エジプト・イギリス遠征  >  五十嵐祐司レポート1

出エジプト記 (泣&笑)

波乱のエジプト現地入り

喧騒という言葉が世界一似合う国「エジプト」。

機内でガイドブックを眺めながら、ピラミッドや割と嫌いでない後進国特有ののどかな景観を久しぶりに見れることを期待し14時間かけてカイロ空港に到着したのは現地時間の夜10時。無事到着したまでは良かったが、実際のエジプト劇場は、機内で想像していたのとは、かけ離れ甘くはなかった。

機内食を食べてる時が幸せだった
機内食を食べてる時が幸せだった

塾長が二年前にこの国を訪れた遠征話を聞き、ある程度心得はしていたもののカイロ空港に出迎えにきた現地責任者アリと会った瞬間から我々の混沌劇は始まっていた。

混沌劇場の始まり夜のカイロ空港
混沌劇場の始まり夜のカイロ空港

アフリカはとにかく時間にルーズなのは聞いてはいたので迎えが約束時間にしっかり来たというところまでは良かった。が、何ゆえセダン一台で来たのか?どうやって三人分のトランク6台を乗せるつもりなのか?この辺から雲行きは怪しかった。アリがその場ですぐに手配したのはボロもボロボロの安タクシー。それに塾長、事務局長、私と3人乗り、向かった先はエジプト第5の都市『タンタ』という街。道中2時間も飛ばすことといったら飛ばすこと。安くて粗悪なタクシーはクッションもさることながらドライバーの運転も最悪で、とにかくカーチェイス走法で蛇行、追い越し機会に猪突は当たり前。強引な斜線走行では、あと数センチでクラッシュという場面の連続に事務局長は女性だったのでさぞかしハラハラしたことでしょう。

宿泊ホテル

宿泊ホテルチェックインが深夜だったので概観や立地状況などはあまり見ずに床についたが、早朝に窓からの景色を見て驚いた。
ベランダはゴミやガレキだらけ。ホテル前の道は異臭、埃、廃墟だらけというこの街「タンタ」の正体がわかってきた。
後進国の訪問は後進国の訪問は何も今回が初めてではなく、これまで幾度とあるが私の中では過去最低と思った。ホテルの質は一応、この街ではグレードの高い四つ星となっていたが、タオルは足拭き用か?と思わせるくらいのレベルだし、ホテルのエレベーターはロープがむき出しでいつ切れてもおかしくない。

朝食はありがちなビュッフェスタイルも冷めたソーセージ、サラダ、パサパサのチーズ、パンケーキとアエーシ(ナンみたいなもの)。とにかく温かい物が何一つ無い。コーヒーはインスタント(ネスカフェ)を各自、白湯に溶かして飲むという味気ないモーニングコーヒー。これが毎日、同じ内容なので、さすがに3日目の朝には正直、飽き飽きしてきた。

肝心のセミナー

参加人数は初日、二日とも約30名が参加し成功裏に終わった。
主催したアリは二年前のエジプトセミナーに参加した一人で、自身のベースは散打だということ。腕前はお世辞にも大したことがなく弱いくせに下には滅法厳しく吹聴も過ぎ、自己顕示が強いタイプである。弟子の中には、筋の良いMMA好きな若者も数名いて、ユーチューブなどで掴んだ空道に対する事前知識なども豊富なようで、このたびの塾長が来国してのセミナー開催に驚いている純真な者も数名いた。

二日間のセミナー終了後に恒例のセミナー参加認定証を授与し感じよく終わったまでは良かったが、塾長が参加記念品をアリに代表で渡した際に「これを販売するなよ!」と警告したにも関わらず、塾長の目を盗み会場横で「この記念品は一人○○円」とアラビア語で触れ舞う始末(後に内部告発でわかった話)。後進国においては支援物資でも何でも、こちらが地位ある者の面子を立てて支給したとしても下々には公平公正に行渡らないという典型だ。教育を含めた育ちというか性というか今後に期待は持てないリーダーであると感じた。

エジプトセミナー

アリに振り回された観光と食事

初日のセミナー後、私は、できればクレオパトラがいたというエジプト第二の街「アレキサンドリア」にできれば行きたかった。
が、アリの薦めでイスラム教のコーラン曲が四六時中、大音量で流れる埃だらけの街タンタを練り歩く。KFCガイドブックにも載っていないこの街に名所などあるわけもなくただ時間だけが潰れ、夜の食事は希望のチャイニーズレストランにもたどり着けないガイド振りだ。結局、この日の夜は仕方ナシにエジプトで一番流行っているKFC(ケンタッキーフライドチキン)をテイクアウトしホテルのバーで飲みながら摂ることになった。私が注文したのはファミリーバーレル2つだったが明らかに日本より倍近い量である。「ファミリーの数が多いと始めから教えろよっ!」と。

二日目のセミナー後は、希望通りアレキサンドリアに向かうも我々の思うようには進まなかった。
エキスプレスで1時間揺られようやくたどりついたアレキサンドリア。エジプト国内では埃と騒音が少ないということであったが、タンタ、カイロと比較してもあまり変わらない。地中海の夕焼けを見れたのが唯一の記念となった。

地中海の夕焼けだけが癒された
地中海の夕焼けだけが癒された

アレキサンドリアの街で観光
アレキサンドリアの街で観光

「Yellow  Card」を宣告されたアリ

どうもこの男(アリ)は隠し事、虚言が多くホスト国としての自覚の無さが三日目の夜には滅多に怒らない事務局長の琴線にも触れてしまった。最悪なのは、滞在四日目のチェックアウトの日に行うセミナー費用を精算する段階においても(金額の詳細はさけるが)、連盟に対してメールで記載し、双方で確認をしているはずである金額の1/3しか持参してこなかった。塾長も怒りを通り越し呆れ、嘆息の心中で、「もう見送りには来なくていいから運転手に代金を払って帰れ!」と通告をしエジプトを出国した。

なんつうタクシーを手配する?
なんつうタクシーを手配する?

しかし、ここでこの関係を完全に「THE  END」をしないのが“東塾長流 (「時間と経費を掛けて来て手ぶらで帰ったんでは、運営費を出している国内支部長たちに申し訳ない」) ”というか、「縁は異なもの味なもの」(編集部注1)という諺にもあるように、今までも先鞭をつけた人間が適切でなくても、その場に来ていた人間が立派に支部を運営している例がいくつもあるそうだから(編集部注2)、立ち上げに関わった者として今後がどうなるか推移を見て行きたい。

編集部注1:「もとは男女の関係を言うが最近では一般的結びつきにも使う」(明鏡ことわざ成句使い方辞典)
編集部注2:以前のモロッコでもそうだったように招待者はいい加減だったが、その時に知り合った人間が現支部長

五十嵐祐司(青森市・三沢・弘前支部)

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