道中記〜モスクワ・・ハノーバ・・ローマ〜平塚和彦(大道塾評議委員長)

編集部注:平塚評議委員長のレポートはモスクワ遠征(第二回ヨーロッパ大会)の記事も含まれています。

老骨に鞭打って2月15日から2月26日の帰国まで12日間、モスクワで開催された第二回ヨーロッパ大会の視察を兼ねて、ロシア空道連盟の組織・審判技術の確認等そしてドイツ、イタリアで開催したセミナーと空道連盟の世界展開・展望をこの目と耳で実感すべく行って来ました。 以下日付と地域毎に雑感を記します。(支部長の敬称一部省略)

15日

11:00 成田第2ターミナルに、塾長・高橋・廣井・長田・小生と5名の紳士?が集合、出発セレモニー??もなく出国、機中へ。NARITA(13:00)発〜MOSCOW(17:25)着、時差6時間、機中約10時間がそれほど長く感じることなく到着、前回同様モスクワ支部の配慮で入国は簡単に通過。案内されたビップルームにて塾長のテレビをはじめマスコミのインタビュー、終了後選手の宿舎に向かい今大会の参加選手・役員と簡単なパーティー。旧知の人も何人かおり旧交を温めた。初めて会う人たちとも何故か親近感を感じたのは空道が日本の武道から世界の武道になりつつある証と感じた。

18日

さすがに少々疲れてきた、午前中は観光に出かける3人を見送ってからホテルで優雅に休息(カフェでお茶)何故か塾長も合流、日本ではなかなか二人で話す機会が少ないのでいい時間を過ごした。午後帰国する高橋・廣井・長田とお世話になったロシア連盟の幹部とロシア料理を堪能する。

ロシア編

16日

観光の予定が前日のミーティングで塾長と小生は午前中アナスキン支部長、ゾーリン、ベゼルチャコフと2009年の世界大会、そして以降のコンチネンタル(大陸)大会・(仮称)ワールドカップの在り方等について意見交換、意欲満々の発言にロシア連盟の充実ぶりを感じさせられた。午後、審判基準・審判技量を確認する為に「ロシア国内大会」を視察する事になり大会会場へ。高橋を中心に廣井・長田が手本となる主審を務める。主審・副審の審判基準・審判技量は概ね日本の審判と遜色のない程で本大会に向けてかなりの研修を重ねたと思われた。

ただし、選手の礼法・マナーの悪さには指導者としてのロシアの支部長をはじめ幹部塾生に苦言を呈した。強さだけを求めていてはヨーロッパのリーダーとしてはまだまだ・・・と。審判講習会を予定していたが(高橋は資料を用意していた) ロシア大会で感じた改善すべき点・指摘事項を明日の「第2回ヨーロッパ大会」では充分に生かしてほしいと強く要望して会議は終了。会食の席で、ロシア側から「日本のS級審判員の毅然とした動作と態度は、明日の大会に必ず生きてくると確信し、大会の成功に大きな力に成るはず」と発言があった。うれしくも責任の重大さを再認識した。

17日 第二回ヨーロッパ大会

高橋廣井が詳細報告しているので感想のみを記す。
打撃中心でパンチの強さと重さを競い合っているようだった。空道としての総合的な攻防は、技術的にはさほど進歩しているとは感じなかった。しかし打たれながらの反撃で効果の取り合いは(体が頑丈)脅威だった。 前日の苦言で礼法も著しく改善されていたが、言葉の問題もあるが一部徹底せず日本の主審に再三指導(追いかけていってまで)を受けていた。ベスト16ぐらいからは概ね及第点。外国に行ってまでも苦言を呈する自分の暗い?役割をそろそろ封印しておこうと思っていたが、ビコワ(女子)みたいな態度の悪い選手を見ると黙ってはいられない。ゾーリン支部長に強く指導を要望した。

ドイツ編

9日

MOSCOW(12:20)〜HANOVER(13:30)へ、時計を2時間進める。日本との時差は8時間。ワアーホリで来日時に本部で稽古をしたと言うヒィリップ君の出向かいを受ける。フランス支部の土田支部長とも空港で合流しホテルへ移動、さすがドイツの道路事情はロシアと違う。地方都市でも一般道で高速道路のようだ。ホテルチェックイン後食事へ、日本の味のような中華料理を韓国人経営の店で従業員が休憩中にもかかわらず半ば強引に入店、美味しかった。

休息の後8時ごろからセミナー、塾長・土田支部長が3時間ほど約30名を超える伝統派系が中心の参加者を指導、受講者の真剣・真摯な態度には感心した(塾長の話を聞くときに膝をつくか正座)。ここでも空道への関心がかなり高い、終了後受講証明書に講師がサインするシステムは日本でも是非採用すべきではと感じた。セミナーを企画した○○○○君の努力には大いに感謝したい。

11時(夜)を過ぎてからセミナー受講者有志(10名位)と懇親会、貪欲に空道を理解・吸収しようとする姿勢にあらためて感心した。 ベルリンから参加した○○○○君と○○○○さんはすぐにでも支部を開設したいようだった。今後ドイツの活動の展開が楽しみだ。

20日

午前中、昨日受講した二人の参加者の案内で市内を観光。古い街並みを残した美しい街、写真を撮ってこなかったことが心残りだ。
午後、HANOVER〜BERLINへ特急列車で移動・車中、修学旅行と思われる集団の騒々しさを耐えて2時間弱の列車の旅を満喫。明日フランスへ帰国する?土田支部長のご苦労さん会を兼ねて日本料理屋を探して夕食(ここも経営者は中国人)

イタリア編

21日

BERLIN(10:00)〜チュウリッヒ(12:35)〜ROMA(14:05)着 チュウリッヒ空港で一寸したハプニング・大事にしているZIPPOライターが手荷物検査でNO、没収かと少々あせった。いままでどの空港でもOKだったのに!!中の綿を捨てろと言っているのに言葉が通じずライターを捨てるところだった(塾長が側にいて助かった)。何とか通過したが小心者の小生、心はブルー そんな機中から眼下に見えたアルプスの山並みは本当に見事だった。

空港には空道イタリア(セミナー前は未承認)責任者のリッチとルイジの両名が迎えてくれた。ホテル到着後休むまもなく明日以降の予定等の打ち合わせ。
入門誓約書・セミナー受講者名簿・審査受験者名簿等きちっと整理されており、組織の事務能力の高さと、指導者のやる気がひしひしと感じた。(日本で審査に立ち会う時よりも整然と事務処理がされていたように感じた)

22日

ホテル付近を散策しながら体を動かす。1週間を経過し日本食(そば・ラーメン・味噌汁)が少々恋しい、持参した食料で遅い朝食をホテルのレストランで作っていたら(お湯を注ぐだけ)日本から来た観光中の学生に不思議そうな目で見られてしまった。人の目を気にするほど?小生に余裕はない。 今日からイタリア入りする山田、友次両支部長が合流・空港近くのレストランで空道イタリアの幹部塾生と晩い夕食、今着いたばかりとは思えないほどエネルギッシュな2人、イタリア勢と空道談義に花を咲かせていた。明日からのセミナーが楽しみだ。

23日

午前中、バスと地下鉄を乗り継いでイタリアに来た証明写真?を撮るために、スペイン広場とトレビの泉の2箇所を観光、時間がない中しゃれたレストランであわただしい昼食。一旦ホテルに戻り準備をしてセミナー会場へ。

セミナーは100名を超える参加者がイタリア全土から集まり、塾長をはじめ日本のスタッフを向かえてくれた。有段者グループを塾長、色帯を山田、友次両支部長が指導、有段者は長く他の武道を経験してきているので、その癖を直し空道の基本に転換させるのに若干苦労をしていた。

小生もスタッフの一員として邪魔にならない程度に手伝いをしなくてはならないほど、参加者が多かった。色帯は意外と速く空道の基本的なことには対応していた。聞けばビデオ等でしっかりと予習していた塾生もいた。面白かったのは、なぜか大多数がサウスポーにかまえていた(山田支部長の指導)

一般部のセミナー終了後少年少女の練習を見学、ユニークな練習方法を取り入れていた。彼らも一日も早く大道塾に入門してほしいものだ。セミナー終了後、同会場にて受講者との交流・懇親会、一同そろって乾杯ではなく準備ができると勝手に始めている。やはりお国柄か??ここの連盟もいずれ早い時期に、塾長ペースの宴会(懇親会)になるのは時間の問題だが。

24日

午前中セミナー、昨日の参加者ほぼ100%が出席その学習意欲と空道に賭ける熱意は本物と見た。昨日の基本・移動内容より格段の進歩、やる気も感じた。(昇段ばかり気にしているダメなのもいたが、小生は先輩と呼ばれていた)

午後審査・有段者約30名・色帯30名の多人数が基本・移動・組み手と懸命に取り組んでいた。まだまだ時間はかかるが体力に恵まれているので善い選手が生まれてくると思う。特に女子でこれからの稽古次第では世界大会に名乗りを上げてきそうな選手もいた。

帰国を明日に控え、お世話になった空道イタリアの幹部5名と日本料理店(店名が名古屋・中国人経営)でセミナー・審査の打ち上げ。23日の懇親会の反省もありここは塾長のペース、イタリアの幹部が伝統派経験者ということも在り大学時代・伝統派で鳴らした友次支部長が大道塾の“伝統”(夜の)を心をこめて伝授していた。
イタリア勢も必死でその伝統を吸収すべく健闘していたが一朝一夕には本家の域にはまだまだ・・・時間がかかりそうだ。明日退会届が着かないことを祈りながら徒歩でホテルへ。

25日

塾長は出発間際まで打ち合わせ・空道イタリアは大きく羽ばたいた。組織がなお一層充実し、指導者のリッチとルイジをはじめ幹部陣8人の侍が団結して空道・大道塾のヨーロッパでの一翼を担ってほしいと願いながら、帰国の途へ。ローマ(12:10)〜モスクワ(19:20)

26日

東京(10:55)着 塾長と別れ新幹線で仙台へ向かう、車中にて食べた駅弁の味はやはり最高だった。

最後に 今回の遠征同行中、特に感じたことを最後に記す。

1. 組織が充実し、大会運営等(セミナー・審査)の諸準備が良く訓練されていた(役割分担等)「ロシア・イタリア」国内でも支部長として頑張ることは当然であるが、他の支部長、責任者なども全日本空道連盟の役員・構成員としての役割も積極的に担ってほしい。

2. 審判資格はステータスであり、早期取得への執着・こだわりが大きい(その取得方法をしつこく質問された)。「ロシア・イタリア」世界大会では審判として参加したいと意欲を見せていた。日本の幹部塾生も是非見習ってほしい。

3. 空道・大道塾の帯(段位)への「あこがれ」は日本にいては考えられないほど貪欲(言い過ぎ?)だ。「ロシア・イタリア・ドイツ」それを誇りとし、責任を持って各国・各地域にて活動したいと決心していると信じたい。それくらいの熱意を国内の支部長・幹部塾生・塾生にもお願いしたい。

塾長・事務局長・塾長特任秘書兼通訳(東由美子)
高橋全国総運営委員長・廣井支部長・長田支部長(ロシア組)
土田支部長(ドイツ組)山田支部長・友次支部長(イタリア組)
皆さんには何かとお世話になりました。感謝と御礼を申し上げます。
☆ 長い遠征同行でしたので、記憶違い等がありましたらご容赦願います。

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