《埼玉・茨城・東京》ワンマッチ交流戦 結果&レポート

2022年


6/19(日)、岩槻文化公園柔道場にて三年ぶりにワンマッチ交流戦が行われました。
その翌週、26日には総本部主催の関東交流試合もあったのですが、そちらはトーナメント制。ですから「トーナメントで優勝入賞を狙うような上級者は関東交流試合に、なるべく怪我無く経験を積みたいという初~中級者はこちらのワンマッチに」と上手く住み分けができることを狙いました。
結果、7支部から25名の選手に参戦いただき、エキシビションマッチも含めて全14試合が行われることとなりました。
 
一般とシニアの試合に関しましては、こちら
https://www.youtube.com/playlist?list=PLvVju5c9tSxW06RAicr1bAtJB7evPV5XD
に動画が上がっておりますので、ぜひご覧ください。
(※全試合結果はこのレポートの最期に掲載されています)
 
さて、その中でもいくつかの目立った選手、試合に関して少しコメントしましょう。
 
・岩﨑選手(大宮西)は16歳。体格も年齢も上の相手と二戦して二勝の活躍。サウスポーならではの左の攻撃とポジショニング、相手の出鼻をくじく右前横蹴りが上手かったです。今後、公式試合でのさらなる活躍が期待されます。
 
・中西(日立)vs.伊藤(大宮西)。
青の中西選手は伝統派空手の黒帯を持っていて、白の伊藤選手は極真空手の経験があります。
中西選手は遠い間合いから飛び込んでのパンチが有効でした。伊藤選手は力強いパンチと蹴りを見せましたが、届かないことも多かった。
一方、伊藤選手は打たれながらも落ち着いてファイトを継続したのが良かったです。ノンコンタクトルールしか知らない空手家が空道ルールを初めて経験すると、一度打たれただけでパニックになることも意外とあったりますが。
両者それぞれの経験が表れた、興味深くて良い試合でした。
 
・柴田(水戸)vs.今村(日立)
柴田選手は柔道二段、今村選手は極真初段の経験を持っています。この試合も双方がそれぞれの能力を見せ合った好試合でした。
私が空手を始めたのは約40年前。当時はお互いがお互いを軽視しあっていました。
空手家曰く「実戦で柔道は強くない。彼らが掴みに来たところにパンチとキックをすれば問題なく勝てる」
柔道家曰く「実戦で空手は強くない。捕まえてしまえば、彼らは何もできない」
双方の主張はこんな感じでした。
限定された武道をやっていると、このようになりやすいですね。自分に自信があればあるほどこのような考えを持ちやすくなります。
しかし、実際に戦ってみれば、殴られても組みつこうと前進してくる相手を止めるのは容易ではないし、また反対にパンチやキックを無視して組みつくことも容易ではありません。同時に、相手の武器に無知でいる事は即敗北に繋がります。それぞれの武道や格闘技にはそれぞれ学ぶべきところがあることが、空道をやってみればすぐに分かります。
謙虚になること、他者をリスペクトすること、同時に自分に自信を持つこと。
人格形成のプログラムとして空道は極めて有効な「武道の王道」だと私は信じています。
 
・藤田(御茶ノ水)vs.糸井(総本部)
58歳対66歳の戦いです。「空道は高齢者であっても安全に楽しむことができる」ことを体現してくれる二人は素晴らしいと思います。
特に66歳の糸井選手に関しては、私はとてもリスペクトしています。
私はもうすぐ60歳です。大道塾の中では私が先生ですが、人生では彼の方が年上、つまり先輩です。
今、私は彼よりも空道が上手いし強いです。当たり前ですね。ただし私が66歳になった際、今の彼のように戦えるかどうかは分かりません。おそらくできるだろうとは思いますが、それは証明できません。それを証明できるのは実際に私が66歳で戦った時です。
ただしその時、彼は72歳でまだ戦っているかも、トレーニングを続けているかもしれません。私が72歳で戦えるかどうか、トレーニングを続けていられるかどうかは、やはり自分が72歳になるまで証明できません。
このように、先輩が歩みを止めない限り後輩は先輩を追い抜くことは永遠にできません。先輩とは常に自分の前を歩き続ける人であり、だからこそ尊敬すべき存在です。
そしてこれは武道文化の根幹の一つだと思います。
 
・関川(日立) vs. 西山(草加)
実はこの対戦は鐵選手(日立)と西山選手との間で行われる予定でした。しかし鐵選手が一試合目を終えてから体調不良を訴えた為に、一旦は「西山選手の試合はなし」となってしまったのですが、日立支部の古株である関川選手が「自身の支部が迷惑をかけるのが申し訳ない」とばかりに、「私が代わりに戦います」と自ら買って出てくれて、急遽組まれた試合です。
関川選手から見たら西山選手は級も上(3級に対して1級)、体格も上(身長で10cm、体重で14kgの差)、更には実績もはるかに上(西山選手は元全日本シニア王者)。なお且つ自分はこの試合に向けてコンディションを整えていた訳ではない。この状況下で「私がやります」と言える人はまずほとんどいないでしょう。
試合自体は西山選手の完勝となりましたが、関川選手の「常在戦場」の心意気は素晴らしいものでした。
 
・中村(北本)vs. 高田(浦和)
中村選手は空道ではまだ3級であるものの、BJJの黒帯と修斗のプロライセンスを持っています。白の高田選手は過去北斗旗にも出場したことがあり、現在参段。
今回の交流戦で最もレベルの高い好試合でした。
 
以上です。
試合の後は毎回恒例、選手も見学応援の人も一緒になってのマススパー祭り。自身の道場からは試合参加者がいないのに、これを目当てに遠く県外から来てくれる方もいます。
このレポートをご覧になって「私も参加したい」と思われた方はぜひご一報ください。
 
最後になりましたが、参加ご協力いただいた各支部の皆様に感謝申し上げます。
コロナもだいぶ落ち着いてきたと思うので、今後は以前のように定期開催をするつもりです。
次回は10月後半か、11月前半くらいで検討したいと思います。
よろしくお願いします。押忍。
 
渡邉慎二@浦和/北本/大宮西支部長 拝
以上