広報は見た!モンゴル遠征三輪薫子(広報・新宿支部)

押忍。総本部事務局広報、新宿支部の三輪です。
今回のモンゴル遠征に取材(撮影)係、そしてお上からの重要な任務(後述)を帯びた空道くノ一として随行させていただきましたのでご報告いたします。

<目次>
モンゴルで取材攻勢
演武で試合場に立つ
カンパ〜イ
審査会で考えたこと
塾長、馬主になる
塾長、苦笑する

モンゴルで取材攻勢

乗り換えの都合で北京空港にて一夜を過ごし、ややヨレヨレになってチンギスハン国際空港に降り立った私たちをモンゴル、ウランバートル支部のガントルガ(GANTULGA)支部長が笑顔で迎えてくれました。通訳のズラさんと挨拶し、すぐに空港内の特別室でモンゴルのスポーツチャンネルの取材です。大会を2日後に控え、急に物事が動き出したのを感じました。

その後、選手宿舎に向かう選手・審判団といったん別れ、塾長、事務局長、岡先輩と私は日本人宿泊客の多い「フラワーホテル」にチェックインし早速日本食レストランで昼食、というところでテレビ局のスタッフがやってきて東先生にインタビューをしていきました。
ズラさんともう一人の通訳のバギ君は空道どころか格闘技、武道の知識が無いので初めて聞く言葉にやや戸惑っていましたが、今回はこの2人が「モンゴル」へ「空道」を伝える唯一の架け橋です。食事をしながら先生が優しい言葉でゆっくり空道(の理念とルール)について解説をされていました。(余談ですがズラさんとバギ君はいくつかの試験に合格して国費で日本の高校に留学した第一期生だということで2人とも日本語が上手で頭の回転が速く、今回の遠征は彼らとその同級生で道場生の英語通訳ティム君の20歳トリオがいなかったら成り立たなかったと思っています。)

記者会見部屋で一休みした後、先生達とモンゴルで一番大きいテレビ局「モンゴルニュース」へ移動しました。今度は国内の報道機関向けの記者会見です。多くのカメラと記者が集まっていました。 最初にマイクを向けられた東先生から「“空道”とは巷で流行っているエンターティメント性の高い、選手自身が己の強さを追求するミックスマーシャルアーツとは全く異なる“武道”であり、“社会体育”をその理念としています。」という言葉が出ると、記者達が興味深げに身を乗り出し熱心にメモを取り始める姿が見られました。
その後、東事務局長からのコメントと廣井師範代からのルール説明があり、今回のアジア大会の主管であるウランバートル支部のガントルガ支部長に対するインタビューと続き、記者会見は1時間ほどで終了しました。 ホテルへの帰り道、撮影した映像は今夜のゴールデンタイムに各局で放映され、しかも大会当日は生中継の予定があると聞き驚きました。設立4年目のウランバートル支部が国際大会を催すというだけでも凄いことだというのに・・ガントルガ支部長とマハ会長の手腕にただ脱帽するばかりでした。

巨大な肉料理 夕食はモンゴル、台湾の選手たちと合同でモンゴル料理のレストランで食事会が行われました。叩いた牛ステーキ肉にベーコンとチーズが挟んでありバーベキューソースをかけメインの料理が大変美味しく、計量から開放された選手達も一緒に舌鼓をうちました。(が、量が多いので私は三分の一くらいしか食べられませんでした・・。)
和やかに会が進む中、壁に取り付けられたテレビで先ほどの記者会見のニュースが始まりました。空道を紹介するうえで昨年のモンゴル大会の映像も流れました。モンゴルの国民の方々に“空道”はどのように映ったのでしょう。感想を聞いてみたいなぁと思いながら、気温7度に震えつつ、モンゴルの道場生の車でホテルに帰りました。

空道のニュースが!
空道のニュースが!

このページのトップへ

演武で試合場に立つ

今回の遠征でお上もとい東先生より課せられた任務は「岡選手の演武の相手をする」というものでした。岡先輩のレポートでも書かれていると思いますが、女子部の試合にエントリーしていた他国の選手の突然のキャンセルにより出発の4日前にそれが決まってしまったわけです。が、泣き言を言っても始まらないので(トホホな気持ちになっていたのは試合が無くなった岡先輩ご本人のはずなので)ここは漢らしく?腹をくくっていくことにしました。

スタッフ証出発2日前に総本部で打ち合わせた組み手のパターンを東先生に見ていただきながらウランバートル支部道場で練習し、当日を迎えました。
大会の撮影もしなければならないので、開会式前には空道着(青)に着替えてスタッフ証を首から提げて本部席付近をうろちょろしていたら通路でカザフスタンのアルベック支部長に会ったので、「今日は空道のデモンストレーションをします」と言ったら「それはすごいね。ガンバッテ。」と笑顔で言われました。押忍、頑張ります。
本部席で試合の撮影をしていたらズラさんに「この試合の後で演武をお願いします」と突然声をかけられました。あわてて試合場への入り口に走ります。はじめはミットの演武です。直前まで審判をされていた飛永支部長が空道着に着替えて相手をされました。
昨日のうちに書いてズラさんにモンゴル語に訳してもらっていた台本を通訳兼進行役のティム君がアナウンスしてくれました。岡先輩のキレのある蹴りと気合いの声に対して観客が「ほーお」という顔で興味深く見ているのがNHGごしに見えました。

<台本の一部>
(岡選手、飛永支部長のプロフィール紹介のあと)空道の試合において効果的な強いパンチや蹴りを出すには基本稽古のほかにこのようにミットを使った練習もとても重要です。次に、「約束組手」と呼ばれる技のパターンをいくつかご紹介します。「約束組手」とは相手の攻撃に対してどのように技を返すか、そのパターンを決めて練習するものです。何回も繰り返し行うことによって、相手の技が出たとき瞬時に対応できるようになります。本日は打撃技に対して「投げ」から「極め」を行うパターンをご紹介しました。

ここで岡先輩が爪をはがして出血するというハプニングがありましたが、そのまま続けて約束組手の演武を行うことになりました。
演武は2002年の北斗旗体力別で新宿支部のメンバーと「集団戦」をやって以来ですが、選手ではない者にとって試合場に立つということに一種の高揚感があるのは否めません。スポットライトがまぶしくて、会場には大勢の人(観客)がいるのに、対峙した岡先輩と世界でたった2人になったような気持ちになりました。演武のパターンは次の4種類です。

【蹴りからのパターン1】
左ミドルに対して足払いから極め
【蹴りからのパターン2】
蹴りから掴み、首相撲から投げ、マウントパンチから腕十字
【パンチからのパターン1】
パンチに対して掴みから体落とし、極め
【パンチからのパターン2】
パンチに合わせて足払い、マウントパンチから奥襟絞め

演武が終わって本部席の東先生や事務局長の姿が見えたとき、ふっと現実に戻りました。「ああ、終わった〜。」という気持ちで胸がいっぱいでした。
大会後、岡先輩と「礼法は完璧だった」という点で意見が一致しました。
肝心の内容は・・日本に帰ってから恐る恐る動画を見ました。(岡先輩の技を受けるという点で)個人的に反省するところはあったのですが、「うわぁーっ」と声をあげるほどには悪くはなかったと思いました。(すみません、言ったもの勝ちかもしれません。)
とにかく、アジア大会という大舞台で貴重な経験をさせていただきました。東先生、岡先輩ありがとうございます。

このページのトップへ

カンパ〜イ

アジア大会が大成功に終わったことと、この日がガントルガ支部長の33歳(!)のお誕生日だったこともあり、大会後のパーティは非常に盛り上がりました。
モンゴル語、日本語、ロシア語、英語と言語は違えども、東先生の「カンパ〜イ」が全員の共通語となり、誰が挨拶をしても「カンパ〜イ」と大騒ぎ(その度に杯を空ける人もいます)。特に台湾のイケメンコンビ、ジェフ(YU-JENE HUANG)選手とデミオ(CHEN KUANG HUA)選手の「カンパ〜イ」への適応能力はなかなか高かったです(笑)。皆が笑顔で古くからの知り合いのように肩を組み合い、まさに大道塾ファミリーといった雰囲気でした。(そういえば、東先生は遠征中ずっと「ゴットファーザーのテーマ」をBGMにされていました。 笑)

モンゴルの民族楽器、馬頭琴を手に歌う東塾長

選手たち

このページのトップへ

審査会で考えたこと

モンゴル支部審査会 大会翌日の審査会にはモンゴルの女子部も6名参加していました。青帯が2名、あとは白帯ですが、まだ皆基本がかたちになっていません。一般部の方もどうも動きがぎくしゃくしています。そんな受験者に対して「下手な基本稽古はやればやるだけ弱くなる!」と東先生が大声で叫び、審査会を中断して基本稽古のレクチャーが始まりました。
私もじっとしていられず岡先輩と2人で脇から指導に入りました。(事務局長がズラさんに「昨日デモンストレーションをしていた、日本の女子部の先輩たちだと紹介して」と頼んでくださったので不審者と思われずに済みました。)
最初はきょとんとしていた彼女たちでしたが、身振り手振りによる説明とお手本を見せたら少しずつよくなってきました。が、そんなわずかな時間ではもちろん不十分です。「1時間でいいから彼女たちと練習させてくれたら、ぜったい上手くしてあげるのに」と岡先輩が悔しそうに言いました。同感でした。
“空道”を長く続けるには基本稽古はとても重要です。私自身こんなに長く(気がつけば10年目)大道塾にいて、総本部で女子部クラスの指導担当をしていられるのは新宿支部で高橋師範に厳しく仕込まれたベースがあるお陰と思っています。その名の通り「基本」となるものを疎かにせず白・青帯のうちにきちんと身につけてほしいという考えをさらに強く持つにいたった出来事でした。

このページのトップへ

塾長、馬主になる

130頭もの馬の馬主であるマハ会長(32歳!)が東先生へぽんと一頭馬をプレゼントしてくれました。優勝経験のある優秀な馬の子供だそうです。「KUDO」と名付けられたその馬は来年の夏のレースに出場するそうです。今から結果が楽しみです。

東塾長とKUDO
東塾長とKUDO

このページのトップへ

塾長、苦笑する

東先生が「黒木の日記(コロンビア奮戦記)を三輪のところに送っておいたから(アップ)頼むな。」とおっしゃいました。私が返事に困っていると「あ、そうか。三輪がここにいる間は更新できないのか。」と苦笑されました。
私が出かけてしまうとオフィシャルサイトの更新が滞ります。コロンビア奮戦記の続きを楽しみにされていた皆様をお待たせしてしまい誠に申し訳ありませんでした。押忍。

以上、今回の遠征の報告です。
いくつかの事件、メンバーの喜怒哀楽をずっとカメラ越しに見ていたので当事者というよりまるでドラマを観ているような7日間でした。体力的にはきつかったですが、海外での“空道”を(まるで生物のように今まさにぐんぐん大きく成長をしようとしているものの姿を)目の当たりにすることが出来、本当に参加してよかったです。

今回このような機会を与えてくださった東先生、事務局長、ありがとうございました。世界中で“空道”が普及していくなか、その総本山である大道塾総本部の広報としてさらに気を引き締めて臨もうと思います。
廣井支部長、飛永支部長、浜松先輩、審判講習そして大会審判お疲れ様でした。
菅原先輩、東先生のお姿が見えなくなるまで直立して見送られていた先輩の背中から、カジュアルな大道塾の雰囲気でややもすると忘れてしまいがちな「礼」の精神を学ばせていただきました。
高橋選手、山田選手、堀越選手、試合お疲れ様でした。楽しかったですね。
岡先輩、お世話になりました!これからもよろしくお願いします。
そして、遠征にあたり応援して励ましてくれた女子部の皆様、ありがとう。感謝しています。

最後に、大道塾の皆様へ。
海外勢の勢いとその結束力は目を見張るものがあります。そういった「塊(魂=ソウルではなくもっとガツンと固い印象のもの)」で来る相手に対して選手たちだけ戦わせるのではなく、日本の塾生それぞれがそれぞれの立場で自分が出来ることをやって、頑張っている選手の背中を支えることも大切ではないでしょうか。
第三回世界大会まであと1年です。「人と結びて」手をとりあって、みんなで盛り上げていきましょう。押忍。

このページのトップへ

本サイトに掲載の記事・写真等の無断転載を禁止します。
Copyright(C)KUDO/DAIDOJUKU all right reserved.

このページを閉じる