この連載は『月刊空手道』(福昌堂発行)1985年7月号に収録されたものです。肩書は掲載当時のものです
解説・指導 大道塾代表・東孝 ●協カ 長田賢一
一
空手道リアル・アーツシリーズ10
21世紀の空手!
格闘空手の総帥・東孝が公開する
超実戦空手のスーパーテクニック講座第10弾
格闘コンビネーション第四章
第四章 回し蹴りからの連繋 3
左回し蹴りによる仕掛け
私は以前、このシリーズの中で「蹴り技から入る攻撃は非常なリスクを伴う。(中略)特に右足での回し蹴りや後ろ回し蹴りからの仕掛けはまさにカウンターを打ってくれというようなものである」と書き、またある時には「左の回し蹴りから入る場合はカウンターに気をつけろ」と書いた。一体どっちが本当なのか、矛盾しているじゃないかと思われた読者も多いと思う。
そこで端的に答えよう。基本的には、回し蹴りから仕掛けることはパンチや前蹴りに比べ右も左もどちらもリスクが大きい。そしてさらに厳密に言えば、その程度は各個人の熟練度の問題に帰するということを付け加えなければならない。
未熟な者、鍛練度の低い者、もしくは顔面突き無しの組手に慣れている者が、常に顔面突き有りの組手で稽古を重ねている者と闘う場合などは、右回し蹴りから仕掛ける時が最も危険性が高い。何故なら入るタイミングを読む力とか、カウンターパンチを処理する技術がないからである。こうして技術なしに右下段蹴りから入ったならまさに危険この上ない。
しかし経験を積んだ人間なら、この当然のカウンターを無視して突っ込むことはしない。少なくとも視線を動かさず、予備動作もせず右下段蹴りで相手の脱力状態の左足を蹴っていく。もしカウンタ―が来たならすぐ相手の左側面に入ってブロックするとか、さらには相手の左肘を上げて反撃のパンチを封じてしまう。 逆にこのクラスの人間が注意しなくて はならないのは、前足である左足の下段 蹴りを無雑作に出すことである。自分の体が相手の正面を向いてしまったり、横顔面を相手に向けてしまうといった前足 での左下段蹴りの根本的な危険性を忘 てはいけない。
もう一度繰り返そう。右の回し蹴り、 下段蹴りから仕掛ける場合の大原則として、よく相手を見て、一連の攻撃後や相 手の心理的空白状態を狙って出すことを心がける必要がある。また、体勢を低く してカウンターを出しにくくして入ると 相手がパンチを打ってくるその瞬間 の左足を蹴るという方法もあるが、要す に右回し蹴り、右下段蹴りから仕掛ける場合は十分に頭を働かせ、タイミング を読むことが大切なのである。