東孝の格闘空手 空手リアルアーツシリーズ ② VOL1 2025年1月30日 by 大道無門 この対談は『月刊空手道』(福昌堂発行)1984年11月号に収録されたものです。肩書は掲載当時のものです。 格闘コンビネーションの第一撃として最も多く使われるのは前回紹介した左ストレート(ジャプ)からの連繋である。 そこで今回紹介するのがフック、アッパーからの攻撃である。ただこのフック、アッパーからの連繋については、仕儲けるタイミングが難しい事や、相手の攻撃の空白をぬって素早く飛び込まなくてはならないため豊富な経験と思い切りのよさが前提として必要になる。 格闘コンビネーション第一章左パンチからの連繋(2)フック・アッパーからの仕掛け コンビネーションは稽古においては一つの連繋攻撃として行なうが、実戦では何も最後の技で極める必要はない。第二撃、または第三撃で相手が倒れればそれでいいのである。 そこでコンビネーションを実戦の攻防で用いた場合、具体的にどのような使われ方をするのか以下、分解して説明するとしよう。 分解1左フックの出し方には、上体を立てたまま出す場合(写真A)と、相手の左ストレートを警戒しつつ(もしくは実際に相手の左ストレートが出てきた場合、スリッピングすると同時に)左下に上体を振ってから(①′)急に伸び上がるようにして相手を眩惑し、左フックを相手の右顎に入れる場合(②)との二通りがある。この第一撃で相手の顔が左に振れたらすぐ、瞬間的に右フックを入れて今度は相手の顔を右に振る(③)。このフックによる左→右への頭部の振れが相手の大きなダメージになるのだ。またフックを打つ時、拳は正拳が当たるのが最良だが、相手も動いているし必ずしも正確に当たるとは限らない。そこで普段から手首を強化しておいて、差し指の内側で打つという方法でもよい。(図B〕分解2次の連繋として、もう一度左右フックを繰り出す二連打という方法もある。しかしさらに相手に接近したり、相手に自分の拳や腕などを押さえられたりする場合などには、肘打ちを左右に出したのがより効果的である(④⑤)。分解3右の肘打ちを出す場合、真横から出すのがオーソドックスだが、相手も腕を上げてガードするのでなかなかヒットしにくい。そこで相手の両腕のガードを縫って肘を上から打ちおろすようにする。