東孝の格闘空手 空手リアルアーツシリーズ ② VOL2

この対談は『月刊空手道』(福昌堂発行)1984年11月号に収録されたものです。肩書は掲載当時のものです。

格闘コンビネーション第一章

左パンチからの連繋(2)
フック・アッパーからの仕掛け

分解1

このコンビネーションはまず、状態を左右に振って(①′)そのまま中段にフックを入れ(②)、即座に右後ろ足のキック力を効かせて伸びあがるようにして右ストレートを相手の顎に打ち込むパターンである'(③)

 普通は前項で紹介したようにフックからフックという連繋が多いし効果も大きい。従って大低相手は左フックの次は右フックがくると考え、右フックをガードするために左腕をやや外側に出す。また人間というのは面白いもので、フックを受けるとその間合で闘う事に安心してしまい、ストレートが伸びてくる事を忘れてしまう。その心理的、身体的対応の裏をかいて右ストレートを打ち込むのである。

分解2

パンチで相手がさがったら普通は押し込むような下段蹴りで追うが、相手が踏ん張ったりクリンチしようとしてきた場合は、体をやや右に移して相手の反撃を避け、次に右足を上段蹴りを出すようなつもりで真横に上げて(③)そのまま真下に相手の大腿部を上からたち切るように蹴落す(④)それで相手の動きが止まったなら左回転した体を右に戻す。その回転カを使って左フックをトドメとして叩き込む。
 左アッパーからの連繋は左フックからのに比べると非常に難かしい。なぜならアッパーの場合、上体をまっすぐにしたままパンチを出すため、左右への上体の動きが少ない分相手のカウンターをまともにもらう危険性が高いからである。またフックに比べアッパーは、上一体や顔面を少し後ろにさげるだけでよけられてしまうため、相手にヒットする確率が低い。しかし第一打が当ったり、当らなくとも相手の顎が上がったりしたなら次のパンチは当たりやすい。なぜなら人間は顎が上がったなら平衡感覚が鈍り、機敏に動けないからである。