インドレポートシモン・ファビアン

【編集部注】当レポートは日本語で書かれたものを原文のまま掲載しています。

押忍。(元)総本部道場のファビアンです。この度、インド遠征にお邪魔させて頂きました。片言の日本語ですがレポート(苦笑)致します。

インド遠征の2ヶ月間前

インドでセミナーがあるということを聞き、それに参加しように思いました。今住んでいるシンガポールから、インドまでは5時間ほどの距離ないので、日本より少し行き易いです。その上、セミナーですので、毎日数時間練習できるはずで、価値があるなと思いました。
そこで塾長からメールが来ました。「審査も受けないか」とのことでした。
実は去年韓国にてセミナーと第2回空道アジア選手権韓国大会の際に一級の審査を受けたのですが恥ずかしいパフォーマンスでしたので、また絶対、もっと準備して、受けようと決めていました。タイミングまで決めてまして、2015年末か2016年に昇段の審査を受けようと思っていました。
そのため、塾長のメールを読んだ瞬間に「やばっ、後2ヶ月間かぁ」と思いました。とは言え、断れないチャンスでもあったうえ、面白いチャンレンジになるのではないかと思いました。ですから、2ヶ月間、仕事のスケジュールに練習の時間を割いて、家で久しぶりにマスクかぶって腕立てやシャドーをやって準備していきました。
出発の一週間前に髪の毛を普通より短く切ってもらうことにしました。マスクを被り易くするというより・・・心の準備!

5月7日(出発日)

午後5時。「ファビアンさーん、ちょっといいですか」と同僚が呼ぶ。「ちょっとよくないよ、や、全然よくないっす!!!飛行機がっ」と思いながら「すみません、空港に向かわないと行けないんで、携帯に連絡してもらえれば助かるけど」と答え、タクシーでなんとなくその日の仕事を終え空港までダッシュ。シンガポールのチャンギ空港は街から近く、とても便利で、無事にチェックイン。 搭乗を待ちながら基本と移動を少し復習。移動稽古は特に日本に住んでいた時に新体系をやっていませんでしたので、流れをもう少し確認し、頭に入り込みたかったです。
離陸してから席のスクリーンでDolly ki doliというインドの喜劇を観ました。やはり海外へ行くと観光するだけでなく、その国の特色を少し理解すると楽しいと思い、いつもその国の映画を観たり小説を読んだりします。言葉はさっぱり分かりませんがその映画が楽しかった(かな?)。
夜零時に到着。ムンバイの空港が凄く綺麗でびっくり。自分の国(フランスですが)の空港が全然比べられないなぁと思い、少し恥ずかしかったです(笑)。

少し待ったら、塾長、高橋師範と由美子さんと合流。久しぶりに塾長と旅行ができてとても嬉しいです(塾長は覚えている訳ありませんが、実は数年間前に九州合宿に参加させて頂き、塾長と二人で福岡空港で飛行機を待ったときがあり、ラーメンを食べながら色々と団体の歴史を説明して頂き、私にとって凄くいい思い出だったので去年の韓国や、今回のインドはとても楽しみなものでした)。
ムンバイ空港からセミナー場のカンダラ市は2時間ぐらい。空港までむかえに来てくれたインド連盟の方と車に乗っていきます。最大150km/hのスピードでのマッッッッジかよーと思う運転の仕方です。が・・・そのお陰で早くホテルに着きそのまま寝ました。

5月8日

メハル支部長と朝食をしながら、塾長、師範と由美子さんは今度のセミナーのスケジュールを立てます。審査は次の日とのこと。明日か。押忍。
その午後インド連盟の指導員とセミナー。本日のメニュは基本と移動です。インド連盟の方々はほとんど剛柔流の有段者で、組手立ちからの基本に恐らくなれず伝統空手によく見る脇の下の引き手したりします。

高橋師範が私を使って中段のアッパの説明します。皆さんの前でニコニコですが心の中では「痛っ」と思います(笑)。というのはちょっと嘘です(高橋師範が少し優しくしてくださいました)がパワーがあるなぁと思ったのは事実です。そこで興味深いと思ったのは、高橋師範が打ちながら普通に(説明するために)話すほど腕をリラクスしていらっしゃったことです。むしろ、テンションが無かったことからパワーが生まれました。白帯から何回も言われるはずですし当たり前なことでしょうが打たれた時に再確認できました。
技をもっと理解するため、かけられる必要もありますね。皆さん、殴られましょう!(笑)

塾長及び高橋師範の教え方も勉強になりました。当然かも知れませんが指導員は技だけでなく成年も子供も、海外の人、いろんな人に伝われるように教え方も考えないといけないですね。それも勉強になり、嬉しいです。
そこで高橋師範のもとで、移動での蹴り技を説明させて頂きました。この私でよかったのか・・・今も心配しています(笑)。ところが高橋師範にいくつかアドバイスもらって、感謝しています。

可哀想にフライトがキャンセルされ、ドバイ経由の違うフライトで来た多田先輩が、練習途中で現れました。
夜はインド連盟の方と少人数の飲み会。次の日に審査があるということで、ジュースにします(実は2ヶ月前審査を受けると決めた時からお酒を一回も飲んでいません)。去年の世界大会でご挨拶ぐらいしたことがありましたが今までお話していない多田先輩と少しおしゃべりしました。ユーモアのあるジャパニーズアドベンチャーですね!その面でも大道塾が凄く好きです。様々の経験のある方がいて、いつも楽しい出会いができます。 

5月9日

朝は昨日と同じ様にインドの指導員とのセミナー。今回は投げ技です。塾長にも多田先輩にも投げられ祭り!(塾長注:「祭り」でも面白いが「まくり」か?)

シンガポールではレスリングや柔術に経験者と練習しますが、やはり日本の柔道は違います。塾長が特に強調していた「つくり、崩しをして投げ」のスムーズな流れで、「投げられている」と気づく時間がなく「投げられた」後に自覚できると言えます。初めてこういうふうに思ったのは数年前に総本部の山崎進先輩に投げられた後でした。
話が少し変わりますが、フランスの柔道が強いとよく言われます。ところが、試合を見たら何か足りないなと思います。技の流れでなく、力で勝つことが多いからではないかと思います。「道」だったら、勝つだけでなく、勝ち方も大切なのではないか。昔、Youtubeで三船十段のビデオを拝見しました。70代の三船十段でしたが、足が軽く、腰が低く、信じられないといえるほど綺麗な柔道でした。
塾長も多田先輩も柔道の有段者で、投げられたらそのビデオを見たときと同じように道がまだ長いなと思いました。楽しい道ですしいいですけど・・・。

そして午後が審査でした。
40人が受けまして、カテゴリに分けて行われました。そこで人数の足りないカテゴリは、私を使って調整するとのことでした。それは凄く嬉しかったです。入門してから10年間たちまして、34歳になったので9試合をするはずだったと思います。但し、もっと早く受けなかったのは私のせいですから30歳未満の規定人数が10試合ですから、それ以下だとある意味では欺きだなと思いました。
あと、さきほど申し上げたようにマスクを被って戦う機会が中々ありませんので、少し練習できてよかったです。グローブだと距離感もちがいますし。
試合自体は凄く楽しかったです。総本部の者として、もう少し空道の魅力を見せたかったと思います。例えば組技ではほとんど掴んでからの打撃で戦いました。ちゃんと掴み=>コントロール=>打撃=>投げでよかったと思います。その気持ちを忘れずにこれからも頑張りたいと思います。

この度、大道塾の黒帯を締められることになりました。大変光栄です。が、第一歩ですね、初段。日本の方々には当然でしょうけども、外国人には多分そうでもありません。皆さんはブラックベルト=先生(指導するという意味で)、それを目指して、受かった後「よっし、できました!」と思ってしまうかも知れません。しかし、漢字で読むと「初段」、階段の「初」のステップで、道がまだ長いと分かると思います。それは楽しみです。基本は(私の場合はなんとなくできるということで(苦笑))、そのベースの上に家を作れるということですね。

夜はまたパーティーで、今度は人数がもう少し多かったです。で・・・次の日には審査がないということで、久しぶりに皆さんと乾杯できました(笑)。
インド人は踊るのが生まれつきかもしれませんが、皆さんがヒンディダンスになりました。多田先輩も普通にジョイン!私は踊るのが苦手です(はい、クラブ行かない外人です!)が皆さんがとても楽しそうでしたので少しやってみました。
やはり、そういうときに上手が下手かは全く関係がなく、現地の人とシェアーするということですね。いくら下手でも向こうが「あ、僕たちと一緒にやってくれるんだ、僕たちの文化に興味があるんだ」と思い、喜ぶと思います。それが海外旅行の醍醐味だと思います。

5月10日

朝は子供向けのセミナー。多分100人ぐらいが集まりました。そこでパンチの基本を任せられました。
子供が塾長の前で恥ずかしかったか、塾長のジョークに無反応。「Move like a  ninja」(忍者のように動くんだ)とステップインの説明したら一昨日皆が笑っていたのに(笑)。
午後は観光でKarla  Caves(カルラ石窟)というところに案内して頂きました。インド仏教の有名な聖地であって、山(岩?)に掘られたお寺です。 お寺まで何百メートルの歩道があり、屋台が並んでいます。「チャース」というラッシみたいなヨーグルトとお水で作られている飲み物も売っていました。そこで多田先輩が飲みたかったらしいですが一緒に来てくださったインド連盟の方がやめるようにアドバイスしました。現地の食べ物・飲み物に当然になれているインド人でも危ないとのことでした。それを聞いても多田先輩が「別にいいじゃん」みたいな顔をしていました。次の日に飲んだらしいです。やっぱりアドベンチャーが好きな方です。尊敬します!

5月11日

本日は子供の大会。900人ぐらいが集まり、朝7時から12時間の試合を予定するらしい!
子供がまだ空道のルールに慣れていない、(空道向けの)防具もないということで、ルールも少し変わった試合でした。
途中でインド連盟をサポートして下さる有名な俳優さんのアクシャーイ・クマールが登場!彼は一時間ほど塾長としゃべり、その後子供の前でスピーチしてくださいました。インド人の同僚によると彼は昔空手の先生として暮らしていました。俳優になっても練習をやめず、空手の七段をもっていらっしゃいます。
夜は・・・またパーティー!大道塾らしく盛り上がりました。その喜びををちゃんとシェアーするため・・・夜中に事務局長に電話しました(笑)。事務局長はきっと眠かったでしょうに!

5月12日

合宿が終わり、ムンバイへ移動。ムンバイ市内でWomen Self  Defense Centerが新しくできて、それがインド空道連盟の本部道場にもなり、塾長がリボンカット。
また一人で飛行機に乗る多田先輩がいち早く空港へ向かい、高橋師範は数日間インド連盟の方々に教えるため残ります。よって塾長と由美子さん、私の3人で空港へ。

最後に

ここで、お礼を申し上げたいと思います。
まずはもちろん今回のメンバーの塾長、高橋師範、多田先輩及び由美子さんに。お邪魔させて頂き本当に感謝しています。いろいろとアドバイスも激励のお言葉を頂きとてもありがたく思います。そしてもちろん、とても楽しい時間を過ごすことができました。 後はインド連盟の皆様の暖かい扱いも感謝しております。このページを読んでいるはずがないですが、万が一、一言を英語に。

Dear all from KIFI, thank you so much again for the amazingly warm welcome you gave us. Those few days went by very fast but they surely will last as precious memories.

ダンヤヴァ  (ダンヤヴァダ、ヒンディ語でありがとう)

そして、総本部、合宿やセミナーなどで色々とお世話になった先輩、塾生、事務所の方々にも感謝です。10年前に友達に「空道やってみない」と言われ、秋の夜に南池袋で初めて空道着を着たことを思い出します。そこが空道との出会いでした。
これからもどうぞ末永くよろしくお願いします。そして次回お会いするのを楽しみにしております。
押忍

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2015.6.2更新

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