国際空道連盟 理事長
高橋英明
5月29日に予定していた世界大会は、新型コロナの状況によってはギリギリ何とか開催できるのではないかという期待を持っていましたが、新型コロナの問題に追い打ちをかけるようにロシアのウクライナ侵攻があり、残念ながら延期を決定せざるを得ませんでした。このため、世界の空道家に世界大会という機会を早く提供したいという東先生の強い願いには、残念ながら応えることができませんでした。
世界から日本に来るという機会を提供できないのであれば、それに代わって日本から世界に出向くことをしなければならないと考え、5月1日からはインドの南アジアキャンプに参加すること(たいへん残念なことに、私はビザの取得が間に合わず、行くことはできませんでしたが)、続いて5月18日からはフランスのレンヌで開催されるヨーロッパキャンプに参加することを決定しました。渡航時の制限が緩和されつつあるとはいえ、感染のリスクがある中(特に航空機での移動は、密かつ密閉した状態が長時間にわたって続き、リスクが高いことが容易に想像されました)、それでもKIF理事長、大道塾塾長、大道塾塾長秘書の3名を派遣するという重大な決定をしたわけです。コロナとは関係のないところでも、この3名を同時に派遣するということによる組織面でのリスクもあったわけですが、それでも、行くことの価値があると判断したわけです。
キャンプの様子のレポートは他に譲り、私はキャンプ以外での成果をレポートします。
成果1:
まず、フランスの支部長に、パリにある複数の支部の中で今後パリ空道協会の事務局長を務めてほしいと考えていた地域支部長を交え、通訳として香港に居るKIF監事のファビアンにリモートで参加してもらい、また日本からは事務局次長にリモートで参加してもらい、フランスの中の体制をどうするかを話し合う機会を持ちました。KIFとしての要望とフランス支部長の考えが一致していることを確認できました。その後、このキャンプ中にフランス各地の支部長が集まって、各地域(8地域ほどで活動しています)に空道協会を設立すること、レンヌにフランス空道協会を設立すること(連盟を名乗るには国のハードルが高く、現時点では空道協会と名乗るのが現実路線です)が決定されました。
成果2:
3月に開催したKIFの総会で、アジア委員会、ヨーロッパ委員会、アメリカ委員会、中東・アフリカ委員会の設置を決定しましたが、今回のヨーロッパキャンプを機会にヨーロッパ委員会の会議を開催し、7月3日にマルタでEuropean KUDO Junior Championshipsを開催すること、併せて審判講習会の開催とライセンス認定、およびセミナーの開催を決定しました。また10月30日には、イタリアで空道Italian KUDO Open Championshipsを開催することを決定しました。ヨーロッパ選手権大会の開催は来年になると思いますが、今回はOpenと位置付けることで、イタリア以外の国々からの参加も可能です。中東・アフリカ空道委員会に所属する国からの参加も受け入れますし、日本からも2名までの参加を受け入れてもらうことになりました。それぞれの大会を開催するにあたって、例えばジュニアについてはどこからの年齢カテゴリーで実施するのかや、年齢基準をどうするかなど、細かな開催要項まで決定しました。また、ヨーロッパ委員会として年間カレンダーを作成することや、その担当者を決定しました。来年からは毎年、ジュニアの大会と一般の大会を開催していくことになりそうです。近いうちにはシニア(マスターズ)の大会の開催もあり得るかと期待しています。
成果3:
イタリアの支部長やスペインの支部長など、古くからよく知っている支部長がいる一方で、これまではメールでのやりとりの関係しかなかった支部長が多かったわけですが、特にUKの支部長、マルタの支部長、リトアニアの事務局長、今後ルーマニアの代表となり得る者などとは初めて顔を会わせ、また稽古できた機会は、たいへん貴重なものでした。
成果4:
このキャンプの機会に、ウクライナ各地にある支部長からの連名でレターをもらいました。これまではウクライナの国代表としか直接の関係は持っていなく、ウクライナのどこにどういった地域支部長が居るのかは把握していませんでしたが、メールを通してですがはじめてコンタクトすることができました。KIFと将来のウクライナ支部との間の信頼関係を築く、大きな一歩だと考えています。
前述したように、いろいろな意味でリスクがある中、それでも派遣することを決定したわけですが、考えていた以上の価値があった遠征でした。
今後は、7月のマルタ遠征と10月のイタリア遠征の他に、9月にはブラジルでパンナム大会の開催も予定されており、これらの遠征も計画しています。また来年の世界大会の最終予選となる11月の仙台での大会は、東アジア大会と位置付けることを決定したわけですが、参加希望国によってはアジア大会と位置付けることもあり得るだろうと考えています。
私自身は、KIFの理事長として、これらのKIFの活動の主導に重きを置いていきたいと考えています。
以上