2022年9月11日(日)、東京都新宿区・新宿スポーツセンターにて開催された、2022アジア空道選抜選手権の関東地区予選のエントリーは41名。全日本ジュニア予選には、38名が参加。コロナ問題も落ち着きをみせはじめ、一般・ジュニアとも1年前の地区大会よりは出場者が増えてはいる。また、試合の質の面でみても、全体的な技術レベルのクオリティーは維持されていたようにみえた。ただ、そのクオリティー維持が「少数の、モチベーションの高い、例年と同じメンバーが、例年同様に、凌ぎを削っていることで、成されている」ようでは、末広がりの競技発展は望めない。今後の感染症問題収束とともに、ニューカマーが続々と現れることを期待したい。
-230クラスでは、18歳でキャリア12年の佐々木龍希(大道塾総本部)が21歳でキャリア15年の小松慎(大道塾新潟支部)との準決勝を接戦で制し、31歳のベテラン、プロMMAでKO勝利を収めたばかりの谷井翔太(大道塾横須賀支部)に挑むも、高校ボクシングで全日本ベスト8の実績を誇るその打撃技術を、組み付きからの捨て身技系テイクダウンで潰され、延長戦旗判定3-0で惜敗。今年5月の全日本での目黒雄太戦で競り負けたのに続き、スピードの速さやフォームの正確さだけでは乗り越えられない“壁”をみせつけられたかたちだ。谷井は準決勝で月東玲真(大道塾草加支部)を下しているが、その月東の初戦で、延長に及ぶ真っ向勝負の打ち合いの末に敗れたのは60歳の渡邉慎二・大道塾浦和支部長。30代、40代、50代の人が「いやー、さすがに私もこの歳になると、いろいろと衰えて……」などと言い訳することが恥ずかしくてできなくなる激闘であった。感服。
-240クラスは、寺口法秀(大道塾横浜北支部)が、準決勝で2018年世界選手権代表の田中洋輔(大道塾御茶ノ水支部)から中段膝蹴りで効果を奪い、完勝。決勝では、2018年世界選手権ベスト4の服部晶洸(大道塾横浜北支部)との同門対決を持ち前の突進型パワーファイトで制した。服部は今年5月の全日本を直前のコロナ感染により欠場しているだけに、前回世界選手権のこの階級でもっとも優勝に近づいた日本人として、アジア選手権本戦での一発逆転の世界選手権出場権獲得が成るか? 注目が集まる。
-250クラスでは、5月に行われた全日本シニア選手権重量級で優勝した平田裕紀(青・大道塾東中野支部)が、準決勝で寺阪翼(大道塾総本部)と効果ポイントを奪い合う熱戦を展開。敗れはしたが、寺阪の負傷により決勝不戦勝で優勝扱いとなった飯田諭(大道塾大宮西支部)と参考試合で対戦し、なんと右フックでダウン(有効)を奪取してみせた。43歳、極真空手で実績を残し、空道に取り組んで2年の平田が、アジア選手権本戦でどんな“シニアドリーム”を実現するか? 期待したい。
-260クラスでは、2015&2016全日本無差別ベスト4の押木英慶が2019年全日本無差別以来の試合復帰を果たし、以前同様の重く硬い蹴りをビシバシと鳴らし、危なげなく優勝。今後の目標については「世界選手権と、全日本無差別」と語る。全日本体力別がそのターゲットから外れているあたり、いかにもその武骨なスタイルにそぐう。
アジア選抜予選、入賞者。上列左から大里祐人(大道塾香取支部、260+優勝)、押木、寺阪、飯田、田中、服部、前例左から寺口、佐々木、谷井、内藤雅子(大道塾横浜北支部、女子-220&220+混合試合勝利者)、熊倉彩夏(大道塾新潟支部、女子-220勝利者)
-230。佐々木(白)の打撃を凌ぎ、テイクダウン&グラウンドコントロールで優位を印象付けた谷井(青)
-240決勝。下から、外掛けのフットロック(アキレス腱固め)を仕掛ける服部(白)。寺口(青)はグラウンドに引きずり込まれるも、制限時間終了まで凌ぎ切った。
波乱の-250クラス。準決勝で右ストレートを中心に効果3つを奪った寺阪(左写真・青)が、決勝を棄権。決勝不戦勝で飯田の優勝が決まったが、参考試合として、準決勝で寺阪に敗れた平田が飯田と対戦。すると、平田のパンチで飯田がダウン(右写真)するどんでん返しが……。
-260クラス。いかにも痛そうな押木(青)の蹴り。
全日本ジュニア選手権 関東地区予選。U13男子42キロ以下級決勝。亀田空(白・大道塾総本部)の上段回し蹴りが、上野響大(大道塾総本部)を脅かす。
全日本ジュニア選手権関東地区予選、入賞者。