前回の「第一回アジア大会」のモンゴルに続き、今回は「第一回中東・アフリカ大会」の遠征にも参加させて頂きました。
今回は自分の他、選手として帯広支部から佐々木嗣治ささきつぐはる(以後、嗣治つぐはる)が試合に参加する事もあり海外遠征も何度か経験させて頂きましたが、いつもとは違った緊張感です。
遠征前日に東京入りしましたが既に東先生は日本にはおらず、聞けばブルガリアでの大会監督後に単独で直接ドバイ(アラブ首長国連邦)にやって来ると聞いて、相変わらずの多忙ぶりに絶句です。
世界の空道反響がそれだけ大きいと言う事でもあると思いますが、これからますます忙しくなる事はあっても暇になる事はないのでは・・・。空道に対する嬉しい反響ですがそれだけに「空道本家」の日本が今後も重要な位置にある事は間違い無く、技術面もそうですが行動の全てが遠征先の外国人武道家の見本とならなければいけないと思います・・・。
いつも遠征レポートを書く際に日毎あった出来事を箇条書き的な感じで書いていましたので今回は少し趣向を変えて遠征全体を通し、遠征に参加された皆さんとは違う視点から自分の目で見て聞いて感じた事を簡単な意見を入れながら書く事としました・・・早速、固い書き出しとなってしまいました・・・。
海外に出ると日本では経験の出来ない事を経験する事が出来て、当然見聞も広まりますがそれと同じ位に楽しみなのが動向する遠征メンバーとの交流です。
日本国内でも会議や大会等でお会いする事はありますが挨拶程度であったりとなかなか私的な会話まで至る事が出来なかったので寝食を共にする事により日頃では話の出来ない事や技術の交流等と、得るものはかなりありますね、すごく新鮮です。
もともと参加メンバー自身「武道」に殆ど人生をかけている様なものなので日頃会話が無くてもすぐに意思の疎通が出来るのが好いです。
普通に生活を送っている大半の人が学生時代に友人(親友)や先輩、後輩と言った親しい関係が形成される中で、大人になってから信頼の出来る「親しい」人間関係を構築出来る事は本当に嬉しい事です。
まあ・・・いったん稽古に入れば殴り合って稽古が終われば笑って酒を酌み交わしている訳ですからある意味友人より親しいかもしれませんが・・・。
今回は成田から香港経由にてアラブ、ドバイ空港へ到着・・・。とにかく暑いです。
なにしろスタート場所が東京ではなく北海道ですから気温差はきっと30度以上あると思います、考えてみれば砂漠に来た訳ですから暑いのは当然と言えば当然なんですが体調管理の方をしっかりしないと目的地に着いてすぐに病気!ではしゃれにもならないんで。
恥ずかしながら自分は「ドバイ」という都市をあまりよく理解していませんでした「中東=危険」と言うイメージを勝手に抱いていて今回の遠征前も正直「この世界情勢でこの時期に中東か・・・」という気持ちがありましたが現地に到着してオイルマネーの力を見せつけられました、「凄い!」の一言ですね。
おそらく日本のバブル期以上ではないでしょうか?話によるとドバイという都市は、後約40〜60年で枯渇してしまう石油に代わってラスベガス的なサービス産業に切り替えて行くのを目的としているとの事で、ビル一棟と言うより街全体が「よーいどん」で一斉に作られています。
人口の80%が労働者で24時間休みなしでビルを(街を)建設しているので必然的に道を歩いているのは工事関係者ばかりで、世界のクレーンの30%がドバイに集まっていて、当然「○○工業」とか日本のクレーンもあったりして・・・何て表現して良いのか解りませんが不思議な気持ちです。
不思議な気持ちと言えばモンゴルもそうでしたが街を走行している車の殆どが日本車(ドバイの場合新車(新型)ばかりで85%が日本車らしく(内80%は「世界の○○○」です)、夏場は気温が50度を超え年中砂を吸いながらと過酷な環境下で使用されているだけに日本車がいかに優秀か解ります(売れているのには売れている理由がありますね)。
街全体の雰囲気は(自分達の行動範囲での話です)既にビルは完成しているがテナントが入っていなかったりと「生活臭」を感じる事が出来なかったり砂漠なのにやたらと不自然に「緑」が目に入ってきたりと・・・。聞けば街の中の主要な場所では芝が綺麗に手入れされていて朝2回昼2回夕方2回で水を撒いているらしく、それだけには留まらずドバイから試合会場のある首都アブダビまでバスで2時間をかけて移動したのですが途中途切れる事無く沿道に緑が続いていたのには本当驚いたと言うか・・・呆れたというか(いったい水撒きだけで維持費がいくら掛っているのか?)。
日中はとにかく暑いです。
前文にも少し書きましたが夏場は50度(今は40度)を超えると聞きました、全く想像がつきません。
空はいつ見ても雲一つない快晴?(砂漠ですから「快晴」などと言う感覚自体がこちらの人には無い様な気がしますが・・・)。
町並みが綺麗だからちょっと外を散歩とは簡単にはいかず実際、名張の中西支部長、日進の神山支部長、浜松の小寺支部長とホテルの外へ徒歩で散策に出かけてみましたが暑くて何もしないで3分で戻って来てしまいました。
こちらに来てから自分達の徒歩での行動範囲と言えば部屋とホテルの中、ホテル隣接のショッピングセンターと常に冷房の効いている(寒いくらい!)所ばかりで外出する時は当然車(高級車です)ですし、稽古場所である体育館でさえ冷房がかなり効いています。
食事に入ったレストランでは長袖のシャツを着用していないと寒くて体調を崩しそうでした、滞在1日目は事情も解らずTシャツのみで生活していましたが、さすがにこれでは体が参ってしまいそうなので2日目からは常に長袖シャツを持ち歩く様にしました。
物価の方は日本で聞いていた程高いとは感じず(何から何まで高いと聞いていました)観光客目当てに係る物については結構いい値段でした、基本イスラム教の国ですのでアルコールは禁止ですがドバイは観光都市なのでその辺は「ゆるい」?そうです。
実際事情を知らず中西先輩と店でビールを購入しようとしたら店の店員に軽く笑ってあしらわれた様な・・・気がします(言葉が解らないので)。
ホテルの部屋のバー(冷蔵庫)にはアルコールが入っていて、19:00pmからは店でも解禁になります、時間や場所によって「ゆるい」のは意味がよく解りませんが・・・。
宗教的に戒律が厳しい事もあり犯罪は少なく(物を盗むと無期懲役だとか・・・)観光客にとっては嬉しい点でした、物を購入してもお釣りをごまかされる事も少ないと思いますが、「空道普及」と言う点から見ると治安が良いだけにセルフディフェンスの意識が低いので、その辺りでは苦労はあるかもしれません。
交通手段はほぼタクシーです。ですが・・・ホテル契約みたいで日本の様に道を走っているのを止めると言う事は出来ません、専用のタクシー乗り場がありますがホテルやショッピングモールに隣接しているものなので、そこを利用した客が優先されます。場合によっては何時間も並んでいなければならず・・・実際自分たちも事情を知らずにタクシー待ちをしていましたが、いつまで待っても配車されずこまっているところで・・・「塾長」は違いましたね!
・・・並び客の手前でタクシーを止めて金額面で交渉開始です「あっと」言う間に2台を先につかまえて6名をタクシーに乗せた後に3台目も東先生の卓越した交渉術?※により捕まえる事が出来て無事、自分達のホテルまで戻る事が出来ました。
※塾長の卓越した交渉術=車の前で立ちはだかる・強引に助手席のドアを開ける・「これでどうだ」と金額を提示する・断られると値段を少しだけ上げて「これで決まりだぁー!」と強引に助手席に乗り込む・事務局長と自分が何事も無かったかの様に後部座席に乗る・・・誤解の無い様付け加えますと目的地に到着した後は、当然、提示した金額をしっかりと支払いをして運転手さんからは大変感謝されていました。
この時の精神は石巻支部の菅原君にも伝わり(伝わらなくていいです・・・)後日タクシーを利用した時にお釣りが少なかったらしく運転手に「殺気」を込めて「○すぞ」と丁寧に言ったらチャンとお釣りが出たそうです(もちろん日本語です)・・・。
そう言えば店で買い物をした時に端数を四捨五入的に処理されて自分は「得」をしたので、もしかしたら「切り捨て切り上げ」はこちらの習慣なのでは(汗)・・・。まあ日頃外国に出ると日本人はなめられているので、菅原君位の意気込みが必要と言う事で・・・。
第一回中東・アフリカ大会を主催するマタエフ支部長の年齢を27歳と聞いて驚きました(シベリア出身の素朴な感好青年です・・・決して上から目線ではありませんので 笑)。
小規模ながら自分も地区大会に携わる関係上、大会主催の大変さというのはよく解りますが27歳で国際大会の主催には本当、脱帽です(自分が27歳の頃と比較すると恥ずかしくなります・・・)。
我々の宿泊施設、食事、観光、大会準備や各国選手団の管理等マタエフにとっては何から何まで初めての事だと思います。
不慣れな分多少の手際の悪さも確かにありましたがそれ以上に彼の頑張りと奥さんのイリーナの献身的なサポートがあり(大会の大小にかかわらず、どこのどの大会でも基本的に一番身近な人がサポートしてくれるのは同じですね)大会の成功に繋がったと思います。
個人的な意見としてはイランの選手団が諸事情で参加出来なかったのが残念でした、外国人勢の中にあっても中東の選手(イラン)は力が強いと聞いていましたので是非、嗣治と対戦させたかったのも本心ですが外人特有の力の強さや間合い等は今回の遠征でよく理解出来たと思います。
試合については自分も嗣治にしても来年の世界大会を睨んで今回の遠征に参加していたので少し不完全燃焼的な所もありましたが、一緒に参加していた日本選手団、中部本部の時任君や川上君、石巻支部の菅原君達と毎日高級なトレーニングルームで稽古出来た事や(確かに・・・練習後のプールサイドではビキニの女性目当てで日光浴をしていた選手もいた様な気がしないでもない・・・)帰国した当日に本部で本稽古に参加出来たりと地方では経験のできない事が出来たので嗣治にとっては本当に良い貯金になったはずです。
自分の方も今回セコンド兼、審判という形でしたので主審をしながら嗣治の試合を客観的に見る事が出来、来年の世界大会に向けて良い研究の材料となっています。
また試合での審判経験を国内外問わず今年に入ってから多数こなす事が出来、スキルをかなり上げた事を実感しており(空道は一般部も少年部も競技として成り立っていますから弟子の育成には大変重要な事です)今後の指導にも役立ちます。
一緒に遠征に参加した審判の方々からも学ぶ点は多々ありました(今回は名張の中西先輩、日進の神山支部長、浜松の小寺支部長と本当にお世話になり、ありがとうございました)これもかなり大きな貯金です。これらの経験を生かして「帯広スタイルの空道」の完成をこれからも目指していきます。
最後に、今年はモンゴル、アラブと連続での海外遠征に参加して大幅な時間変更を余議なくされた帯広支部そして美幌の皆、理解と協力をありがとう。今年の遠征は皆の毎日の努力に必ず反映出来るものです。
現地在住の塾生、今松さんせっかくの休日を自分達の為に使って頂きありがとうございました。知らない国で今松さんの様な方と知り合えた事は本当に心強い限りでした、また是非機会があればご一緒したいです(本心です)。海外での対応を沢山教えて頂きました・・・。「もっと日本人は積極的ならんとあかん!」(兵庫の方です)的なところを今松さん本人が多々実践してくれました(笑)。
モンゴルに続いて微力ながら遠征のお手伝い出来た事を本当に嬉しく思うと同時に、日本が空道を牽引し続ける責任の重さを改めて認識しています。
北海道と言う地で今何が出来るかもう一度よく考え来年の世界大会だけでは無く今後の世界大会でも沢山の世界に誇れる日本代表選手を輩出できる「システム」を自分なりに考えていきたいと思います。
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