コラム32 2020年年末に想う

関係者各位

 

国際・全日本空道連盟 理事長

徒手総合武道 大道塾 代表師範・塾長 東 孝

 

今年もあと2週間ほどで終わろうとしているが、71年生きてきた年月の中で、今年はそれこそ未曽有 (“みぞうゆう”ではない念のため) -「未だ嘗てない年」だった。

 

2020年の正月気分も醒めてきて、「さあこれから今年も始まるぞ!!今年は56年ぶりのオリンピックだ!」との大方の日本人の高揚した気分に、頭から冷水を掛けるようなニュースが年頭に飛び込んできた。

 

即ち、厚生労働省が1月16日、「中国湖北省武漢市に滞在し帰国した30代の男性から新型コロナウィルスが発見された」と発表したのだ。

※中国国内では11月の時点で研究機関から報告されたが、政府が認めたのが12月8日で、12月31日には世界保健機関WHOへ報告されている。

 

それでもまだこの時には、日本では「2003年に中国から発生したSARS (サーズ)みたいなものか。人間が生きている限り“共生”しているhttps://www.sankeibiz.jp/macro/news/200601/mca2006010700001-n1.htm 日常的に様々に発生しては消えて(サーズは2002年11月に発症し2003年7月で終息)行く多くのウィルスの一つだろう」くらいにしか思われなかった。

 

事実、1月24日からの中国の正月休みである“春節”には中国から90万人超の観光客が来襲し“景気高揚のインバウンド”と歓迎し(つつ、「それにしても国民性とは言え、少し賑やか過ぎるのも気にはなるな~」)位に捉えていたはずだ。

 

が、海外での感染者数、死者数の爆発的伸びから、遅まきながらコロナ騒動に火が付き、日本でも3,4,5月の“自粛”ムードへ突入した。それから9か月。今だ“コロナ禍”は収束する気配さえ見せない。年末の常套句「来年になれば・・・・良いお年を!」などと何気なく言っているが、チョッとシリアスに考えると全く衰える様子もない昨今の情勢に一抹の不安を覚えるのは、今はやりの“繊細さん”だけではないだろう。

 

自分たちの足元を見返しても、全国で行われる3~4月の地区予選(全国で5回。以下同様)も軒並み中止となり、5月の全日本体力別大会(1)や、7~9月のサマーキャンプ(5) 、9~10月の各地区予選(5) 、ついには全日本無差別大会(1) や同時に行われる全国運営会議(3)、年末の審査会(6)や忘年会(6)なども取りやめという事態で、通常行われる国内年中行事32!!のうち、実行できたのは、年頭の支部長審査(1)と運営会議(1)、関東での秋の地区予選(1)と年末審査(1)のみで32マイナス4=28、約90%が中止となった。

 

これで組織が崩壊せずに維持できているのは、偏(ひとえ)にプロ団体のように、“興業”を組織運営の基盤にしてはいないからだ。運営は本部の“営業”活動や各支部からの運営費で賄われ、行う“行事”の殆んどが、アマチュア団体宜しく、行事の運営に必要な収支(いわば血液循環)を想定し“トントン”で運営されているからである。ま、だから「もっと派手に活動すれば世間の耳目を引けるのに!」という声をよそに、金のかかる、人目をことさらに引く“興業”は打てないのだが・・・・・。

ま、それはさておき、こうやって振り返ってみると大道塾設立時、30歳から月に約3回のペースで何かしらの全国行事を40年間続け、これに多い時で年間10回の海外遠征が並行していたのだから、均(なら)せば1週間に1回くらいは国内外を飛び回っていたことになる。呆+泣

 

そんな訳で、71になった今年、少し“骨休め”を貰っても良いだろうという気にはなったが、それにしても年末のあらゆる行事を終え、人間(じんかん)と事物、事象の全ての喧騒を離れ、電話もメールも来ない“静寂な日々”が2,3日続いた時に、ふと感じる「まぁ~、今年も馬車馬だったが、何とかやり切ったぞ!!」という充実感がないのがいささか物足りない・・・・・というのは、完全なる昭和、団塊世代の“ワーカホリック(仕事中毒)”症候群という所か。

 

「(能天気に、気楽に)来年のことを言うと、何とかが嗤(わら)う」、というが、嘲り笑われても良いから、2022年、2年後の「第7回世界大会」のための選手強化をはじめとして、今、役員の方々、本部や支部長、塾生全員が一丸となって取り組んでいる、大道塾、空道の100年後、1000年後のための課題は大きく厚く高い!!

 

来年こそは“仕事”をしたいものだ。