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インド遠征  >  内田淳一

インド遠征記

押忍!総本部寮生の内田です!
3月4日から7日までインド遠征に参加させて頂き、レポートを書かせて頂きます。

笑いあり、涙あり、トラブルだらけの4日間ですべて書こうと思うと文章はつきませんが、自分は南アジア選手権に選手として参加して感じたこと、空道を通じて他国の方々と交流し思ったことに焦点を絞って書かせて頂きます。

自分は海外へ行くこと自体まだあまり経験がなく、どきどきわくわくしながらインド北東部に位置するチェンナイ空港に降り立ったわけですが、その時点でアレルギー鼻炎が発症(環境が急に変わったからでしょうか?)、そして試合当日の朝食べた油ギトギトのナンとインド独特の揚げ物のオンパレードでひどい胃もたれに・・コンディションは最悪でしたが武道家はいついかなる状況でもやらねば!と勇んで会場に足を運びました。

すると空道着を見に纏ったインドやモルディブやスリランカの選手たちが30、40人くらいでしょうか、皆並んでお出迎えです。「押忍!!」と元気の良さが違います。もうその押忍だけで武道に対する憧れや尊敬といった想いがひしひしと伝わってきました。寂しいことですが日本ではなかなか感じられないことでした。

日本をでるときは、大会は階級別だと聞いていて自分はいつも通り-240で出場するつもりでしたが、当日になって「それじゃものたりないから各階級勝ち上がった選手全員とやれ」と塾長からお達しが・・・・「お、押忍!!」
武道家たるものいついかなる状況でもやらねば!!・・と鼻をずるずるさせて腹痛でげっそりしながら決心するのでした。

選手たちを観察しているとひとり関取かと思うほどのばかでかい人物が・・・身長180p以上、体重120キロくらいはあるでしょうか。まさかあれともやるんじゃ・・。黒木支部長は、肉厚でボリュームたっぷりの彼を見て即興で「ビッグマック」と名付けていました(笑)

そして遂に闘いの火蓋がきっておとされました。自分は出番までは初めての空道ルール審判でお手伝い、これがまた勉強になりました。選手からの視点では気付かなかったことに気付いたりまたルールを詳しく把握することで選手としてもより成長できました。

試合内容ですが、皆技術はまだかなり荒削りでパンチはぶん回すフックが多め、投げは苦し紛れのタックルばかりでまだまだこれからといった感じでした。ただなかには蹴りが非常に柔らかくきれいで将来が楽しみな選手もいました。全体的にスリランカの選手はきれいな打撃を打てるイメージでした。

観客も徐々にたくさん入ってきており、打撃や間接による一本もたくさんでて会場は興奮のるつぼと化しました。

やはり日本では格闘技のイベントや大会がたくさん行われていて慣れているためかあまり感じられないことですが、こちらでは常に新鮮というかもう盛り上がりかたが半端ではないです。観客の試合への集中力も違います。

一方我がライバル(?)ビッグマックはというと・・・彼の試合だけ完全に無差別級と化していました。打撃を打ちこまれても全くきかず、投げようと思ってもビクともせず、自らのダイナマイトパンチで相手選手をほうむっていきました。(・・・くっそ〜日本代表として負けられん!)

しかしその日は各階級ベスト4くらいまでいったところで急遽(?) 残りは明日にまわすということにスリランカのモヒディン支部長の提案で決まりました。 しかもそこからは階級なしでごっちゃまぜにして無差別にして行うという・・。
う〜んアドリブ感満載。

翌日目がさめると鼻水も止まり、お腹の調子も良好、よしこれはいける!

自分は、いつのまにかこの階級ごちゃまぜ無差別でベスト4まで勝ち上がった者達に交じって総当たりのリーグ戦をするということになったようです。・・なんだかややこしい・・。
・・やっぱりアドリブ感満載です。

試合はどんどん進行し、徐々に会場は観客で埋め尽くされ、最終的には300人はいたでしょうか?大変盛り上がってきました。地元のTV局の撮影もきています。やばい・・緊張してきた・・

そしてビッグマックVSスリランカ代表選手!この試合で勝った方と自分はたたかいます。身長差は10p以上、体重は40s差はあるでしょうか?ビッグマックで間違いないな、と自分は対策を考えながらみていましたが・・・
開始2分くらいで彼が主審の黒木支部長に対して何か叫んでいます。反則でも訴えているのかな?とおもったら・・・
「I can't breathe!!!」
息ができない!!!・・・・ビッグマック、まさかのスタミナ切れで立ち組状態からのタップアウトまけ。
ビッグマック・・・第四回世界大会でやろうな。(あ、でも全然階級違う)

そして出番はきました。リーグ戦の相手は皆ほとんど中量級か軽重量級、あまり階級差はありません。
そして試合開始!・・・緊張!
いざ始まってみるとさっきまではがんがんフックを振り回して前に出ていた選手が全然入ってきません。距離をとって様子をみています。

そういえば塾長が試合前に「むこうの支部長には、内田は日本の凄いチャンピオンだから空道の魅力を存分にみせることができる、っていってあっからな。下手なたたかい方すんじゃねーぞ」とおっしゃっていた・・。その偽情報(笑)がきいているんだろうか。なるほど、多分自分のことを達人だと勘違いして入ってこれないんだな。ほんとうは自分、まだ全日本二回戦止まりです(汗)

自分から距離をつめていき相手がパンチを振り回してきたところを掴み、大外刈り、そして腕十字で極めることができました。

次の相手は自分よりすこし大きく、道着の上からでも筋肉がしっかりついているのがわかり、手強そうでした。実際たたかってみるとパンチのフォームなどは雑でありながらもパワーとスピードがあり、まともにくらったらまずいな〜と感じ、掴んで足払い、腕絡みで極めました。

最後の相手は我が宿敵ビッグマックを下したスリランカの選手です。体は細いのですが、蹴りを上下に使い分け虚をついた後ろ回しや後ろ蹴り、更には投げから腕十字やアキレス腱固めをしかけるなど他の選手に比べると技に多様性があり、おもしろい試合になりそうでした。そして自分はやっぱり掴んで足払い、再三間接技を仕掛けましたが以外にパワーと根性があり、極め突きの効果を取るにとどまりました。そして判定勝ち。

一回前蹴りを顔にもらい、焦りました。ビッグマックを倒しただけありました。あれがロシア圏の選手の前蹴りだったらと思うと・・・・・。それに自分の課題は打撃でも勝負できるようにすることでしたが()、やはり打ち合いを避けて組みに持ち込む癖が出てしまい、また課題が多く残る内容となってしまいました。

※まだまだのレベルなので、勝つのは当然だとしても、空道の魅力を見せて貰いたかった。それには、グランドだけではなく、打撃での明確な決まり技も欲しい。最終戦も二打、三打くらいの応酬からグランドという展開だったから、そこで、日本ではあり得ないのだが、「どうせ日本語を分かる人間はいないのだから(笑)」と、「内田!打撃だ!打撃!」と正面席から怒鳴り捲った。だが、観客の物凄い声援で声が届かない。主審の黒木支部長にジェスチャーすると分かったみたいで、グランドになってもすぐに立ち上がらせる(笑) しかし向こうも、内田の修行層のような青光りする坊主頭と寡黙さ、その上に事前のブラフ(脅し?)が効いていたか?怖がって打ち合って来ない。その内に「時間!」となり、結局、最終戦も投げ・キメの「効果」で終了だった。初めから言っておけばよかった。(東 注)

大会自体は素晴らしいものでした。会場のセッティングや現地の市長を招いたりTV局の撮影も配慮され、観客は超満員、ゴータム支部長やモヒディン支部長の、「大会を盛り上げるんだ!」、「空道を普及させるんだ!」という熱意がひしひしと伝わってきました。

試合後は塾長も黒木支部長も加藤久輝さんも自分もインタビューやらカメラ撮影やらひっぱりだこでした。まるでスター扱いでした。

先ほども触れましたが現地の方たちの武道に対する憧れや尊敬の熱い眼差しを感じました。
自分には初めての体験であり、嬉しくおもいました。しかし同時に一抹の寂しさも感じました。

塾長も著書などに書かれていたことですが、何か日本人としてのアイデンティティを武道を通じて強く考えさせられ、ほんとうに貴重な経験をさせて頂きました。極端なことを申しますと日本人すべての方とこの気持ちを共有したい、武道を知る人も知らない人もすべてのひとにこの気持ちを知ってほしい、そんな想いであります。

最後にこの度は大変貴重な経験をさせて頂き、塾長、事務局長、ありがとうございました。
黒木支部長、色々とお世話になりました。また空道の技術に加え、審判さばきもご教授ください。そして「黒木巻き」使わせて頂きます(笑)
久輝さん、今度はスリランカ行きたいですね!  押忍!乱文にて失礼いたしました。

内田淳一(総本部寮生)

「修行僧?」
「修行僧?」

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