2018.10.9   2018第51回大道塾九州・沖縄・中四国地区交流試合レポート

2018 第51回 大道塾九州・沖縄・中四国地区交流試合

関連記事:試合結果

2018年7月西日本豪雨、絶え間なく日本列島を襲う台風群、そして北海道地震と今年は自然災害の発生件数とその影響が特に記憶に残る年となるのかもしれない。震度6弱程度の地震は日本列島のどこでも起こり得るというのが政府の見立て、この国に生きるものとして、武道家として災害、危機に対して、その察知ならびに適切な対処ができるよう、日頃から備え怠りなくを心掛けたい。

 

9月23日、とびうめアリーナにて開催された「第51回大道塾九州・沖縄・中四国地区交流試合」。幸いにして天候に恵まれ、晴れ間も見える空模様の下、総勢50名の選手が参加、熱戦を繰り広げた。

 

大会は、一般無差別、シニア、中学生の部、小学生の部織り交ぜての試合進行、試合開始前の審判団ルール・ミーティングではルール上の留意事項とともに、特にジュニアクラスの安全対策について議論と確認が行われた。大会における試合の公平性と安全性とはひとえに審判の力量にかかっている。ルールの解釈、試合進行上の疑問点等をしっかり議論することは、審判の自覚を高め、大会自体の質の向上につながる。その意味でルールミーティングでの活発な議論は貴重なものと考える。

 

そして本番、大会の始まり。小、中学生の部では、各選手の個性が光る戦いが繰り広げられた。パンチの打ち合い、前に出る選手、相手をステップワークでいなしながら打撃を加える選手、パンチ連打に対して、ワンツーからのミドルで対抗する選手、ステップバックからのミドル、ハイ、打撃から崩して投げ、そこからの極め、とそれぞれの個性と組み合わせの妙とが生み出す多様な戦いが見られた。何より、参加選手がみな、最後まであきらめず、勝利をめざして戦い抜いたことを評価したい。青と白に判定が割れた試合、紙一重の接戦、審判泣かせの試合も多かった。勝者も敗者も今回の戦いから大いに学び、今後につなげてほしい。

 

シニアの部は、40代、アラフィフ(50歳前後)の活躍が目立った。人間、加齢による一定の体力低下は否めないにしても、一発の力強さ、鋭さはそれなりに残るのではないだろうか。現役世代にまさるとも劣らない、一発の迫力が印象に残る試合が繰り広げられた。「実践性」・「大衆性」・「安全性」を追求する生涯武道としてシニアクラスはさらに発展が期待される。

 

さて、一般空道ルール無差別の部、今回は超重量級(体力指数260以上)2名、重量級(体力指数250以上260未満)1名、そして軽量級(体力指数230以下)1名の総当たり、無差別らしい戦いが繰り広げられた。

まずは、笹沢一有(二段 大分)と、張迫勇希(広島中央 4級)、重量級と軽量級の一戦。笹沢二段は、2005年北斗旗体力別軽重量級優勝を皮切りに、全日本、世界大会と赫々たる戦績を誇る選手、体力、経験ともに格段の差があるのは否めない、どんな一戦になるのか試合開始。笹沢選手、どっしりと構え、ときおりジャブを放ちながら相手の攻撃を待つ。対する張迫、ステップで回りながら攻撃を仕掛けようとするが笹沢、なかなかスキをみせない。張迫、不用意(ではないはずなのだが)な攻撃をかわされ、教科書通りのストレートを撃ち込まれて、効果2、組み合いで流れを変えようとしたのか、逆に投げられてそのまま極めの効果1で勝負あり。観戦していて私のトラウマめいた(?)思い出がよみがえった。それは現役時代の岩崎弥太郎先輩との試合、北斗旗本戦、予選、昇段審査と幾度か対戦の機会に恵まれたのであるが、その時の岩崎先輩(当時は弥太郎先輩と呼ばせていただいていた。)の戦い方を今回の笹沢の戦いで思い出した。それは自分からは動かず(といってこちらが気を抜けば攻撃されるのだが。)、相手の攻撃を誘い、かわして、体勢の崩れたところに打ち込むというもの、相手(村上)はたまったものではない。じれて攻撃を仕掛ければステップでかわされ、体勢が崩れて攻撃が途絶えたところにマシンガンパンチでやられるという毎度のパターン。技量が上の相手に待たれたらどうすればよいのか、正解があるとしてそれを実現するにはどうしたらよいのか。笹沢―張迫戦、そんなこんなを思いながら観戦していた。

一般の部二戦目は松永卓也(大分 初段)と佐藤和浩(那覇 二段)、超重量級同士の一戦。沖縄空手の流れか、どっしりと腰を低く落とし、丹田あたりに拳を据え、重い正拳突きを狙う佐藤に対し、伸びるジャブから攻撃を組み立てる松永。佐藤はまっすぐの正拳突きに加え、ロシアンフック、ロングフック(回し打ちといった方がいいか?)と一発を狙う。対する松永、ステップを織り交ぜながらスピードある攻撃を放つ。一進一退、一発が怖い迫力ある戦いが繰り広げられたが、終了間際、松永ワンツー連打で効果をとり、優勢勝ち。

三戦目は松永―張迫、超重量級と軽量級の一戦。松永は正攻法、重いパンチとキックとで張迫を追い詰める。張迫は防戦に終始、相手の攻撃をかわしてもなかなか反撃につなげることができない。3分間経過、判定5-0松永勝利。

四戦目、笹沢―佐藤、いずれもパンチに覚えのある選手。右ストレートと右正拳、どちらが先にクリーンヒットするか、パンチが決め手の戦いになるかと思われたが、パンチの打ち合いでもつれたところに笹沢の右ミドル(三日月蹴り?)がクリーンヒット、佐藤崩れて立てず、笹沢一本勝ち。会場がどっとどよめいた。

五戦目、佐藤―張迫、超重量級と軽量級の一戦、どっしり構える佐藤に対し、ステップからのロー、ミドルで突破口を見出そうとする張迫、しかし、なかなか入り込めない。回り込む張迫に狙いすました佐藤の上段突きがヒット、効果1で佐藤の優勢勝ち。軽量級張迫にとっては、今回の大会、重量級、超重量級相手の試練の三番勝負、勝利には結びつかなかったが、最後まで戦い抜いた経験を今後の糧に精進してほしい。

そして一般の部最後の6戦目、本大会最終試合となった笹沢ー松永、二勝を挙げた者同士の事実上の決勝戦。両方とも遠目には何かスラッとした長身、細身の印象を受けるのだが(背が高いから?)、よく見ると肩幅もありゴツい。「うわあ、ゴツイなあ。」と思いながら本部席からその戦いぶりを見ていた。両者ともパンチに伸びがあり、蹴りも重い。重量級、超重量級の迫力あるぶつかり合い、組んでも両者引かず、一進一退の攻防が続くが、ここで笹沢の右ストレートが光った。攻防のなかで右ストレートが立て続けにクリーンヒット、効果2をとって笹沢勝利、優勝。

 

今大会には、来賓として地域における大道塾の活動、その振興にご尽力いただいている筑紫野市議会議員の中山たけお先生が臨席、祝辞を賜った。また、先生には最後まで熱心に観戦され、お話しをお聞きすると、ご子息の方々もサッカー、ラグビーで活躍のスポーツ一家、スポーツを通じた地域振興に並々ならぬ関心を持って取り組んでいるとのこと。これまでの尽力に対する感謝と、今後も変わらぬ支援のお願いをさせていただいた。こうした理解者が地域にいらっしゃることは大変にありがたいことと思う。

 

閉会式、入賞者一人一人の表彰とともに、12月に迫った世界大会、九州から出場する二人の選手に対する壮行の場が設けられた。一人は巻礼二、7月22日のプレーオフ戦(総本部HP「2018.7.31 村上智章参加感想記」参照。)を戦い抜いた、根性を見せた漢である。そして、鶴田陸、少年部交流試合の常連がいつの間にか高校生になって、世界大会U16クラスへ出場、両者ともベストのコンデションを作って世界大会に臨んでほしい。

 

世界選手の壮行に象徴されるような、地方から世界への流れに期待したい。地方の充実があって世界と戦えるのであるし、またそうならなければならない。今大会が世界につながるものであることを信じ、また願います。一戦一戦、素晴らしい戦いを戦い抜いた選手諸君には、この経験を一つの糧として、さらに飛躍することを期待します。ありがとうございました。

広島中央支部 村上智章

©Copyright 2018 DAIDOJUKU All Rights Reserved.