2019年9月16日、新元号「令和」ゆかりの地大宰府にて、改元後初の九州・沖縄・中四国地区大会がジュニア42名、シニア4名の総勢46名の選手の参加を得て開催された。
本部席より全試合を見ての感想。小学校1・2年から、打撃からの投げ、投げからの極めなど、空道らしい戦いが見られた。それと今回は接戦が多かった。ジュニアは基本的に延長なしの本戦決着が多いが、今回は審判泣かせの接戦が多くみられ、手元の記録メモを見ると、49試合のうち実に9試合が延長となっている。それも、効果優勢で勝利かと思われた終盤に効果を取り返されて延長へ、逆転といった展開など、実力の拮抗した、目の離せない試合が目立った。近年、ジュニア出身選手の活躍が顕著だが、本大会でもU16(戦ったのは14才同士)の試合など見ていると一般部に負けない力強さと空道らしいテクニック、11月9日の全日本空道ジュニア選手権、さらなる成長が楽しみな内容だった。
大会半ば、15試合目が終わったところで(15試合目U13クラスの戦いも、つかみからの打撃、キックをキャッチされてからの展開、タックルと空道らしい戦い。)、「朝倉杖道会」(大道塾朝倉支部道場でも週1回稽古)の野口先生、井上先生による杖道の演武。杖道は大宰府、朝倉の地に縁の深い神道夢想流杖術を起源とし、国内外に広く活動している武道、朝倉支部の小川責任者も学ぶところがあるという。空道をやっていると、空手道・柔道・剣道・古武術を問わず、伝統的な型稽古の意味、応用可能性にハッと気づくことがある。打・投・極の着衣格闘技としての空道は、古きをたずね、新たな何かを見出す、いわゆる「温故知新」の実践という意味においても「21世紀の新しい武道」、「多様性と可能性の武道」であり得る。格闘という人間の営みについて、伝統的な身体文化に敬意を払い学ぶこと、要は活かせるものは活かし、使えるものは使うことによって、その継承と発展とを目指すことは空道にとって、さらには日本武道にとって大きな意義がある。杖道の演武、本部席から体さばき、足さばきとじっくりみさせていただきました。先生方には素晴らしい演武ありがとうございました。
杖道の演武のあとはシニアクラスの戦い、鋭い衝撃音のストレートで効果をとるなど迫力ある試合が続いた。人生100年時代、本大会でもシニアクラスの試合が定着したことは、生涯武道としての空道として、大きな意義がある。ジュニア、シニアとも大過なく試合終了、一人一人が最後まで全力を尽くした大会だった。
今回、有力選手が諸事情により出場できず、予選参加者がゼロであったことは残念だが、将来性を期待させるジュニア、シニアの活躍が見られ、令和の始まりにふさわしい大会、大会では、「2025年青森国体公開競技決定」を知らせる垂れ幕も飾られており、大道塾空道が未来に向かって、令和ゆかりの地で第1歩を記す大会であった。
広島中央支部 責任者 村上智章