評価されていることを意味しています。
チャンピオンの戦いは9月4日の夜に行われましたが、選手のプロモビデオの撮影のため国枝選手、飯村コーチと通訳の私(コノネンコ)は9月2日にウラジオストックに入りました。ウラジオストックあたりに秋は天気が一番安定しているので、「ゴールデンオータム」と呼ばれるほどの気持ちいい季節です。私たちはきた時にポカポカの太陽と青空は歓迎してくれました。着いた後にすぐに撮影のためスタジオに向かいました。
ロシアで行われているイベントは基本的に派手のもので、準備も本格的です。スタジオでプロのカメラマン、プロヂューサー、デイレクター数名に囲まれ、あっちこっちから指示を受けながら国枝選手の撮影を行いました。さっすが映像のプロですが、格闘技を全くわからない人たちでしたので私たちにとって不思議な指示、「飛び蹴りを見せろ」、「もっと高く飛んで!」、「体を動かさないでカメラに向けてパンチしろ」、など呼びかけていました。その中で印象的でしたのは、マスクを着けさせて国枝選手が実際に相手を攻撃する動画を欲しいと言われました。実際に当てて欲しいと言われましたのでウラジオ支部の道場生に協力してもらいました。私たちわかる人は国枝のパンチ、蹴りがかなり重いと一目で分かっていましたが、カメラマンは「だめ、だめ!もっとハードでやれ!マスクを着けているから痛くないだろう!」と。やられ役のウラジオ支部の道場生はブチ切れて「じゃ、自分でマスクを付けてやってみたら?」と反論しました。その日に一時間をかけてなんとか撮影を無事に終了しました。
次の日に東先生、高橋師範、長田支部長は夕方にウラジオ入りしました。午前中に私たち3人はウラジオ支部の子供達との交流、インタビューなどをウラジオ支部でやる予定になっていました。私は25年前に初めて空道に触れたのはこの道場でした。とてもたつかしかった!道場の中に私は96年初めて全日本で優勝したときのトロフィーを大切に保管してくれていました。
交流会に子供、青年50人ぐらい集まりました。飯村コーチの指導のもとで国枝選手はロシアの塾生に自分の得意技を幾つか紹介していろんな質問に答えました。国枝選手は紹介したのが肘打ち、膝蹴りのパタンですが、ロシアの道場生の動きを観察すると打撃中心、ボクシングのような練習をやっていますが、違う分類の技をあまりやっていないような印象を受けました。
試合当日は試合が夜に行われたためお昼すぎに選手、コーチ、審判が会場に向かってリハーサルを行いました。東先生はイベント開始までウラジオ支部長ヤーシンとロシア支部長アナスキンの接待を受けました。
試合会場は昨年アジアカップ行われたフェチーソフアリーナでした。試合開始19:30の予定でしたが、プーチン大統領はいらっしゃるかもしれないという情報があったため開始時間を多少遅らせたが結局大統領が来られなかった。観客は7000人ぐらい集まって、ほぼ満席でした。VIP席でロシア政府関係者、フォーラム関係者はたくさん集まりました。その中になぜかアメリカの俳優ステイーブンシーガルもいました。
空道の試合は開始から2番目でした。試合は自動延長あり、決勝ルールで行われ、主審高橋師範、副主審長田支部長、副審ロシア人二人とウクライナのサモーヒン支部長でインタナショナル審判団でした。
国枝選手は最初から積極的に攻めました。自分の得意肘、膝、前蹴り、ミドルで積極的に前にでようとしていたが、相手は同階級で世界王者ですので思う通りにいかなかった。ロシア人の得意パンチラッシュ、などで反撃して何回かクリアで国枝選手の顔面を捉えました。その一つの反撃で国枝選手のバランスを崩して「有効」を稼ぎましたが、力強い、押すようなパンチでしたので後国枝選手に聞いたら、パンチが効かなかったそうです。有効以上のポイントはなかったのでそのまま自動延長へ。延長戦になっても国枝選手は変わらずに攻めていました。おそらく膝、肘を出そうとしていたので最初の攻撃から掴みへという流れになりました。マナワジャン選手は掴みに入って力で国枝選手を振り回したり、押し出したりしましたが綺麗な技ができませんでした。途中で国枝選手のバランスを崩し、グラウンドで上にになってパウントパンチで効果。試合はマナワジャン選手の優先で終わって国枝選手が負けてしまいましたが、後半マナワジャン選手はスタミナが切れて国枝選手の攻めが目立ち、攻撃が届くようになりました。そのまま再延長になれば国枝選手にはチャンスがあったと思いました。
そのほかの試合を含めて全体的にロシアの選手は7対1で世界の選手に勝ちました。しかし、ほかの試合はチャンピオンクラスでも名前を聞いたことない選手ばっかりでした。イベント全体の盛り上がりはよかったが、もうすこし面白い試合を見たかったという印象が私だけではないと思います。
国枝選手は負けましたが、頑張っていい試合を見せてくれました。怪我なく翌日先生たちと一緒に無事に帰国しました。“チャンピオンの戦い”に参加させていただいてロシア空道連盟、ウラジオストック支部の皆さんはじめとして関係者の皆さんに感謝を申し上げます。こういうイベントに参加させてもらえると空道の魅力をより多くの人に理解してもらって空道の普及に大きな影響を与えると思います。今回同行させていただいた東塾長、同行した高橋師範、長田支部長、飯村支部長、国枝選手大変お疲れ様でした。
東北本部 コノネンコ