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2018北斗旗全日本空道体力別選手権関東予選 及び 第65回大道塾関東地区シニア交流大会 レポート
大道塾御茶ノ水支部 支部長 朝岡秀樹
3月4日、台東リバーサイドスポーツセンターにて開催された両大会。
シニア交流大会には38名がエントリーし、最高齢は61歳。いかに空道が親しみやすい武道スポーツであるかを感じさせる数字である。近い将来、70歳以上の選手も現れるのだろう。理想をいえば、歳を重ねた者同士の対戦こそ、勢い任せでないスタイル・打たせずに打つ技術・凛とした佇まい……といったものが表現されてほしいところ。現状は、フックの乱打戦が繰り広げられることが多い。この一因となっているのは、試合時間の短さではないか? 「高齢者は体力がないだろうから」と試合時間を短くすればするほど、防具で顔面が覆われているのをいいことに、やったもん勝ちの戦法をとるようになる。これは女子の試合にかんしても思うことだが、試合時間を一般男子と同様にすることはできないだろうか? あるいは、それが無理なら、両者が互いに相手の攻撃を顔面に被弾しながら打ち合い続けている場合「両者、一本負け(失格)」としてはどうか? 柔道でも最新のルール改正で両者失格の裁定が下されるようになった。「もしNHGがなかったら、あなたの顔は腫れあがっているのであって、その顔で社会や家族のもとに帰ったのでは勝利とはいえない」ということだ。
全日本予選に関しては、各カテゴリーの短評を以下に。
<女子220以下>大倉萌が打撃でも寝技でも効果ポイントを奪うテクニシャンぶりを発揮し、3勝で優勝。最近の全日本・国際大会では取りこぼしが多いだけに、さらなる安定感を求めたい。元全日本王者・岡裕美が久々の復帰を果たしたが、3戦3敗。これは、若い世代の成長を裏付ける結果といってもよいだろう。
<女子220超>柔道でキャリアを積み、空道の競技に挑みはじめて1年余りの内藤雅子が、元全日本王者・吉倉千秋らを下し、優勝。フィジカルも強く、稽古量も豊富とのことなので、全日本で、大谷・今野といったトップ選手にどこまで食い下がれるか、楽しみだ。
<男子230以下>前回世界選手権ベスト4の末廣智明が準決勝で木村真拓に勝利するも決勝を棄権。代わりに決勝進出した木村から漆館宗太がパンチによる効果ポイント2つを奪い、優勝を果たした。漆館は14年のキャリアを持ちながら、これまで上位進出を果たしたことのなかった選手だが、今大会では、ジュニアで活躍した19歳のホープ・菊地逸斗からアキレス腱固めで一本を奪っての決勝進出。決勝で下した木村は、かつて裸絞めで秒殺されたこともある相手だっただけに、大きなブレイクスルーを果たしたといえよう。
<男子240以下>本来230以下の選手である谷井翔太が階級を上げて参戦。準決勝では服部晶洸から右パンチによる効果ポイントを奪い、決勝では神代雄太に競り勝ち、優勝。仕事(消防士)のスケジュール上、5月の全日本本戦に出場できないとのことだが、アジア王者となり、上の階級のトップ選手に連勝したとなれば、-230クラスでの世界選手権日本代表選考には残るであろうと思われる。
<男子250以下>ジュニア出身で、並行して柔道経験も十分にある渡邉憲正が寝技で2つの一本勝ちを奪って五角形リーグ戦を制し、決勝進出。決勝では日本拳法出身の望月將喜を相手に攻勢をキープし、優勝。ジュニアから一般カテゴリ―に、昨年から昇格したばかりだが、アジア選手権にも出場しているので、5月の全日本の結果次第では世界選考に滑り込む可能性も出てきた。
<男子260以下>押木英慶が独走。立ち技における打撃のキレ、寝技での効果ポイントの獲得など、より完成度は高まっているように思われる。
<男子260超>岩﨑大河が2試合とも圧勝したが、五十嵐健史が元全日本王者・キーナン・マイクからパンチで効果を奪って勝利し、その五十嵐を19歳の松岡陽太が寝技で下すなど、新人の台頭も目についた。
リポートは以上にて。最後に毎回の地区予選で気になっている点を。選手が裸足で試合会場(柔道場)から廊下に出てアップ等を行い、そのまま試合場に戻ってくる場面をよくみかけるが、土足で歩くゾーンに素足で出たうえで、足の裏の汚れを拭き取ることもなくそのまま畳の上に上がるというのは武道として好ましくないように感じている。礼儀に関して、試合場における定められた礼法ばかり注視されるが、定められていない部分での心遣いにこそ、礼儀が求められるのではないか?
※今大会を支えてくださいました役員、審判員、ボランティアスタッフの皆様に感謝申し上げレポートの締めくくりといたします。お疲れさまでした!