2018.7.31   参加いただいた村上智章 中四国地区運営委員長・広島中央支部長の参加感想記です

静寂の中、ドスッ、ガッ、バンと重低音が響き渡る、7月22日昼、池袋スポーツセンター。
午後に予定されていた世界大会代表向けのアンチ・ドーピングセミナーに出席するため上京、せっかくの機会ということで、午前9時から始まった強化合宿2日目の稽古に参加・見学させていただいた。
小川英樹、アレクセイ・コノネンコ両師範による実戦的な技術講習、内容は特に秘すが、所与の状況において最適解を見出だすのがとりあえずの実戦、使える技術は使える技術としてしっかりと身につけてほしい。

前日みっちり体をいじめ抜き疲労が蓄積した状態での2日目、技術講習とはいいながら、その内容は使える技術を使えるように身に付けさせるためのもの、教えられた技術を実戦的な形式でひたすら対人反復、体力は削ぎ落とされていく。
選手たちの疲労困憊が伝わってくるが、限られた時間の中で可能な限り体力を回復することもトーナメント戦には必要。 講師の説明タイム、集中して聞きながら、選手は懸命に呼吸を整えている。
講師もまた、合同練習の限られた時間を生かそうと懸命、熱い、密度の濃い時間が過ぎて行く。(ちなみに練習場は冷房が効き、適度な室温が保たれていました。酷暑の時候柄、練習前、練習中、練習後の水分補給は重要です。)

講習がその半ばを過ぎた頃、一部選手が対人練習から離脱、見学へ。聞けば講習終了後、代表候補による世界大会出場をかけたプレーオフ戦が行われるとのこと。
充実した、熱い講習が終了、すぐさま試合の準備へ、プレーオフ戦が始まった。
冒頭の描写、決して狭くはない空間なのだが、音がこもるのか、打撃音が重く、鋭い。空間全体に響く、体に伝わってくる。まともに食らったらヤバイ打撃、人間の肉体と肉体との衝突音。ぶつかれば重い音が出るだけでなく、ぎりぎり見切られた打撃も、空を切る拳足が唸りをあげる。当たったらヤバイ、いずれも世界を目指す選手達、迫力ある打撃、と言ってしまえばそれまでだが、その迫力は現場にいたものにしかわかるまい。選手達が静かに見まもるなか、渾身の戦いが繰り広げられていった(私はああいう静寂が本当に苦手で思わず叫んでしまいました。スミマセン。)。

個別の試合内容への言及もここでは控えるが、今回出場した選手の技量はまさに紙一重、たとえ優勢に見えてもいつどこで逆転劇があるかわからない緊張感、そして迫力。さらに過酷というしかない延長戦、二回目の対戦に挑み、戦い抜く選手。選手のダメージを心配しながらも、こうした表現は許されるのだろうか、「眼福」というか、これはよいものを見させていただいたというのが感想。

相撲の本当の通は幕下の取り組みが終わったら帰る、とか、本場所よりも部屋でのぶつかり稽古を見学するのが好き、とかいうのと同じような感覚(成長株のせめぎあいにこそ醍醐味がある?といった感じ?)なのだろうか。息づかいが直接伝わってくる狭い空間で世界大会出場をかけて繰り広げられる過酷な戦い、しかもそれを目撃できるのは限られた人間、そんなもろもろが織りあって、観る側にとって至上の空間が現出したのだと思う。過酷な戦いを戦い抜いたすべての選手に敬意を表したい。 

一日だけの強化合宿見学であったが、プレーオフ戦の内容も含めて、日本選手団に頼もしさを感じた。
日々の精進、その積み重ねの成果と思う。今回のプレーオフ戦、破れた選手もその試合内容(本当に紙一重の戦いばかりだった。)が評価され、大会講評時に塾長が述べられたように世界大会リザーバー選手となった。あらためて強化合宿をこなした選手達、プレーオフを戦い抜いた選手達に敬意を表したい。その上で、これは期待を込めての言葉だが、世界大会に向け、さらに強く、さらに力をつけていってほしい。「量的変化が質的変化をもたらす」ということもある。ギリギリの精進をしているところ、あえて期待を込めて、選手諸君には質的にもプラスα(アルファ)、プラスβ(ベータ)の、量的にもプラスワン、プラスツーの稽古を積み重ねていってほしい。
まだまだ伸び代(のびしろ 成長可能性)はある。自分を信じて、さらにさらに稽古を充実させて、世界大会でさらに強くなった姿を見せてほしい。

突然の乱入を許容してくれたコーチ陣、選手諸君にあらためて感謝します。ありがとうございました。 

中国四国本部改広島中央支部 村上智章 

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