空道 選手列伝 > 第1回
全日本選手権の展望で触れた通り、関東地区予選において、18歳の清水亮汰が、魚津、勝、深澤といった世界選手権日本代表候補を連破して優勝を果たした。しかも決勝の深澤戦は、ハイキックでの一本勝ちである。小6の時に小学5・6年の部、中2・3の時に中学生重量級、高3の時にU19・240+級。すべての年齢カテゴリーで優勝を収めたうえ、初挑戦となった一般部の大会においても、そんな快挙をやってのけたのだ。しかもこの春、高校卒業と同時に、総本部の寮生となったという。18歳での総本部入寮者は、藤松泰道以来、約15年振りに出現したものと思われる。さっそくこのスーパールーキーに話を訊いてみた。
事務室にて。これが1995年産の笑顔である
――まずは生年月日を。
清水1995年(平成7年)8月12日です。
――最近ですね(苦笑)。ポケベルって知ってます?
清水ちっちゃい携帯みたいなものですよね? 電話ですか?
――「体温計を振る動作」って分かります?
清水体温計を振る? いや、分からないです。
――缶切りを使ったことあります?
清水ないです。缶はパッカンって開きますよね。
――子どもの頃、最初に好きになったテレビは?
清水アンパンマンですね。
――話を脱線させてしまい、すみません。大道塾に入門したきっかけは?
清水小学1年生の時に「空手やりたい」って言ったら、親が調べて帯広支部に連れて行ってくれました。
――親御さんは、空道が一般的な空手とは異なり、打撃・投げ・寝技を含むものだとご存じで?
清水いえ、知らなかったです。
――家も帯広市内に?
清水いえ、帯広の隣町の芽室町(めむろちょう、北海道河西郡)というところです。親に車で連れて行ってもらってました。
――何で有名なところですか?
清水トウモロコシとかジャガイモです。畑ばっかりです。
――最初の道場に行ったときの感想は?
清水飛永先生のお腹をボンボンと叩かせてもらって、それが楽しかったので「入りたい」って言って入門しました。
――中学や高校に入ると他のスポーツを部活でやり始めて、武道をやめてしまう子どもが多いですが、小1からずっと空道を続けているんですね。
清水中・高ではバスケ部に所属していました。部活は週6日あって、部活が終わってから週3〜5日は道場に通ってました。中学生のときはそれプラス塾だったのでめちゃくちゃキツかったです。部活は遅い時は7時まであるんですけど、そういう時は途中で家に帰って、それから道場に通ってました。
――高校と家と道場は近かったんですか?
清水通っていた芽室高校から家までは自転車通学でした。家から道場までは20キロくらいで、車で20分ちょいです。中学生の時から一般部に出ていて、一般部の稽古は8時から10時前後でした。
――じゃあ、家に帰ると11時とか・・・。
清水そうですね。
――最近、ジュニア選手権でも一般部でも輝かしい戦績を残す帯広支部ですが、稽古内容はどんなメニューですか?
清水最初にウォームアップとして、1キロの鉄アレイ持ってパンチを連打して、サンドバッグに膝蹴りを30本、それからストレッチやって、シャドーやって、ミットやって、スパーみたいな感じで。
――組技は?
清水スパーをやった後に首相撲や寝技スパーをやります。
――技術練習は?
清水打撃にかんしては、(田中)俊輔先輩が吉祥寺支部から帯広に戻ってきたときに持ち帰った技術を主にミット練習で、飛永支部長が引き継いで教えています。
――組技は?
清水佐々木嗣治(2006・2008年全日本選手権−250クラス優勝、レスリングでも国体出場)先輩がレスリングを指導したり、ブラジリアン柔術の経験がある大日向(貴之・前回世界選手権−260クラス日本代表)先輩が寝技を指導したりといったところです。
――初めて参加した一般部の大会で優勝しましたが、魚津、勝、深澤といった選手たちに勝てると思っってました?
清水実は・・・・・・そんな実績のある先輩だとは知らなかったんで、普通に試合してました。
――どんな選手か知らなかったんですか! 逆にスゴい・・・。では、全日本選手権にかんしては自信は?
清水試合を一個一個丁寧にいって、勝っていけたらいいなと。ただ、寝技がまだまだなんで、もっと強化しないといけないと思っています。
――どうして寮生になったんですか?
清水内弟子っていうのがあると知って、昨年9月に1週間体験入寮させて頂き(※)、自分も全国で活躍したいと思って入りました。
――芽室町以外のところに住むのは初めて?
清水初めてです。
――一人暮らしも初めてだというのに、一人暮らしのなかでも特に特別な環境で、大変じゃないですか?
清水練習環境は充実してるんですけど、いきなり一人になったので寂しいです。
――どこが芽室町と違いますか?
清水建物の量、建物の高さ、人の数、食べ物の値段・・・・・・全然違います。電車の待ち時間とかは、1つ乗り過ごすと1時間待たなきゃいけなかったのがすぐ次のが来るんで、東京はそういうところは楽ですね。車がなくても電車や徒歩で自由にどこでも行けるところがいいです。
――嫌なところは?
清水建物と建物の間が狭くてギュウギュウ詰めなのが、居心地悪いなって思います。
――両親の反対はなかったですか?
清水「人生は経験だから、若いうちに行っておきなさい」というかんじでした。
――現在、稽古以外ではどんな作業をしてますか?
清水郵便の管理、全国の支部の出欠簿の管理、帯の在庫管理、帯にラインを引いたりといった作業です。
――卒寮後の進路は?
清水帯広に戻って就職して、帯広支部で練習しようと考えています。
――生活はどんなサイクルですか?
朝7時起床で7時30分からロードワークやウェイトトレーニングを1時間くらいやって、9時30分から掃除や事務仕事をして、12時からシャドーやサンドバッグなどの昼練習です。食事と休憩の後、2時半から事務仕事をして、7時から夜練習が2時間といったところです。週1日、日曜日が休みですね。――いつ、引っ越してきたんですか?
清水4月1日からです。
――じゃあ、まだ上京して1週間(取材日4月7日)しか経っていないんですね。
清水まだ、ご飯屋さんを探しに行って、道が分からなくなって迷子になったりしています(笑)。
※(編集部注)体験入寮の際の「内弟子体験レポート」はこちら
2014.5.2更新