北米選手権とその付帯行事 出張報告 総本部師範・秋田支部長 小松 洋之

◆はじめに

この度、11月9日から14日までの6日間の日程で、北米空道選手権大会とその付帯行事に対応に出張してきましたので、下記の通りご報告いたします。

 

◆計量・ルールミーティング・審判講習会

開催日時:11月10日(金)19:00~

開催場所:360 Krav Maga Academy Long Beach

USロングビーチ支部長となるAlan Predolinさんの道場で、マットの上に車座になって行った。そのため講習会というよりはチームミーティングのような雰囲気になり、発言の敷居が下がり、活発な質疑につながったと感じた。

コロナ前の私は東創始者の許可を得て、単身訪米し、米国各地で講習会を開かせて頂いていたが、その際に多くの時間を割いていたのがルールに関する講習であった。競技の普及には、技術の紹介よりもルールの周知が大切だと考えたからだ。ただし私が行っていたそれは口頭によるものであり、昨年から始まったコロナ後の海外講習とは比べるまでもない低い品質だったと言わざるを得ない。毎回、非常に高い品質の教材を作成していただいている高橋KIF理事長には、勉強させられることばかりである。

 

 

◆第一回北米空道選手権大会

 

開催日時:11月11日(土)12:00~18:00

開催場所:Gardena Valley Japanese Cultural Institute

参加国 :カナダ、メキシコ、USA

参加人数:42名

開催階級

 

ガーデナ平原日本文化会館と同会館の柔道クラブのご厚意で、体育館と畳を使わせて頂いた。

カナダ、メキシコ、アメリカから42名の選手が参加して行われたこの選手権が、米国において初めての国際大会であったにもかかわらず、開会式から表彰式・閉会式まで、標準的な品質で粛々と進行で来たのは、ひとえに在米支部による大会運営委員会の努力と、それを指導して下さった伊藤征章カルフォルニア州統括の監理力の賜物であろう。伊藤さんのまいた種が素晴らしい結実を迎えたことに感動と感謝を覚えた次第である。

まだまだ粗削りなものの、充分な力量と可能性を持った選手が多くいた為、今後の成長に期待したい。

私自身は単なる審判としてではなく、在北米審判への教育、大会運営の支援と指導、という観点から動かせて頂いた。

役割から離れたところでは、英語を母国語とする人たちがどのような文言でセコンディングを行うか、自分の選手をどう鼓舞するか、どう慰めるか、気持ちを切り替えさせるか、生きた英語の貴重な学習の機会となった。

 

◆昇段級審査

 

開催日時:11月11日(土)18:00~20:00

開催場所:Gardena Valley Japanese Cultural Institute

参加国 :カナダ、メキシコ、USA

参加人数:42名

 

海外審査にあたって、日本のそれと同じ品質で行う事は、前述の単身訪米の講習の際にも最も重きを置いた事項だった。この度も概ね達成したと考えている。

3段受験のミス・トレホの10人組手は、中川支部長、古川支部長、私の3人が担当した。試験官3人は男女の体力差を正しく補正しつつ、彼女に最大限の試練を与えることに専念した。合格した暁には彼女は北南米大陸併せて最初に3本金線をまく女性になる。連続組手の後半、彼女は何度も動けなくなった。私の経験上、これはもうGive Upか?投げ出すか?と思わざるを得ない状態になったが(与えているのは我々試験官だが、、、)、その度に会場から湧き上がる「Vamos!」の声におされ、彼女は何度も立ち上がった。彼女がまだ少女だったころから知っている私は、万感の涙をこらえその後も適正な強度で彼女に負荷を与え続けた。この大きな試練を乗り越えることが出来た彼女は、おそらく良い指導者になると確信している。

後に中川支部長と古川支部長と会話した際、彼女のことは初見だが娘を持つ父親の心情として、心を鬼にして彼女に試練を与え続けていたことを知った。都合、3人ともに涙目で彼女に試練を与え続けていたようだ。どうやら、彼女だけではなく、試験官3人も試されていたという事か。

 

◆セミナー

開催日時:11月12日(日)9:45~11:45

開催場所:Dynamix MMA

参加人数

 

サンタモニカで格闘技ジムを営むアントニーさんのジムを提供していただき、セミナーを行った。

古川支部長:基本と移動をみっちり

中川支部長:打撃から掴みそして寝技へ、止まらない流れの技術のドリル

私:条件付きマススパー

都合により2時間しか取れなかったため駆け足のセミナーになったことは残念だったが、前日の審査の際に指導しきれなかった基本と移動の細かい個所を、古川支部長により丁寧にさらって頂けた事は幸いであった。また、中川支部長からは打撃と寝技の間に介在するとても空道らしい状況で使用する技術の指導をして頂けた。受講者の反応を見るに、満足してもらえたと評価している。

 

◆今後

コロラドスプリングスのジェームス支部長とLAアナハイムのミウラ支部長の2名を中心に在米支部の力を統合して国際大会を開催したことにより、米国空道の総合力は確実に高まったと感じている。

今後益々発展するだろう米国空道に対し、私も引き続き全力で取り組みたいと思う次第である。