東孝の格闘空手 空手リアルアーツシリーズ ⑤ VOL1 2025年9月23日 by 大道無門 この対談は『月刊空手道』(福昌堂発行)1985年2月号に収録されたものです。肩書は掲載当時のものです。2 解説・指導 大道塾代表・東孝 ●協カー長田賢一、佐和田亮二、賀上賢一空手道リアル・アーツシリーズ⑤新世紀の空手!格闘空手を謳う東孝が今、超実戦空手の極意を公開 スーパーテクニック講座 第5弾! 格闘コンビネーション第三章左の蹴りからの連繋 今回より蹴り技からの連繋に入るわけ だが、まず最初に指摘しておきたいことがある。それは、蹴り技から仕掛けることは非常なリスクを伴なうということである。現在、派手な蹴り技を主体にした攻防こそが空手である、というような風潮があるが、例えばパンチで顔面を当て ないというフィクションのもとではそれも可能になろう。しかし実戦ではまったくそういうわけにはいかない。蹴りに対しては、カウンターパンチが最も狙いやすいのである。 まだ前蹴りなら相手と自分の距離も比較的あるし、体もほぼ正面を向いており相手の反撃もよく見えるから入りやすいともいえるが、それにしても前蹴りを手掛けられたり、つかまれたりすれば危険性が増大する。特に右足での回し蹴りや後ろ回し蹴りから仕掛けることは、 まさにカウンターを打ってくれというようなものである。しかし、以上のような理由でパンチから仕掛けるパターンが必然的に多くなる情況の中で、敵はパンチから入ってくるはずだという漠然たる相手の予想の裏をかいて、もしくは意識の空白をぬって蹴りから仕掛けるという戦法は、かなり高度な技術といえる。 常にパンチから入ってくるはずだと思っている人間は往々にして脚部への配慮が足りなくなるもので ある。そこを狙って、カウンターパンチを予想したうえでの下段蹴りで、棒立ちの足へ加撃すれば大きなダメージを与えることができる。当然そのためには前提として目線を動かさないとか、予備動作をしないという配慮が必要になるが…。 これらの前提条件をよく踏まえたうえで、蹴り技からの連繁に取り組んでいた だきたい。さて、蹴りからのコンビネーションでは左足から仕掛けるのが多く、その中でも左前蹴りからのものが最も使いやすい。 用法としては、以下の三つのケースで特 に有効である。1相手の前進を止めて反撃に繋ぐ2(フェイント的な使い方で) 相手の注 を集めて他の技に繋ぐ。3相手に受けさせることにより相手の動きをとめ、他の技の射程距離内に相手を置く。(また、パンチの打ち合いからの離れ際に相手の緩んだ腹部を軽く蹴るだけで、以外に簡単に倒れるということもある。 これはまた、別のコーナーで紹介してみ たい)