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さて、すみません。ちょっと余談になりますが、ここからしばらく、英語と英会話のお話です。

私が一番最初に英語に目覚めたのは、今から13年前、初めて大道塾の遠征に同行させてもらって、ロスアンゼルスに行ったときのことです。
その当時の私は「中学、高校(+大学一年生?)と英語は勉強して、特別成績が悪かったわけではないけれど、英語は全然ダメ。英語がペラペラしゃべれたら、そりゃ格好いいなとは思うけど俺には絶対無理だし。そもそも海外旅行なんて行くことなんて一生に一回あるかないか。その為に英会話学校なんか行くのも馬鹿らしいし。もし日本で外人に英語で話しかけられたりしたら『アイキャントスピークイングリッシュ』って言っとけばいいよ。そもそも日本に来たら日本語しゃべれよ。外人だからって甘えちゃダメ」なんて、そんな分かったような、分からんようなことを考えている、まぁごく一般的、典型的なタイプの日本人だった訳です。(^o^;)

そんな私が大道塾の遠征に同行させてもらえることになったんですが、その時のメンバーの中にD君という子がいました。D君は数ヶ月、オランダに格闘技留学の経験があって「そこで英会話を覚えた」とのことでしたが、その彼の英語というのが、それはそれは凄いモノでした。発音はいわゆる典型的なカタカナ英語。文法も「英語は全然ダメ」と自負する私が聞いていても「いや、ちょっとそれはないだろ」とツッコミを入れたくなるくらいの、超ブロークンな代物です。でもそれでもちゃんと現地の人間とコミュニケーションが取れているし、時には冗談なんか言って、盛り上がっている。まぁ「何かムチャクチャやっていても、周りがついつい笑って許してしまう」ような彼独特の特異なキャラ(いるよね、そういうタイプ(^^;))故になせる技かもしれませんが、とりあえずD君自身は「学校の授業の英語は全然ダメ。はっきり言って劣等生だった」と言っています。
一方、私は、先に言ったとおり「特に悪かったわけではない」(というか、どちらかと言えばむしろ良い方だった)。もしかしたら今この時点でも「英語のテスト」をやれば私の方がいい点を取れるかもしれない。でも現実としては、彼はペラペラと(?)英語をしゃべり、笑顔でコミュニケーションを取っているけど、私は一言もしゃべれない。「俺ってなさけな〜、カッコ悪〜ぅ」と強烈に思った訳です。

で、日本に帰ってから一念発起、英語の勉強に取り組み始めました、、、と書くとドラマのようで格好いいんですが、まったくそんなことはありませんでした(爆)。「喉元過ぎれば暑さを忘れる」のが私のような凡人の常ですから、あの強烈な恥の意識も帰国してしまえば、どこへやら。なんだかんだと言い訳をして「自分なりのやり方、ペースでいいから、ちょっとずつでも英語の勉強をしようかな」とようやく決心したのは、それから三年も経った二度目の遠征=2000年6月のカナダトロント遠征の前です。
その後にしても、ちょっと頑張って勉強してみては、すぐに息切れして、まったくやらなくなり、、、また何かの折に「これではダメだ」と気持ち新たに頑張ってはみるものの、またすぐにやらなくなり、、、と、そんなこんなを繰り返して、結局、大した英語のレベルupなどしないまま、気が付けばあのロスショック以来、もう早13年も経ってしまいました。自分の情けなさに呆れてしまいますが、まぁそれでも13年前の「一言もしゃべれなかった」自分と比較すれば、格段の進歩と言えなくもありません(※0と1の間は無限大:爆)から、いいって言っちゃあいいんですが、、、。(^o^;)
私は海外遠征が好きで、チャンスがあるときにはなるべく出るようにしています。そのせいか「渡辺支部長は英語が得意なので、英会話を苦にせず海外遠征ができる」といった風な、何か恐ろしい誤解を受けることが近頃増えてきました。(>_< ;)カンベンシテー

実際には英会話なんて「まったくしゃべれないという訳ではない」位の極めてビミョーなレベルでしかないんですが、それでもまぁセミナーの英語に限って言えば「ほとんど問題なくできるようになってきた」と言えるくらいの自信はついてきました。
え?やっぱり凄いって?いえいえ全然ですよ。だってホントに「セミナー英語なんてチョー簡単」なんですから。

セミナーでは、あらかじめ、しゃべる内容は決まっています。ですからその決まった内容に関する英訳文はあらかじめ作っておけるし、それを暗記しておいて自分のペースでただしゃべればいいだけです。つまり例えて言えばセミナー英語は「移動稽古」なんです。
対して英会話は「組手」です。相手次第でどんな展開(話題)になるかは読めません。相手の出してきた技(しゃべった内容)に瞬間的に対応して、すぐさま自分の技(しゃべる内容)を返さなければなりません。でないと会話が成立しません。これってもの凄く高度なレベルですよね?
普通「英語ができるようになりたい」っていうと、皆すぐに「英会話」を考えます。それでしばらく頑張ってみても、目に見えた上達はしないので、すぐに挫折して諦めてしまいます。でも今言ったとおり「英会話ができる」っていうのは「すごい高度なレベル」なので、そのところをターゲットにしたら、いつまでたっても英語なんてマスターできません。
私も勉強の途中でそれに気が付き、ターゲットをセミナー英語に絞りました。セミナー英語なら、自分の言いたい事を自分のペースでただ言う、ただそれだけ。だからちょっと頑張ればすぐに上達します。更にそこでは、複雑な言い回しはまったく必要ありません。ほとんどの場合、たったの3語かそこらで説明が事足ります。「え〜、うそだぁ。たった3語じゃ何もしゃべれないよ」と思ったあなた。じゃあ実例を見せましょう。例えば、今回のセミナーで私が使った英文はこんな感じです。

・基本稽古で身体の使い方を説明するときに
→“Make an axis,and turn your body.This is important.”
(軸を作って、身体を回転させる。これが重要です)(3語+3語、3語)

・軸がうまく作れず、ふらふらしている子に
→“Don’t move your head.”
(頭(顔)を動かさないで)(4語)

・中足や足刀を指し示し
→“Use this part.”
(この部分を使います)(3語)

・蹴りの際、お尻が落ちて足先だけで蹴っている子に
→“Your hip is left.It’s not good.”
(尻(腰)が残っています、それはダメです)(4語、3語)

・投げの稽古で引き手の説明
→“Grab here firmly,and pull it up.”
(ここ(袖)をしっかり持って、引き上げます)(3語+3語)

・説明に困ったときの究極英語。実際に見本を見せながら
→“Not like this.Like this.”
(こんな感じじゃなくて、こんな感じ)(3語、2語)

ね?すごいでしょ?(^^)
発音だってカタカナ英語で十分です。何と言っても「その方がカッコイイ」ですから。これは意外に思う人も多いかもしれないけど、事実です。これも私は勉強の過程で気付きました。かく言う私自身も、一時期、発音練習に励んだ時期がありました。「ネイティブっぽい発音」を目指して、「ウォーター」は「ワーラ」、「コンピューター」は「カンピューラ」、「カラテ」は「クラァーティ」なんぞと一所懸命発音して、英会話学校に行っては(※入学するつもりはなかったけど、興味があるフリをして、体験入学に行っては、それまでの我流の勉強の成果を時々確かめていた。良い子は真似をしちゃいけません:爆)そこのアメリカ人講師に「君の発音はとてもキレイだね」なんて言われて「よしよし(*^^*)」と悦に入っていた時期がありました。
でもね、これってとってもカッコ悪いことなんです。以下は私が実際に体験したり、見聞きしたりした例です。

1.なまじネイティブっぽい発音ができると、相手に「あ、こいつは英語が分かるんだ」と錯覚されて、ベラベラ〜っと早口でしゃべられる。当然、それだけの英語スキルはこっちにないので、それがとてもストレスになる。
2.しっかり練習した、言い慣れたセンテンスではネイティブっぽい発音ができても、ちょっと複雑で、考えながらしゃべらなければならないようなセンテンスでは、発音まで気が回らなくなって、すぐにカタカナ英語っぽくなってしまい、ボロが出る。
3.仮にカタカナ発音のボロが出ないくらいに英語全体のレベルが上がったとしても、そもそも日本で言うところの「ネイティブっぽい英語」というのは、世界的に見れば「アメリカ訛りの英語」でしかない。
4.そして「何でこいつは日本人なのに、アメリカ訛りの英語を得意げにしゃべるんだろう?」と当然相手は考える。不幸なことに、今の日本にはアメリカ文化が蔓延している。マックのハンバーガーを食べて、「ベストヒットUSA」のヒットソングを聞いて、ハリウッド映画を見て、メジャーリーグ(のイチローの活躍)に興奮して、、、となってくると「こいつ、かぶれてるな〜。日本人としてのアイデンティティなんか全然ねぇな(-_-;)」とレッテルを貼られてしまい、それに反論もできない(私は空道やっていて良かった〜。(ToT))。

と言う訳で、ネイティブっぽい発音ができても何もいい事ありません。むしろカッコ悪いです。もちろん「L」と「R」、「B」と「V」、「Z」と「Th」などは区別できたほうがいいに決まっています。でも出来なくっても、そんなに大事じゃない。基本的にはカタカナ英語で訥々としゃべるほうが、(相手の外国人から見れば)日本人としてのアイデンティティが感じられるし、「日本にいながら、本人の努力によって英語をマスターしたんだな」とはっきり感じられて、場合によってはむしろインテリっぽく聞こえる(はず)です。
以上、いろいろと書いてきましたが、要は「英語なんて大したことがないから、構えすぎないで、皆さんもぜひ頑張ってください」という事です。私ももっと頑張ります。(^^)

7/11(日)

さて、余計な話が随分続いてしまいました。ページ数も、段々と、とんでもないものになってきたので、以下、先を急ぎます。(笑)

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