東孝の格闘空手 空手リアルアーツシリーズ ② VOL4 2025年1月31日 by 大道無門 この対談は『月刊空手道』(福昌堂発行)1984年11月号に収録されたものです。肩書は掲載当時のものです。 格闘コンビネーション第一章左パンチからの連繋(2)フック・アッパーからの仕掛け 同じアッパーでも中段の方が、上体を動かして相手のカウンターを防ぐ事ができるため、上段より使いやすく連繋しやすいコンビネーションである。 分解1ここでは相手が左アッパーから右ストレートの連打を読んでいて、フットワークでさがってかわした場合を考えてみる。右ストレートをかわされたならすぐ右下段蹴りを出してもよいが、ここでは一歩踏み込んで左上段回し蹴りに行っている(④)。分解2これをかわされたり、受けられたりしたならすかさず回し蹴り→後ろ回し蹴りのパターンを使い右後ろ上段回し蹴りを出す(⑤)この場合相手の上がっているガードをみて中段後ろ回し蹴りでみぞおちを狙ってもよい。また一発ではあまり効果がないにしろ、(ボクシングのグローブで打てば効くが、素手、素足ではあまり効かない)相手のさらに後ろを狙いレバーを蹴ってもよい。しかし後ろ回し蹴りは見た目は派手だが多用してはいけない事を注意しておきたい。なぜなら後ろ蹴りなら速いし、まっすぐに出るからよいが、後ろ回し蹴りの欠点として、① 回転してくるのでスピードがない。②相手に背中を見せた時は全く無防備になって、軸脚を足払いされると簡単に倒れてしまう。③遠心力がつきパワーはあるが、相手にダメージを与え得るのは一点(カカト)が当った時のみであり、ふくらはぎが当っても相手の肘でブロックされたなら立てなくなってしまう。以上の三点について危険性が高いからである。 以上のように今回は左のフック、アッパーからの連繋を説明した。先に述べたようにこのコンビネーションを実戦で有効に使うにはそれなりの熟練が必要である。これを十分に考慮して自ら研究をしてもらいたい。