9月22日に行われた2020北斗旗全日本空道体力別選手権関東予選をリポートさせて頂きます。
当初、3月に開催される予定だった今大会、半年、スライドしての開催でありました。コロナウィルス問題に伴い、十分な稽古が出来なかった選手、大会出場が勤務先等の規制に抵触する選手も多くいたでしょうし、チーム(道場)自体が参加を見送る方針を採っているケースもあったかと思います。エントリーは、男子‐230クラス4名、‐240クラス8名、250クラス3名、250超6名、女子0名と、例年に比べて実に少ない人数でした。
まずは苦渋の決断でエントリーを断念した選手の皆さんの無念を思い、「社会に寄与貢献することを希う」という考えの許この時期の大会出場をチームとして見送ることを決断された道場責任者の皆さんの判断を讃えるとともに、空道に取り組む選手たちのモチベーションの炎が弱まっていくことを避けるべく、最大限のウィルス感染防止策を講じ、批判を浴びる可能性も承知のうえで、早期の大会実施再開を実現させた全日本空道連盟の英断を誇りに感じます。
むろん、今大会、そして1月に予定されている全日本本大会の優勝者・入賞者が、今シーズンの競技エントリー者数が例年と比べて極めて少ないにしても、胸を張るべきことは言うまでもありません。なにしろ、歴史に残る苦難を乗り越えての優勝・入賞なのですから。
‐230クラス優勝の大西凛駿(りりと)は18歳にしてキャリアは13.5年、3試合すべてで、効果ポイント(パンチ連打、膝蹴り連打、右ハイキックなど)を奪取しました。最終試合において、故意でない相手の反則攻撃によって負傷し、本大会自体の出場が危ぶまれる状態となってしまったのは残念だったが、逸材であることに変わりはない。まずは焦らずリコンディショニングに努めて頂きたい。
‐240クラスは、―230クラスにおいてアジア選手権優勝(2017)の実績を誇る谷井翔太選手が階級を上げて参戦し、4試合で3つの一本勝ち(腕十字で2つとアキレス腱固め)、残る1戦もパンチで効果2つを奪っての完勝。準優勝の遠藤春翔は、13年の空道歴とジュニアカテゴリーでの輝かしい戦績を持ち、高校卒業とともに、この春から総本部寮生となった18歳だけに、この激動の半年を経ての一般部デビュー、そして3勝を挙げたことでホッとしたのではないでしょうか。全日本本大会でのさらなる躍進を期待したいです。
‐250クラスは2019全日本体力別でベスト4入りしている冨田賴紀(らいき)が、早大→御茶ノ水支部……同じルートを辿った先輩である三鬼裕太を、本戦旗判定2‐2の接戦の末、延長で制し、優勝。最後はスタミナの差が勝敗を分けました。
250超クラスは、柔道出身で大学入学とともに空道に取り組み、総本部寮生の経験もありながら、これまで怪我に泣き、実績のなかった松岡陽太がベテラン前田聡からグラウンドでのボディーパンチで一本勝ち、世界選手権ベスト4の三木善靖を襟絞めで絞め落として一本勝ち、飯野晃司からニーオンベリー→キメ突きで効果を奪い優勢勝ち。持ち前の投げ技・寝技の技術に加え、巧みなヘッドムーブからハイキックまで、打撃にも研鑽の跡をおおいにみせ、完勝での優勝を遂げました。来春には大学卒業、進路によっては戦線から離れざるを得ない期間が生じるかもしれませんが、素材としては、世界を狙えるレベルにあると感じます。
以上にて、リポートを終えますが、あらためて、来場者の制限や、出場者・スタッフの健康状態の管理(体調チェックシートの作成・配布・回収など)、来場者の体温測定や手・足へのアルコール消毒液塗布、発声しない方式への審判手順の変更……などなど、大会の実現に向け、最大限の感染症対策を尽くした東孝・全日本空道連盟理事長、高橋英明・全日本空道連盟副理事長、連盟事務局、審判団、ボランティア大会スタッフのみなさまに感謝を申し上げたいと思います。
全日本空道連盟大道塾 御茶ノ水支部 支部長 朝岡秀樹
開会式。東孝・全日本空道連盟理事長も、来賓の中井祐樹さん、審判・選手たちも全員、マスク着用。何年後かに振り返ったときには、懐かしい思い出の情景となっていますでしょうか……
‐240クラス決勝。谷井は、背負投から流れるようにアキレス腱固めへ
250+決勝。カウンターの膝蹴りを合わせようとする飯野を、一瞬速く、松岡の左ストレートが捉えました