ウクライナ遠征随行記東由美子

東由美子「ウクライナ遠征随行記(長編)」

4月23日 | 24日 | 25日 | 26日 | 27日 | 最終章

4月27日晴れ 17℃ 暖かい

<帰国日>

6:00起床。驚いたことに塾長に起こしてもらって、ハッ!と目を覚まします。眠りに着いた記憶がないことに驚き、また、塾長が海外遠征で益々しっかりしている姿に朝から感動です。7:40集合。サモヒン支部長とあれこれについて最後の詰めの話し合い。サモヒン支部長は本当にギスギスしてなく温かいオーラが伝わってきます。8:30ホテル発、一路空港へ。「ようやく帰りの行程ーっ!」といった気持ちですが、この時になってようやくの時差ボケか、前夜の数杯のウォッカが回っているのかで、頭がぽーっとしていて夢うつつです。

<帰路 ドネツク(ボリスポル空港)〜キエフ空港へ。帰れない?!>

10:30空港着。チェックイン1時間前、チャックインカウンターに並び、ここで事件が発生。サモヒン支部長に、「おととい渡した航空券とパスポートを各自出してください」と言われ、各自ゴソゴソとカバンから出している中、「・・・、あ゛・・・」と一気に冷や汗が。まさかと思ってバッグを探すも航空券がないことを確かに確認。一昨日のフライトの搭乗を終え、その翌日、打ち上げパーティーへ行く前に荷物整理をしていて、再三自分で確認をし、「不要っ!」と、確実にチケットを捨ててしまったシーンが鮮明に蘇ります。お詫びする言葉と対処策を、働かない頭で考えながら、隣にいた塾長に、「あの・・・、確実に多分、チケットを・・・、捨ててしまったので、今手元に出せないと思います・・・、すみません、最後の最後にまたバカをやってしまいました・・・」
さすがにこの瞬間、塾長も疲れていた表情が一変し焦り、「国内線だから、チケットはなくても乗れるだろう!」と、少々パニックな発言。サモヒン支部長も、コノネンコさんも田中さんも、セルゲイさんも、皆さんお疲れなので、ゴールを目前にしている状況での事件に、苦笑い・・・。パニックで何を言って良いかわからず、とっさに、コノネンコさんに教えてもらい「イズビニーチェ(ごめんなさい)〜っ!!」という以外に、他に言葉が見つからない。「もぅ、ここに一人置いてってもいいですから・・・」と半泣きで自己嫌悪の最中、サモヒン支部長がササッと先導し、チケットカウンターへ。
塾長が、「満席だったらどうするんだっ」と一言釘を刺し、ゾッして「どうかぁーっ」と祈る。祈りは通じて、空席ありとのこと・・・!ヘナヘナ〜っと安心するも、なかなか自分のドジさに呆れて立ち直れず、落ち込みます。コノネンコさんの、「国内のフライトでよかったね」に、「(うぅ、やさしい・・・。)」とますます皆さんに申し訳なくなり、その後1時間のフライトはなかなか立ち直れず一人うじうじと過ごします。次の空港からの成田までの2便に関しても、皆さんの手配などに関し、突如として必要以上に心配になり始めます。そんな状態で落ち込みながら、快晴の上空からウクライナの景色を見つめていたら・・・1時間後、すっかりケロっと立ち直っています。(笑)(皆さん、ご迷惑おかけしました。)危うく、ウクライナの空港で足止めに、という成田出発前の冗談めいた不安が現実になるところでした・・・。

<ウォッカ章・第3幕>

キエフ空港13:30着。
前述の、キエフ支部の後援者のサーシャさんから、「帰国前にどうしても、地元のコサック料理のレストランにっ!」と招いて頂き、乗り継ぎ便までの約3時間で、そちらに向かうことに。空道をやっているご兄弟のルスランさん(音楽プロデューサーだそうです)も空港まで迎えに来て下さります。コサックの生活を再現しているレストランで、コテージのように部屋が小屋に分かれていたりします。ここでも、ウクライナのお肉料理がズラッと並びます。その量とボリュームはこの旅一番でした。それでもボルシチは毎回、一番おいしいと思いました。出していただいた料理をお腹いっぱい食べても、優しいルスランさんが、「まだあるけど食べない?」とお肉を分けて下さり、かなり満腹だったのでやんわりと断ると、とても悲しそうな表情になるので、「オッケー、食べますっ!(笑)」と、かなりがんばって食べました。

もう一点、他のレストランと異なっていたのは、ウォッカです。ウォッカにワサビとはちみつが入っています。これを、席に着いて一番に振る舞われ、皆さん一息でグラスを空けます。思ったよりおいしいのですが、これで終わりかと思いきや、デキャンタに入ったウォッカが常にスタンバイしているので、すぐにグラスが満たされます。田中さんが断トツで次々に飲み干していくので、サーシャさんとルスランさんは喜んで、次々にウェイターさんを呼びます。何を頼んでいるのかは分かりませんがおそらくウォッカである事は、皆さん暗黙の了解です。お店の方が小屋に入ってくる度に“ビクっ”と振り返り、さすがに勘弁といった様子なのは田中さんです。

塾長も同様で、その田中さんを見て笑っているものの、苦笑い。ですが、お店の内装品やコサックの文化について説明したり、たくさんの料理を紹介したり、ウォッカを勧めたりしているサーシャさん達の姿は、純粋なおもてなしからで、本当に嬉しそうなので憎むにも憎めません。それにしても田中さんに勧める続ける量に終わりが見えないようなので、塾長も「おしっ、俺も本格的に助けてやるか!」と参戦。恐らくこのレストランで、田中さんは10杯前後、塾長は5杯前後。サーシャさんは4〜5杯。「ん・・・!あれっ?サーシャさんって、運転は!?」と気が付き尋ねると、「2〜3杯は大丈夫だよ」とのこと。もう3杯以上ですってばぁ・・・。(泣)という頃には塾長は散歩に出始め、嫌な予感が走るも、意外にほろ酔い程度でしっかりしています。今回の遠征で塾長は、本当にお世話を焼かなくてもしっかりしていることに驚きます。
皆さん揃って写真を撮りに散歩へ。池を泳いでいる鴨をみて、あまり酔っていないはずのコノネンコさんは、「あ、由美ちゃん、あれ北京ダックだね」「・・・違いますから・・・(笑)」皆さん疲れなのか酔っているのか、いまいちペースが狂っています。写真を取るも、なんだか不思議な空気が漂っています。

お店の人に写真をお願いし、塾長が「空道知ってるか?」と聞くと、空道を知っているということ。「ボクシングをやっている」と言うと、すかさず、「今週サーシャのところに行ったら入門料タダにしてやる」と勧誘。度々の説得により本気で空道入門を考え始め、サーシャさんと連絡先を交換していました。お店を出て、駐車場にいた警備(軍?)の方にも同様に勧誘を始めます。同じく空道を知っているということでした。

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