ブルガリア遠征レポート

仙台中央支部 支部長
アレクセイ・コノネンコ

時期:12月14日~20日
場所:ブルガリア共和国、バルナ市

今回の遠征はブルガリア空道連盟のディンコ支部長から招待を受けて目黒選手と二人で派遣させていただきました。

ブルガリア空道連盟は昔からKIFの加盟国であったが、年会費未納のためここ数年間は活動停止していました。しかし、会員運営システムKMSの導入とともに、未払いの分を精算して活動を再開し、その第一歩として強化練習キャンプに指導員を派遣してほしいとディンコ支部長は総本部に声をかけてくれました。総本部はその提案を検討し、ブルガリア空道連盟の今後の発展、大道塾および空道の知名度アップのため妥当と判断し、私(コノネンコ)と現役の若い目黒選手を大道塾から派遣することになりました。

ブルガリア空道連盟のディンコ支部長

 

ディンコ支部長の説明では、空道がブルガリアでスポーツとして認可され、全国格闘技協会に入っています。そのほかに全国空手協会もあるそうで、空道は空手ではないということを証明するために裁判を起こし3年かかったとディンコ支部長が説明しています。そのために組織に混乱が生じてしばらくの間に通常に活動できなかったそうです。しかし、訴えが認められ、全国格闘技協会のメンバーとなって、指導員が大学のスポーツ課で「空道指導員」の資格を取得し、指導員の免許を受け取れます。それは、様々なイベントを主催・実施するときにとても大きな影響があるようです。そのために多くの認可されてない団体はなんらかの形の協力を求め、イベントを実施できるために名義を借りようとしています。ちなみに、極真会空手は認可されていません。

ブルガリア全国格闘技協会は毎年、年に一回メンバーのために強化練習キャンプを行っています。今回の強化練習キャンプはブルガリア全国格闘技協会が「戦士」グループと共同で「空道」キャンプとして企画しました。「戦士」グループというのは、KWU(極真ワールドユニオン)の一部であり、「戦士」というプロの興業と強化キャンプを行っている事業団体です。今回のキャンプは、バルナ市にある「戦士」ジムをベースに極真会と空道の選手クラスと支部長クラスのためのイベントになりました。

戦士ジム

参加者は中に入ります


受付

戦士ジムは総合ジムです。

 

空手の道場

 

今回のキャンプの参加者は極真会関係者約60名、ブルガリア空道連盟会員約40名。

極真会の選手クラスはかなりレベルが高く、極真会の世界チャンピオン、ヨーロッパチャンピオン、様々な国際大会のチャンピオンが何人かいました。それを指揮っていたのは、2015年に日本で行われた極真会世界無差別大会で優勝した、ブルガリア極真会連盟のヘッドコーチのザハリー・ダミャノフ選手。そして、なんと、北斗旗オープントーナメントに4回出場して1996年と1997年には二連覇し、またK-1のチャンピオンであるセミー・シュルト氏(ウィキペディアによれば、日本ではオランダ語読みと英語読みを混同した「セーム・シュルト」と呼ばれていたが、シュルト氏本人は原音に近い「セミー・シュルト」とすることを希望している)が、極真側の指導員として来てくれました。

セミー・シュルトとワンショット

セミー・シュルト先生の指導クラス

 

今回のキャンプは3日間、午前と午後の練習、選手クラスと指導員クラスに分けて、私たちとセミーが指導するという形になりました。極真の人たちと空道の人たちは混ざった形になりましたが、私たちは頼まれたのが空道を特徴とする技の紹介です。そこで一回目のセッションはクラスに分けないで全員に空道の基本と移動を紹介して、そのあとクラス分けで選手と指導員に空道の顔面打撃の特徴、つかみ、組技の特徴を紹介しました。

基本稽古と移動稽古

つかみ、組技の指導

指導の風景

 

今回全体のレベルが高くて、極真の基礎は空道と一緒ですので打撃に対しての指導はあまりありませんでした。しかし、つかみ、投げ、グラウンドにはやはりあまり慣れてないようです。基礎ができているから教えている技がすぐに吸収されましたが、そこはやはり空道の特徴であり、他の格闘技との違うと思いました。

全体的に空道に対して関心が高く、レジェンドのセミー・シュルトも非常に高く評価していました。今後もこのような共同イベントを実施できればという話になりました。ヨーロッパの中で極真会はやはり知名度が非常に高いので、このようなイベントの実施により大道塾および空道への関心を非常に広い範囲に広げることができ、お互いにウィンウィンの状態を築けると思いました。